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「顧客要望にだけ応えても売れる商品は作れないよ」と言われて途方に暮れていた初心者PMの苦闘と閃き

Last updated at Posted at 2021-11-30

こんにちは。エムスリーという会社でPMを担当させて頂いている岩田と申します。

これはプロダクトづくりのための挑戦とその成功・失敗談を綴るアドベントカレンダー powered by プロダクト筋トレの12月1日の記事です。今後どんどん面白い記事が毎日更新されるので、ぜひ購読・拡散お願いします。

今回は私が未経験PdMとして2年間奮闘した中で学んできた、顧客要望との向き合い方に関する話を書きます。
この機能が無いと買わないって言っていたから作ったのに...とか、なんで機能に劣る他社製品にウチが負けたのか..といったお悩みをお持ちのプロダクトマネージャーの皆様へ役に立つ情報を発信できればと思います。

本題に入る前に

本題へ入る前に、まずはコミュニティとこのカレンダーについてご紹介させてください。

プロダクト筋トレコミュニティについて

プロダクト筋トレコミュニティでは、「プロダクトづくりに関する知識を広げ、深め、身につける」を目的に活動しています。

プロダクトを作るために必要な知識は技術だけではなく、事業、ユーザー体験、チームのマネジメント、ドメインの知識などと多岐に渡ります。
そして、そのすべてに長けている人はほとんどいません。​

「何を学べば良いかわからない」状態から「自分のレベルがわかる」状態へ、そして「弱みや強みを強化していく」状態へ。

プロダクトづくりに関する知識や考える力をつけるための思考の筋トレをプロダクト筋トレと呼んでいます。
社外の仲間と勉強、議論をし、よりよいプロダクトをつくる筋肉を伸ばしていきましょう。

(公式サイトより抜粋)

このカレンダーについて

このカレンダーは、コミュニティ内の有志の皆様によるプロダクトづくりのための挑戦とその成功・失敗談が綴られていきます。
ぜひご参照頂ければと思います。

本題

  1. 「顧客要望通りに作っても売れない」とは言うけれど
  2. 顧客の事前期待を超えることがイノベーションの第一歩
  3. 勝つべくして勝つ。自社の強みを生かして顧客の事前期待を超える
  4. 社内の関係者は最初の顧客。まずは社内の期待を超える
  5. まとめ

「顧客要望通りに作っても売れない」とは言うけれど

PMであればおそらく100回はヘンリー・フォードの以下の言葉を見聞きするのではないでしょうか。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。」

とはいえ顧客が想像もしていないような製品を考えることは困難を極めます。
巷の書籍では「イノベーション」の考え方は提供してくれますが、それをすぐに自分の製品に当てはめたところでどうにかなるようなものでもありません。

自分が企画するプロダクトが何かが欠けていることはわかる。わかるが、何が足りないのか。アイデアのキレが足りないと言っても、雲をつかむような話に感じられ、しばらく何も企画が進まない状況が続きました。自分はPMに向いていないんじゃないかと真剣に悩んでいました。

顧客の事前期待を超えることがイノベーションの第一歩

その時に上司から紹介された以下の書籍が私に閃きをもたらしてくれました。

この書籍では顧客満足は以下の引き算で計算できるとしています。

顧客満足 = 顧客が感じた価値 - 事前期待値

確かに言われてみれば、人間の感動というのは予想の裏切りが伴っていると感じます。
大谷翔平選手の素晴らしい活躍や多くの人々を感動させましたが、これは人々の予想を裏切るほどのインパクトだったからこそ、人々が感動したのではないでしょうか。

とはいえ驚きを生み出すために技術的、デザイン的、事業的に破綻していたらお話になりません。そこを破綻しない範囲で、かつ顧客の予想を大きく裏切るようなアイデアを企画し形にすることこそがPMのキモであるとこのとき気づくことができました。

勝つべくして勝つ。自社の強みを生かして事前期待を超える

とはいえ、「驚き」というのは誰も想像していなかったからこその驚きです。 それを人為的に作り出せと言われても途方にくれてしまうのではないでしょうか。
しかしPdMとしてはここが踏ん張りところです。なんとかしなくてはいけません。

「驚き」を考えるヒントとして私が好むのはバリュー・プロポジションの考え方です。

バリュー・プロポジション

この画像は下記から引用させて頂きました。

この画像にある「顧客が望んでいて、競合が提供できなくて、自社が提供できる価値」を提供するというのは大きなヒントではないでしょうか。

創業期のベンチャーであれば、創業者自身の強み、なぜ高いリスクを取って創業に至ったのか、といったストーリーなどが当てはまりそうです。
大企業であれば、社内の様々な資産や他事業とのシナジーなどが当てはまりそうです。
このように、顧客が望む価値と、自社にしか無い提供できない価値がうまく重なる領域を見つけられると、顧客満足度が高まるのではないでしょうか。

社内の関係者は最初の顧客。まずは社内の期待を超える

ここまで主に顧客の事前期待を超えるという前提で話を進めてきました。しかしながらプロダクト開発というものはまず社内から始まります。
社内の関係者というのはある意味では最初の顧客とも言えます。
特にプロダクト立ち上げ期において社内からの事前期待を超えることは、その後のプロダクト成功にとって非常に肝要であると考えます。

とはいえMVPとして要件を絞る以上、機能面やユーザー体験で事前期待を超えることはなかなか難しい場合もあると思われます。
そこでオススメなのが、社内の予想と比べて半分以下の期間でリリースまでこぎつけることです。半年以内に欲しいと言われたら3ヶ月、1ヶ月以内と言われたら2週間でリリースしてしまえば、事前期待を超えることができます。

社内のメンバーが疲弊しない範囲内に留める必要はありますが、半分の期間でリリースという方法は最も再現性高く、事前期待を超えることができると考えます。

まとめ

顧客満足を生み出すためには、顧客が期待もしていないような驚きを提供すべしという考えを私は持っています。驚きを生み出すためには、自社にしか無い強みを活かすこと。社内の関係者は最初の顧客と見做し、彼らの期待も超えるよう意識すること。そのためには半分の期間でリリースまで漕ぎつける方法が最も再現性が高いと考えます。

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