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こんにちは。いくつか会社でPMやらコンサルやら情シスやらをやってるku-sukeと申します。

これはプロダクトづくりのための挑戦とその成功・失敗談を綴るアドベントカレンダー powered by プロダクト筋トレの12月2日の記事です。
昨日は岩田さんによる「顧客要望にだけ応えても売れる商品は作れないよ」と言われて途方に暮れていた初心者PMの苦闘と閃き でした!

プロダクト筋トレのSlackに参加したばっかりで昨日はじめてのMeetに参加したのですが、枠空いてるよ~ということで自分を追い込むことにして書きました。

今回は、B向けSaaSにいくつか携わり、いまだ悩んでる、「誰の方を向いてプロダクト作るんや」「ユーザー(顧客)って誰やねん」についてまとめてみたいと思います。

こんなプロダクトを想定してみましょう

社内・組織内の生産性を向上させたり、エンゲージメントを高めたりするツール。プロダクト設計としてはまだリリースから年数が浅く、優先度付に悩みながら基本的な機能拡充をしているフェーズ。※年数がたつと管理者権限の種類がいっぱいあったりかゆいところにも手が届いてくると思うので。

たとえば、、「モバイルOCRつきドキュメント管理サービス」とかにしてみましょうか。特定業界向けでもいいですね。

よし、ユーザーの声を聞こう!

まずは友達の会社に現場ヒアリングに行きました

  • なんだかんだ現場では図面もあるし紙はなくせないけど、会社戻って本社の報告はパソコンだから面倒なんだよね
  • いまだエクセルと共有サーバでやり取りしてて、本社からの問い合わせの電話かかってきても出先からじゃすぐ答えられないんだよ。

そこで、GoogleのVision AIを使って簡単な動作モックを作ったところ、「これでそのまま本社に送信すればいいんだ。こういうのいいね!」と大絶賛でした。そこでまずシンプルな製品を売り出すことにしました。

すみません、これ、管理機能はありますか?

そうやって出来上がった製品を見せたところ、アポ先の部長が言いました。「これ、使いやすそうでいいんだけど、担当者は自分の部署のフォルダしか見えないとか、管理者だけが編集できるとか、そういうの出来る?」と言われました。

なるほど確かに。本社勤めの部長には、部下のオペレータが上がってきた資料を取りまとめる業務があって、日々たくさんの資料を扱うので整理機能やオペミスを防ぐ仕組みが欲しいようです。たしかにな~

すぐにフォルダ整理機能と、簡単な管理機能を開発開始し、ひとまずプレスリリースで提供予定と打ち出すことにしました。

貴社はISOとかとられてますか?できればSSO連携したいんだけど・・

ようやく管理機能が出来上がり、契約も大詰めになったところで、先方の情シス部門の方が登場されました。「貴社のシステムはファイルがアップロードできるみたいですが、PマークとかISO取られていますかね?

このセキュリティチェックシートを書いてほしくって・・・あとうち現場の入れ替わりが激しいから、できればSSOでログインしたいんだけど」となにやらたくさん技術的な要望をいただきました。

たしかに、企業として全社員にひろく導入するには、それを導入した部署や人が社内のヘルプデスクを運営したり、アカウント発行や変な使い方をしていないかのモニタリング機能を担うことがありますね。

同行した営業からも**よくわからないけど最後ぜひここ突破しましょう!**と熱い気持ちが伝わってきます。

誰の方向いてプロダクト作ればいいんだっけ・・・

はじめは単純に「情報共有に苦しんでいる現場の課題をプロダクトで解決したい!」とおもってスタートしましたが、営業活動を進めるうちに対象となる顧客のステークホルダーはいろんな人がいて、それぞれが自身の立場でプロダクトに対して要望を持っていることがわかりました。

