はじめに
Claude Code に読ませている には、もう自分についてそれなりに書いてあります。価値観、経歴、技術的な好み、レビューで見てほしい観点、触ってほしくないディレクトリ。運用していると効果は体感できるので、気づいたら書き足す習慣もつきました。
私がどうしているのかは下記の記事に書いてます。
割と伸びたので共感してくださる方も多かったのだと思ってます。
それで最近ぶつかったのが、書き足す材料が尽きたという壁です。思い出せることは全部書いた。これ以上増やそうとしても、同じことの言い換えか、その日の気分みたいな短命な情報しか出てこない。
コンテキストをもっと増やしたい。でも自分の頭からはもう出てこない。ならどこから持ってくるのか、という話です。
答えのひとつが、自分が過去に残した行動ログでした。何をいつ検索したか、何を見続けたか、どこへ行ったか。これは思い出せないから書けなかっただけで、データとしては残っています。しかも自分の手元ではなく Google の中に。
なのでこの記事は、Google データエクスポート(テイクアウト)の手順書というより、手で書ける分を書き切ったあと、エージェントに渡すコンテキストをどう積み増すかという話として書きます。テイクアウトはその材料を取ってくる入口として登場します。
先に結論だけ置きます。
- 手で書けるのは「思い出せること」だけで、そこには早めに天井が来る
- 天井の外側にあるのが行動ログ。ここは自分で書けないぶん、まだ手をつけていない在庫が大量にある
- ただし生ログをそのままモデルに渡すのは最悪手。集計を挟んで、渡すのは要約だけにする
対象読者
- すでに
CLAUDE.mdを運用していて、書くことがなくなってきた人- エージェントに渡すコンテキストをもう一段増やしたい人
- 自分のログを定量的に振り返ってみたい人
参考文献
先に一次情報を置きます。仕様の細部は変わるので、迷ったらここを見るのが速いです。
最後のリポジトリは、テイクアウトのデータをパースするライブラリです。実装を読むと「どのファイルがどういう形をしているか」が公式ドキュメントより具体的に分かります。
Googleテイクアウトとは何か
名前だけ聞いたことがある、という状態だったので最初に整理します。
Google データエクスポート(英語名 Google Takeout)は、Google アカウントに保存されているデータのコピーを、自分で書き出すための公式の窓口です。takeout.google.com にアクセスすると使えます。
対象は検索履歴、YouTube の視聴履歴、Chrome の履歴とブックマーク、カレンダー、Keep、マップ、ドライブ、フォト、Gmail など、かなり広い範囲に及びます。私のアカウントでは全部で61サービスが並んでいました。
出力は .zip か .tgz のアーカイブで、中身はサービスごとに形式が違います。JSON、CSV、カレンダーの .ics、Gmail の .mbox などが混在します。受け取り方も、ダウンロードリンクをメールで受け取るか、ドライブや Dropbox などのストレージへ直接置いてもらうかを選べます。
もともとはデータポータビリティ、つまり「他のサービスに移りたいときに自分のデータを持ち出せるようにする」ための仕組みです。そのため紹介されるときは「バックアップ手段」や「アカウント移行の道具」として語られることが多い。この記事では用途を変えて、自分についての一次資料を取り出す窓口として使います。
エクスポートした後のデータの整形自体はClaude Codeにおまかせするのが良いと思います。
何が取れて、何が取れないのか
例えば下記のようなデータが取れます。
| 知りたいこと | 使うデータ | 取得元 |
|---|---|---|
| 関心の推移 | マイ アクティビティ(検索・YouTube) | テイクアウト |
| 生活リズム | Chrome履歴(同期分のみ)・カレンダー | テイクアウト |
| 行動範囲 | Saved(保存したリンクと場所) | テイクアウト |
| 移動の記録 | マップのタイムライン | 端末の設定アプリ |
表に条件を1つ書いたのは、Chrome履歴が「同期していた分だけ」しか出ないからです。同期を切っていた期間、シークレットモード、削除した履歴は入りません。件数が思ったより少なくて焦りましたが、同期していない端末の分が抜けていただけでした。
地図まわりでも一度迷いました。サービスが「Saved」「マップ」「マイマップ」「タイムライン」の4つに分かれていて、保存したリンクや場所が欲しいなら Saved です。日本語のUIなのにここだけ英語表記のまま並んでいるので、探すときにも引っかかりました。
GUI操作でメチャクチャ簡単
手順自体は素直です。「追加するデータの選択」で全サービスが選択済みになっているので、右上の「選択をすべて解除」で空にしてから、さきほどの表で決めたものだけ入れる。あとはエクスポート先とファイルサイズを決めて「エクスポートを作成」を押すだけ。
残りの設定は既定のままでも動きますが、2つだけ数字を見ておきます。ダウンロード期限は1週間、ファイルサイズの既定は 2 GB です。
サイズの下に「リクエストは複数のファイルに分けて出力される可能性があります。」と書かれています。分割されたら全部ダウンロードして同じ場所に展開すること。1つだけ落として満足すると、データが途中で切れたまま集計してしまいます。
後はzipを展開して目的に合わせて必要な情報を抜き取るだけです。
仕組みにして腐らせない
最後に、これを一度で終わらせない話です。
手で書いた自己紹介が腐る理由のひとつが「更新されないこと」でした。ログ由来にしても、一度取って終わりなら同じ問題に戻ります。半年後には古い自分の説明書になります。
テイクアウトには「頻度」の設定があり、2か月ごとに1年間(6回)自動で書き出せます。集計スクリプトはもう手元にあるので、届いたら回して要約を差し替えるだけです。準恒久層は数か月で少しずつ動くので、この周期とだいたい噛み合います。
自分について書いた文章を、自分で更新しなくても更新される状態にする。そこまで持っていけると、コンテキストは資産の側に寄ってくるのだと思います。
次に足せる材料
同じ考え方で棚卸しすると、まだ手をつけていない在庫がいくつも出てきました。条件は「自分では思い出せないが、どこかに記録が残っている」ことです。
- Kindle のハイライトと読了履歴。何に線を引いてきたかは、興味の履歴としてかなり素直に出る
- 銀行やクレジットカードの明細。何に金を払い続けているかは、価値観の一次資料になる
- 音楽ストリーミングの再生履歴。集中して作業していた時期の見当がつく
どれも「取り出す→集計する→要約だけ渡す」という同じ型で処理できます。テイクアウトで一度この型を作ってしまえば、材料を差し替えるだけで積み増していける。そこが今回いちばんの収穫でした。
おわりに
やってみて一番よかったのは、書く材料が尽きたと思っていたのが勘違いだったと分かったことでした。尽きていたのは「思い出せる範囲」で、その外側には手つかずの在庫が積まれていた。自分の記憶にある「最近こういうことに興味がある」も、年別に並べたら全然違う絵が出ました。エージェントに文脈を持たせるためにやり始めたのに、先に自分が驚いたのが正直な感想です。
自分のログをエージェントに持たせている人がいたら、どこまでを要約に残しているか聞いてみたいです。線引きの正解がまだ分かっていません。

