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【Web開発】ReactとNext.jsの違いとは?初学者向けに分かりやすく解説

Last updated at Posted at 2025-11-16

1. はじめに

この記事で分かること

この記事では、ReactとNext.jsの違いについて初学者向けに解説します。具体的には以下の内容を学べます。

  • ReactとNext.jsそれぞれの基本的な特徴
  • 両者の技術的な違い
  • プロジェクトに応じた使い分けの判断基準
  • 簡単なコード例での比較

想定する読者

  • HTML、CSS、JavaScriptの基礎知識がある方
  • Reactを学び始めた、またはこれから学ぼうとしている方
  • Next.jsという名前を聞いたことがあるが、違いが分からない方

2. Reactとは?

Reactの基本概念

ReactはMeta(旧Facebook)が開発したJavaScriptライブラリです。ユーザーインターフェース(UI)を構築するために使用され、特にシングルページアプリケーション(SPA:Single Page Application)の開発に適しています。

Reactはライブラリであり、UI構築に特化したツールという位置づけですね。フレームワークとは異なり、必要最小限の機能を提供し、他の部分は開発者が自由に選択できます。

Reactでできること

  • インタラクティブなUIの構築
  • 再利用可能なコンポーネントの作成
  • 効率的な画面の更新と描画
  • データの変化に応じた自動的なUI更新

Reactの特徴

コンポーネントベース

Reactではアプリケーションを小さな部品(コンポーネント)に分割して開発します。各コンポーネントは独立しており、再利用や保守が容易になります。

仮想DOM(Virtual DOM)

Reactは仮想DOMという仕組みを使用して、効率的に画面を更新します。実際のDOMを直接操作するのではなく、まず仮想的なDOM上で変更を計算し、必要な部分だけを実際のDOMに反映させます。これにより高速なUI更新が実現できます。

3. Next.jsとは?

Next.jsの基本概念

Next.jsはVercel社が開発したReactベースのフレームワークです。Reactの機能をベースに、本格的なWebアプリケーション開発に必要な機能を追加で提供しています。

ReactとNext.jsの関係性

Next.jsはReactの上に構築されているため、ReactなしではNext.jsは動作しません。つまり、Next.jsを使う場合も、Reactの知識が必要になります。

Next.jsが生まれた背景

Reactだけでアプリケーションを構築する場合、以下のような課題がありました。

  • ルーティング機能を自分で実装または追加する必要がある
  • SEO対策が難しい(クライアントサイドレンダリングのため)
  • 初期表示が遅くなりがち
  • ビルド設定やパフォーマンス最適化を自分で行う必要がある

Next.jsはこれらの課題を解決するために開発されました。

4. ReactとNext.jsの主な違い

4.1 ルーティング機能

React

Reactには標準のルーティング機能がありません。複数ページを持つアプリケーションを作る場合、React Router などの外部ライブラリを追加する必要があります。

// React + React Routerの例
import { BrowserRouter, Routes, Route } from 'react-router-dom';

function App() {
  return (
    <BrowserRouter>
      <Routes>
        <Route path="/" element={<Home />} />
        <Route path="/about" element={<About />} />
      </Routes>
    </BrowserRouter>
  );
}

Next.js

Next.jsにはファイルベースのルーティングが組み込まれています。pagesディレクトリ(またはappディレクトリ)にファイルを配置するだけで、自動的にルートが生成されます。

pages/
  ├── index.js        → /
  ├── about.js        → /about
  └── blog/
      └── [id].js     → /blog/:id

4.2 レンダリング方式

これが最も重要な違いの一つです。

React: クライアントサイドレンダリング(CSR)

Reactはデフォルトでクライアントサイドレンダリング(CSR: Client-Side Rendering)を使用します。

CSRでは、最初にほぼ空のHTMLが送られ、JavaScriptがブラウザ上で実行されて画面が描画されます。そのため、初期表示が遅くなりやすく、検索エンジンがコンテンツをクロールしにくいという課題があります。

Next.js: 複数のレンダリング方式

Next.jsでは用途に応じて以下のレンダリング方式を選択できます。

  • SSR(Server-Side Rendering): リクエストごとにサーバーでHTMLを生成
  • SSG(Static Site Generation): ビルド時に静的HTMLを生成
  • ISR(Incremental Static Regeneration): 静的生成と動的更新の組み合わせ
  • CSR: Reactと同じクライアントサイドレンダリング

4.3 開発環境のセットアップ

※現在はViteを使うことが推奨されます。

React

# Create React Appを使用
npx create-react-app my-app
cd my-app
npm start

基本的なReactアプリケーションが作成されますが、ルーティングやその他の機能は自分で追加する必要があります。

Next.js

# Next.jsプロジェクトを作成
npx create-next-app my-app
cd my-app
npm run dev

ルーティング、画像最適化、APIルートなど、多くの機能が最初から含まれています。

4.4 パフォーマンスとSEO

React

  • 初期表示: JavaScriptの読み込みと実行が必要なため遅くなりがち
  • SEO: 検索エンジンのクローラーがJavaScriptを実行しない場合、コンテンツを認識できない
  • パフォーマンス最適化: 開発者が手動で設定