しかし、限られたリソースですべての要求にこたえることはできません。誰の方を向いてプロダクト作ればいいんだっけ・・と悩んでしまいます。

導入担当者

導入担当者は、社内におけるあなたのプロダクトの代弁者です。「いや俺は紙で困ってないよ」「またなんか本社が押し付けてくるのか」そんな声にも負けず、あなたのプロダクトを使うと便利になると社内を説いてくれています。

また、組織によっては導入意思決定者あるいはそれに近い人物である可能性が高いでしょう。営業担当が一番やり取りする相手でもあります。

管理職・情シス

管理職・情シスはプロダクトがどう使われるかについて注意を払っています。たとえば予算管理においては、年度で予算を取ってその範囲に収まるのか、従量利用の範囲が多い製品なのか。

情シスは、企業データを預けるにふさわしいセキュリティなのか、アカウント配布はどうなのか、従業員がスマホ落としても大丈夫かなどなどを気にするかもしれません。意外と大変なんですよね。4月とかいっぱい人が入ってくるとアカウント発行だけで手いっぱいになっちゃう。

会社から導入決定を言い渡される一般ユーザ

意外と見えない顧客としては、まだこのプロダクトのことを知らなくて、上長とか本社からいきなり利用を言い渡される一般ユーザです。なんか本社から使い方マニュアルとともにリンクが送られてきたけど、これなに?いいや放置しよ。みたいになりますよね。

ちょっとITに疎いひとなんかが「これ新しいツール、なにができんの?へーどうやって始めるの?よくわかんないからやってよ~」みたいな会話をしているかもしれないですね。

あなたが当初ターゲットユーザに想定していたお友達

お友達じゃなくてもいいですが、この人の課題を解決して幸せになってもらいたいな。と妄想しているその人です。

みんな大事な「顧客」だけどどこに寄せようか

こうしてみると、「顧客」といっても組織向けプロダクトにはたくさんの人がいることが分かります。そのうえでプロダクトの成長戦略にもよりますが、フェーズごとにどこかに寄せていかなければなりません。

最近話題のProduct led growth本なんかだと、営業主導とプロダクト主導とで戦術が異なるとありましたね。まさにここでプロダクトづくりの設計手腕が問われます。

現場が先、管理は後にしちゃう

PLGの考えによると、まず現場が便利だからついつい導入しちゃうプロダクトづくりをする方向に寄せるのもありでしょう。その場合は営業マンが説明しなくてもクイックウィン(使い始めてすぐすぐに小さな価値を感じられること)の設計が大事でしょう。

個人的には今の時代プロダクトを作りはじめるならこっちが好きです。なぜならプロダクトのコア機能を磨きこむには、どうしてもたくさんのユーザに使い込んでもらう必要があるからです。 いま個人ではじめて自分の法人で運営しているサービス も、先行サービスが有料提供しているほとんどの機能を無料で開放したので、ノンプロモで驚くほど成長しています。

余談ですが、わたしは情シスも業務としてやっているので、シャドウITについては頭を悩ませているのですが、このような「現場が勝手に使いたくなる」フリーミアム製品の潮流は抗えませんね。

でもやっぱり管理機能からは逃げられないし結局・・

しかし、いくら現場に寄り添ったとしても、それを「使っていいよ」と会社が言ってくれなければ有料利用を獲得することはできません。もし、本質的じゃない、受託開発やりたいんじゃないんだ、こんなもののために生まれたんじゃない、そう思うときは、たくさんの仕事を一手に引き受けてる情シスや、現場ユーザーのために使い方マニュアルをスクショ入りで作っている人のことも思い出してください

そして、その人たちが「あーこの製品だったら、みんな使えるし自分のとこに問い合わせこなさそうだな。導入楽そうだしいいじゃん!」と思えるプロダクトづくりは、結局のところPLGにもつながるわけですね。

プロダクト本体のみならず、FAQの整備や、汎用的なセキュリティチェックシートをあらかじめ公開しておくなど、いろんな「顧客」に思いをはせるプロダクトづくりをやっていきましょう!

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