はじめに
Claude Coworkは、Anthropicが2026年1月にリリースしたClaude Desktopのエージェント機能です。ローカルフォルダに直接アクセスし、ファイルの読み書き・作成・整理を自律的に行えるのが特徴です。
ただし、Coworkにはセッション間のメモリがありません。毎回まっさらな状態から始まるため、何も工夫しないと「自分が誰で、何をしていて、どんなアウトプットを求めているか」を毎回説明し直す必要があります。
この課題に対して、海外のパワーユーザーを中心に「3つのコンテキストファイルをフォルダに置く」というセットアップ手法が広まっています。本記事では、この手法の内容・出どころ・公式機能との関係を整理します。
本記事で紹介する「3ファイル」パターンは、Anthropicの公式ドキュメントに記載されたものではありません。コミュニティで共有されている運用テクニックです。出典を明示したうえで紹介します。
前提:Coworkの公式カスタマイズ手段
まず、Anthropicが公式に用意しているカスタマイズの仕組みを確認しておきます。
公式ヘルプセンター(Get started with Cowork)によると、Coworkには以下の3つのカスタマイズ手段があります。
| 手段 | 概要 | 設定場所 |
|---|---|---|
| Global instructions | すべてのCoworkセッションに適用される指示。トーン・出力形式・役割の背景情報などを記載 | Settings > Cowork > Edit |
| Folder instructions | フォルダ選択時にプロジェクト固有のコンテキストを追加。Claude自身がセッション中に更新することも可能 | フォルダ単位で自動読み込み |
| Plugins | 役割・チーム・会社に応じたスキル・コネクタ・サブエージェントをバンドルしたパッケージ | Cowork内のプラグイン設定 |
これが公式にサポートされている方法です。
コミュニティで広まっている「3ファイル」パターンとは
一方、海外の複数のブログ・ニュースレターで紹介されているのが、作業フォルダにMarkdownファイルを3つ置いておくというアプローチです。
考え方はシンプルで、Coworkはフォルダ内のファイルを読める。であれば、「自分のことを書いたファイル」を置いておけば、毎回自動的にコンテキストが伝わる、というものです。
以下が、よく紹介されている3ファイルの構成です。
about-me.md ― 自分は誰か
自分の役割・チーム構成・担当業務・現在の優先事項を記載するファイルです。
# About Me
- 役割:IT企業のマーケティング担当
- 業務:BtoB SaaSの集客施策(SEO・広告運用・ウェビナー企画)
- チーム:5人体制。週次でマネージャーにレポートを提出
- 現在の優先事項:Q2のリード獲得目標に向けたLP改善
Claudeがこのファイルを読むことで、「マーケティング文脈」「BtoB」「週次レポート」といった前提を毎回説明しなくて済む、という狙いです。
brand-voice.md ― どんな言葉づかいをするか
文体・トーン・NGワード・フォーマットの好みを記載するファイルです。
# Brand Voice
- カタカナ語は最小限にする。「ソリューション」「シナジー」「レバレッジ」は使わない
- 中学生でも分かる日本語で書く
- 体言止めを多用しない。文末は「です・ます」調で統一
- 箇条書きは5項目以内に抑え、それ以上は文章で書く
Coworkにドキュメント作成やメール下書きを頼む際、毎回「カタカナ語を減らして」と指示しなくても、このファイルがあればスタイルが一貫する、という考え方です。
working-style.md ― どう動いてほしいか
Claudeの作業プロセスに関する指示を記載するファイルです。
# Working Style
- 作業に入る前に、必ず確認の質問をしてください
- ファイルはMarkdown形式で保存してください
- 既存ファイルを上書きする前に、バックアップを作成してください
- 出力は1ファイルにつき1トピックに絞ってください
- 完了後、何をしたかのサマリーを箇条書きで出してください
このパターンの出どころ
このパターンを誰が最初に提唱したかは明確ではありませんが、2026年2〜3月にかけて複数のブログで相次いで紹介されています。以下に主な出典を示します。
Alex Banks(The Signal)
How to properly set up Claude Cowork(2026年3月)
「File 1: about-me.md」「File 2: voice-and-style.md」の2ファイル構成を紹介し、コンテキストファイルはメモリの断片的な蓄積と異なり、Claudeに何を知ってほしいかを意図的に設計できると述べています。
cohorte.co
How to Set Up Claude Cowork: Files, Instructions, Plugins, and Connectors(2026年3月)
「about-us.md」「voice-and-style.md」「working-rules.md」の3ファイル構成を紹介。セットアップに30分かければ、その後の毎セッションで効果が積み重なると説明しています。
The AI Corner
Claude Cowork Setup Guide(2026年3月)
「3つのファイルがCoworkにあなたを理解させる」として同様のパターンを紹介しています。
Ruben Hassid(How to AI)
Cowork.(2026年3月)
コンテキストファイルを充実させるほどプロンプトは短くて済むようになり、10語程度の指示でも自分らしいアウトプットが得られるようになると述べています。
いずれも個人ブログ・ニュースレターの記事であり、Anthropic公式の推奨ではありません。
公式手段との比較
「Global instructionsに書く」方法と「フォルダにmdファイルを置く」方法を比較すると、以下のような違いがあります。
| 観点 | Global instructions(公式) | mdファイルをフォルダに配置(コミュニティ) |
|---|---|---|
| 適用範囲 | すべてのCoworkセッション | そのフォルダを選択したときのみ |
| 確実性 | 必ず読み込まれる | Claudeにファイルを読ませる指示が必要な場合がある |
| 管理 | Claude Desktop設定画面で一元管理 | ファイルとして管理。Gitでバージョン管理も可能 |
| 柔軟性 | プロジェクトごとの切り替えがしにくい | フォルダごとに異なるコンテキストを設定できる |
| 共有 | 個人の設定に閉じる | チームメンバーとファイルを共有できる |
公式のGlobal instructionsは確実にセッションに反映される利点があります。一方、mdファイル方式はプロジェクトごとに異なるコンテキストを持てる柔軟性があり、ファイルとしてバージョン管理・共有できる点がメリットです。
実用上は、両方を組み合わせるのが合理的な選択肢です。共通のスタイルや作業ルールはGlobal instructionsに、プロジェクト固有の情報はフォルダ内のmdファイルに書く、という使い分けです。
まとめ
- Claude Coworkの「3ファイルセットアップ」は、Anthropic公式のドキュメントには記載されていないコミュニティ発のベストプラクティスです
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about-me.md(自分は誰か)、brand-voice.md(言葉づかい)、working-style.md(作業スタイル)の3ファイルをフォルダに配置し、Coworkのコンテキストとして活用するアプローチです - 公式には「Global instructions」「Folder instructions」「Plugins」の3つのカスタマイズ手段が用意されており、これらとの併用が現実的です
- この手法を紹介する際は、公式機能と区別して出典を明示することが重要です