Next.js

  • 初期表示: サーバーサイドレンダリングにより高速化が可能
  • SEO: HTMLが最初から完成しているため、検索エンジンに優しい
  • パフォーマンス最適化: 自動的なコード分割、画像最適化などが組み込まれている

4.5 画像最適化などの組み込み機能

React

画像最適化は手動で行うか、外部ライブラリを使用する必要があります。

<img src="/images/photo.jpg" alt="写真" />

Next.js

Imageコンポーネントを使用することで、自動的に画像を最適化できます。

import Image from 'next/image';

<Image 
  src="/images/photo.jpg" 
  alt="写真" 
  width={500} 
  height={300}
  // 自動で最適化、遅延読み込みなどが適用される
/>

その他、Next.jsには以下のような機能が組み込まれています。

  • APIルート(バックエンドAPIの構築)
  • 環境変数の管理
  • TypeScriptのサポート
  • 国際化(i18n)のサポート

5. それぞれの使い分け

Reactを選ぶべきケース

以下のような場合はReactの使用を検討しましょう。

  • SEOが重要ではないアプリケーション(ダッシュボード、管理画面など)
  • 既存のバックエンドAPIと連携するフロントエンドのみを構築する場合
  • シンプルなSPAを作りたい場合
  • Reactの学習に集中したい場合
  • 軽量で柔軟性の高い構成が必要な場合

Next.jsを選ぶべきケース

以下のような場合はNext.jsの使用を検討しましょう。

  • SEOが重要なWebサイト(ブログ、ECサイト、コーポレートサイトなど)
  • 初期表示速度が重要な場合
  • 静的サイトと動的サイトの両方の機能が必要な場合
  • フルスタックアプリケーションを構築したい場合
  • パフォーマンス最適化を自動で行いたい場合

判断基準の整理

6. 簡単なコード例で比較

同じ機能を持つページをReactとNext.jsで作成してみましょう。

Reactでのページ作成

// App.js
import React, { useState, useEffect } from 'react';

function App() {
  const [posts, setPosts] = useState([]);
  const [loading, setLoading] = useState(true);

  useEffect(() => {
    // ブラウザ上でAPIを呼び出し
    fetch('https://api.example.com/posts')
      .then(res => res.json())
      .then(data => {
        setPosts(data);
        setLoading(false);
      });
  }, []);

  if (loading) return <div>読み込み中...</div>;

  return (
    <div>
      <h1>ブログ記事一覧</h1>
      <ul>
        {posts.map(post => (
          <li key={post.id}>
            <h2>{post.title}</h2>
            <p>{post.excerpt}</p>
          </li>
        ))}
      </ul>
    </div>
  );
}

export default App;

このコードでは、コンポーネントがマウントされた後にAPIを呼び出し、データを取得しています。ブラウザ上で実行されるため、初期表示時には「読み込み中...」が表示されます。

Next.jsでのページ作成

// pages/index.js

// サーバーサイドでデータを取得
export async function getServerSideProps() {
  const res = await fetch('https://api.example.com/posts');
  const posts = await res.json();

  return {
    props: { posts }
  };
}

function Home({ posts }) {
  return (
    <div>
      <h1>ブログ記事一覧</h1>
      <ul>
        {posts.map(post => (
          <li key={post.id}>
            <h2>{post.title}</h2>
            <p>{post.excerpt}</p>
          </li>
        ))}
      </ul>
    </div>
  );
}

export default Home;

Next.jsでは、getServerSideProps関数を使用してサーバーサイドでデータを取得します。ページがブラウザに届く時点で、既にデータが含まれているため、「読み込み中...」の表示は不要です。

違いを実感する

上記の例から、以下の違いが分かります。

React

  • データ取得がクライアントサイドで実行される
  • 初期表示時にローディング状態が必要
  • HTMLソースにはコンテンツが含まれない(SEOに不利)

Next.js

  • データ取得がサーバーサイドで実行される
  • 初期表示時に完成したコンテンツが表示される
  • HTMLソースにコンテンツが含まれる(SEOに有利)

7. まとめ

重要なポイントの振り返り

ReactとNext.jsの関係性と違いをまとめると以下のようになります。

項目 React Next.js
分類 ライブラリ フレームワーク
ルーティング 外部ライブラリが必要 組み込み(ファイルベース)
レンダリング CSRのみ SSR、SSG、ISR、CSR
SEO 対策が必要 標準で対応
初期表示 遅くなりがち 高速化が可能
学習コスト 低い やや高い
柔軟性 高い 中程度

ReactとNext.jsは競合するものではなく、Next.jsはReactを拡張したフレームワークという関係性を理解しておきましょう。

次に学ぶべきこと

Reactを学ぶ場合

  • コンポーネントの設計パターン
  • Hooksの詳細な使い方
  • 状態管理(Context API、Reduxなど)
  • React Routerを使ったルーティング

Next.jsを学ぶ場合

  • App RouterとPages Routerの違い
  • データフェッチング戦略
  • 動的ルーティングの実装
  • APIルートの活用
  • デプロイメント(Vercelなど)

どちらを選択する場合でも、まずReactの基礎をしっかり理解することが重要です。その上で、プロジェクトの要件に応じて適切なツールを選択していきましょう。

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