Tensorflowの前処理レイヤー
モデル構築時に前処理も同じモデルグラフに含めるアプローチです。
tf.keras.layers.experimental.preprocessing
にある正規化、カテゴリーエンコーディング、テキストトークナイズ、画像前処理などのレイヤーを使い、
トレーニング・推論ともに同じ処理を保証できます。
しかし個人的にいつ使うの?これと感じたので調べてみました。
参考: https://www.tensorflow.org/tutorials/load_data/csv?hl=ja
一緒にするのが良い時
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エンドツーエンドのデプロイを想定
TensorFlow Serving、TFLite、TF.js などにモデルを載せる際、
前処理も一体化するとクライアント側の実装がシンプルに。 -
ワンステップ推論パイプライン
生データ →model.predict()
だけで完結し、運用負担を軽減できる。 -
トレーニング⇔推論の一貫性担保
同一グラフ内で前処理を行うことで、環境差異やコードズレによる精度低下を予防。 -
プロトタイピング/少量データ
データ量が少なく、パフォーマンス問題が起きにくいケースなら手早く試せる。
別々で切り出したほうが良い時
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大規模データのバッチ処理
数百万〜数億レコード規模のETLには、Apache Beam/Spark や Dask といった専用基盤のほうが高効率。 -
複雑な前処理ロジック
外部データ参照、複雑な条件分岐、時系列加工などは TensorFlow レイヤーでは実装困難・パフォーマンス劣化の恐れ。 -
前処理の再利用性
フレームワーク横断で同じ前処理を使いたい場合、独立したETLパイプラインにして共通化したほうがメンテしやすい。 -
パフォーマンス最適化が必須
キャッシュ戦略や並列度の細かな制御が必要なときは、NumPy/Pandas/Dask などでチューニングするほうが柔軟。
個人の感想
実務で大規模データを扱う場合、前処理は専用のETL基盤で一括処理し、
保存済み特徴量をモデルに供給する運用が現実的だと感じます。
一方で、エンドツーエンドのシンプルな推論サービスを迅速に立ち上げたい場合は、TensorFlowの前処理レイヤーを使ってモデルと前処理を一体化するメリットも大きいと思います。
もし「一緒にする」側のメリットで他にアイデアがあれば、ぜひコメントで教えてください!