はじめに
普段何気なく使っているWebサイトやアプリケーション。その裏側では、どのような仕組みで情報がやり取りされているのでしょうか。
この記事では、Web初学者の方を対象に、インターネットの基礎からWebの仕組み、ブラウザの役割まで、できるだけ分かりやすく解説します。
この記事で学べること
- インターネットとネットワークの基本
- データがどのように物理的に移動するのか
- Webの仕組みとHTTPプロトコル
- ブラウザが裏側で行っていること
- フロントエンドとバックエンドの役割
インターネットの基礎
ネットワークとは
インターネットは、世界中のネットワークが相互に接続された巨大なネットワークの集合体です。では、そもそもネットワークとは何でしょうか。
ネットワークとは、複数のコンピュータが互いに通信できるように接続された仕組みのことを指します。
PCの接続方法
2台のPCを繋ぐ場合
最もシンプルなケースとして、PC2台だけを接続する場合を考えてみましょう。この場合、2台のPCをケーブルで直接繋ぐことで通信が可能になります。
しかし、接続したいPCが3台、4台と増えていくとどうなるでしょうか。全てのPCを直接ケーブルで繋ごうとすると、必要なケーブルの数は指数関数的に増加してしまいます。これでは現実的ではありません。
この問題を解決するのが、ルーターという機器です。
ルーティングの仕組み
ルーターは、複数のPCを効率的に接続するための中継機器です。各PCはルーターに接続し、ルーターが通信を中継することで、PC同士がデータをやり取りできるようになります。
ルーターが各PCを識別するために使用するのがIPアドレスです。IPアドレスは、ネットワーク上の各機器に割り当てられた識別番号で、192.168.1.10のような形式で表現されます。これにより、データを正しい宛先に届けることができます。
ルーティングとは、このIPアドレスを使ってデータを適切な経路で転送する仕組みのことです。インターネットでは、複数のルーターが連携してデータを目的地まで届けています。
データの物理的な移動
海底ケーブルとデータ通信
インターネット上でやり取りされるデータは、実際にはどのように物理的に移動しているのでしょうか。
国内のサーバーにアクセスする場合は光ファイバーケーブルなどを通りますが、海外のサーバーにアクセスする場合、データは海底ケーブルを通って移動します。
このデータは、ゲームのプレイ情報かもしれませんし、メールや動画かもしれません。海底ケーブルを通じて、世界中の情報が行き来しているのです。
データはパケットという小さな単位に分割されて送信されます。パケットには宛先のIPアドレスや送信元の情報が含まれており、それぞれが独立してネットワークを移動し、最終的に目的地で再び組み立てられます。
Webの仕組み
Webとは
ブラウザでニュースサイトを見たり、オンラインショッピングをしたりしたことがあるなら、それはWebを利用していることになります。
Webとは、インターネット上で情報を公開・閲覧するための仕組みです。WebページはHTMLという言語で書かれており、ブラウザがそれを解釈して画面に表示します。
HTMLは、文書の構造を定義するマークアップ言語です。見出し、段落、リンクなどの要素を記述でき、特にリンクを貼ることで、異なるページ同士を繋ぐことができます。このハイパーリンクの仕組みが、Webの大きな特徴です。
クライアントとサーバー
Webは、クライアントとサーバーという2つの役割に分かれています。
クライアントは、リクエストを送る側のことです。Webブラウザやスマートフォンアプリなどが該当します。
Webサーバーは、リクエストに応じてレスポンスを返す機器のことです。要求されたページのデータを送り返します。
存在しないURLにアクセスした場合、サーバーは「404 Not Found」というエラーを返します。これは「要求されたページは見つかりませんでした」という意味のレスポンスです。
HTTPプロトコル
クライアントとサーバーが通信する際に使用するのが、HTTPプロトコルです。HTTPは「HyperText Transfer Protocol」の略で、Webページをやり取りするための約束事を定めたものです。
HTTPリクエスト
クライアントがサーバーに送る要求のことです。以下のような情報が含まれます。
