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ビジネスオブザーバビリティとは?(概要編)

Last updated at Posted at 2024-10-11

ビジネスとシステムの相互作用をリアルタイムに把握できる”ビジネスオブザーバビリティ”の重要性とその実現をサポートするNew Relic Pathpointについて解説します。

デジタルビジネスにおけるオブザーバビリティの重要性

今やどの企業のビジネスにおいてもITは必要不可欠な存在になっており、ビジネスの心臓部と言っても過言ではありません。システム障害やユーザー体験の悪さ1つがビジネス機会の損失を招き、会社の信頼や収益へ悪影響を及ぼす可能性をはらんでいます。

システムに関連するステークホルダーはシステムの状況をリアルタイムに把握し、問題の検出と原因の特定と解決を迅速行えるようにし、ビジネスリスクを最小化していく必要があります。

システムのオブザーバビリティ(可観測性)を高めることはそのようなビジネスリスクを最小化する有効な手段の一つです。システムのオブザーバビリティが高まれば、トラブルシュートを早めるだけでなく、パフォーマンスやユーザー体験の改善によって収益向上などのビジネスの最適化へ貢献することも可能になります。

ビジネスオブザーバビリティとは?

では、技術的な側面からオブザーバビリティを高めれば十分と言えるでしょうか?

  • ビジネスに重大な影響を及ぼすような問題が今起きていないか
  • 今起きているシステムの問題は業務プロセス上のどこに影響しているのか
  • パフォーマンス劣化は売り上げなどのビジネスKPIに影響しているのか
  • 色々ある問題の中からビジネス的に優先して対処いけないものは何なのか
  • 機能エンハンスや改善はビジネスにどう貢献しているのか

このような問いに答えるためには、技術的な側面から状況を把握しているだけでは不十分でしょう。特にエンジニアとしては最後の部分は大事ですよね。

一方で、オブザーバビリティ予測レポート(2023年版)の調査によれば、実際に発生したインシデントのビジネス影響やビジネス上のコンテキストを把握できている組織の割合はわずか27%という調査結果が出ており、依然として多くの現場でシステムとビジネスが分断している状況が伺えます。そのような状況では、顧客価値を最大化し、収益向上につながるROIの高い意思決定はできません。

bundan.png

上記のような課題に対応するためには、システムのパフォーマンスと、業務プロセスやコストや収益などと関連付けて、それらの相互作用をリアルタイムに把握できる必要があります。

New Relicはそれを『ビジネスオブザーバビリティ』と呼んでいます。ビジネスオブザーバビリティを高めることで以下のようなメリットを教授できます。

  • ビジネス側は、ビジネス影響のある問題が発生していないかリアルタイムに把握できる
  • 技術側は、ビジネス影響を及ぼす問題の切り分けや影響を鑑みた優先度づけができる
  • ビジネス側と技術側が共通言語で効率的に会話をすることができる
  • 技術側は、ビジネスへの貢献をアピールできる

ビジネスオブザーバビリティの向上によって、技術側とビジネス側の分断を排除し、トラブルシュートや改善活動においてビジネス影響を加味したROIの高い意思決定を行うことができるようになります。

ビジネスオブザーバビリティ実践のステップ

ビジネスオブザーバビリティ実践のステップをピックアップして簡単に紹介します。詳細は公式ebook『ビジネスオブザーバビリティを実現するための6つのステップ』を参照ください。

  1. ビジネス目標の設定
    収益や顧客満足度、エンゲージメントなどビジネス上重要な指標とその目標を明らかにします
  2. テレメトリーデータの収集
    技術コンポーネント、ユーザーインタラクション、サードパーティのサービスなど、システムのあらゆる側面からのテレメトリーデータを計装する
  3. ビジネス指標とテレメトリーデータの関連付けと可視化
    業務プロセスやビジネス上の指標と、テレメトリーデータを関連付けます
  4. データドリブンの意思決定
    ビジネスへの影響に基づき、問題や改善の優先順位を付けて対処する

New Relic Pathpoint

New Relicではビジネスオブザーバビリティの実践を支援する機能としてPathpointを提供しています。本記事執筆時点 (2024年10月11日)で、PathpointはオープンソースとしてメンテナンスされているプロジェクトでNew Relic上で利用できる機能です。

メイン画面は👇のような感じです。

main_2.png

画面上部「Stages」は業務プロセスやユーザージャーニーを表しており、左から右にそのプロセスが流れていくことを表しています。例えば、このフローはECサイトの業務プロセスを表しており、ユーザーがサイトにアクセスしてから注文処理をし、その後サンキューメールが送られて、最終的に配送処理が行われるまでの一連の業務プロセスを表しています。

その下段の「Levels」は業務プロセスやユーザージャーニーの1ステップを構成する機能群、および関連するシステムの要素になっています。システムの要素とは、APMが導入されているアプリやインフラ、外形監視やアラート、サービスレベルなどテレメトリーデータ全てを対象にできます。例えば、ユーザーがサイトにアクセスするWebフロントでは、ログイン機能やメイン画面表示、商品カタログ機能があり、それに対応したフロントエンドやバックエンドのアプリケーション、サービスレベルの設定などが、ヘルシーさを表すステータスと共に関連づいています。

この画像の例の場合、フロントエンド(Frontend)の表示時間が遅くなっており(黄色)、それが上位の業務プロセス(Webフロント)に伝搬していることを表しています。


このように業務プロセスと、システムのコンポーネントを業務の側面からグループ化して関連付け、システムの問題が業務にどう影響しているかを容易に把握することができるようになります。非エンジニアも業務視点から状況把握しやすいですし、エンジニアもシステムの業務影響を簡単に把握できるようになります。

how_to_view.png

また、問題がある部分についてはクリックして詳細画面にドリルダウンして調査することが可能になるので、問題把握から調査までをシームレスに行うことができるようになります。

drilldown.png

まとめ

今回は、ビジネスオブザーバビリティの重要性とそれを実現するNew Relic Pathpointの概要について解説しました。

近日中に実践編として簡単なアプリケーションでPathpointを使う記事を投稿予定です。乞うご期待!

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