- どのページが欲しいか(URL)
- どんな操作をしたいか(GETでページ取得、POSTでデータ送信など)
- ブラウザの情報など
HTTPレスポンス
サーバーがクライアントに返す応答のことです。以下のような情報が含まれます。
- ステータスコード(200: 成功、404: 見つからない、500: サーバーエラーなど)
- HTML、CSS、JavaScriptなどのデータ
- 画像や動画などのファイル
現在では、セキュリティ強化のためHTTPSが主流となっています。HTTPSはHTTPに暗号化の仕組みを追加したもので、通信内容が第三者に盗み見られるのを防ぎます。
ブラウザの役割
ブラウザは単にWebページを表示するだけではなく、裏側で様々な処理を行っています。
DNSによる名前解決
URLを入力してWebサイトにアクセスする際、ブラウザは最初にDNS(Domain Name System)サーバーに問い合わせを行います。
DNSは「インターネットの電話帳」とも呼ばれ、人間が覚えやすいドメイン名をIPアドレスに変換する役割を持ちます。
例えば、google.comというドメイン名は142.250.xxx.xxxのようなIPアドレスに変換されます。この仕組みにより、数字の羅列を覚えなくても、分かりやすい名前でWebサイトにアクセスできるのです。
HTTPリクエスト/レスポンス
DNSでIPアドレスを取得した後、ブラウザは以下の流れでWebページを取得します。
- 取得したIPアドレスのサーバーにHTTPリクエストを送信
- サーバーがHTTPレスポンスを返す
- レスポンスにはHTML、CSS、JavaScriptなどが含まれている
レンダリング
サーバーから受け取ったデータを、ブラウザは以下の手順で画面に表示します。この処理をレンダリングと呼びます。
- HTMLの解析 - HTMLファイルを読み込んで、文書の構造を理解する
- CSSの適用 - スタイル情報を読み込んで、デザインを決定する
- JavaScriptの実行 - プログラムを実行して、動的な動作を実現する
- 画面への描画 - 全ての情報を統合して、最終的な見た目を画面に表示する
これらの処理は非常に高速に行われるため、ユーザーはほぼ瞬時にWebページを見ることができます。
Web開発の世界
フロントエンドとバックエンド
Web開発は、大きくフロントエンドとバックエンドの2つに分けられます。
これはレストランに例えると分かりやすいでしょう。
フロントエンドは、ユーザーが直接見て触れる部分です。Webページのデザインやボタンの動作など、ブラウザ上で動作する部分を担当します。HTML、CSS、JavaScriptで構成されます。
バックエンドは、ユーザーから直接見えない裏側の処理を担当します。サーバー、アプリケーション、データベースで構成され、データの保存や処理、ビジネスロジックの実装などを行います。
HTML/CSS/JavaScriptの役割
HTML、CSS、JavaScriptの役割を、面白い例えで理解してみましょう。
「紫色の恐竜が踊っている」という状況を思い浮かべてください。
- HTML - 恐竜そのもの(構造や内容)
- CSS - 紫色(見た目やデザイン)
- JavaScript - 踊る動作(動きやインタラクション)
実際のWebページでも同様です。
- HTMLで文章や画像などのコンテンツを配置し
- CSSで色やレイアウトなどの見た目を整え
- JavaScriptでボタンを押したときの動作などを実装する
この3つの技術が組み合わさることで、美しく動きのあるWebページが完成します。
まとめ
この記事では、インターネットの基礎からWebの仕組み、ブラウザの役割までを解説しました。
- インターネットはネットワークの集合体で、ルーターがPCを繋いでいる
- データはパケットに分割され、海底ケーブルなどを通って物理的に移動する
- WebはクライアントとサーバーがHTTPプロトコルで通信する仕組み
- ブラウザはDNS、HTTP通信、レンダリングなど多くの処理を裏側で行っている
- フロントエンドとバックエンドが協力してWebサービスを構築している
普段何気なく使っているWebの裏側では、これだけ多くの技術が組み合わさって動いているのです。この記事が、Webの世界をより深く理解するきっかけになれば幸いです。