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sqlcでType Overrides の活用とgo-optionalの話

Last updated at Posted at 2024-09-12

前回前々回に続き、sqlcの話です。もう少し続きます。

Type Overrides

sqlcは、YAMLで設定を書きますが、overridesという項目があります(ドキュメント)。これは何かというと、DBの型に対するGoの型(例えば、VARCHARstringにする)のデフォルトを上書きできるというものです。

ちなみに、実際これを使わないと、MySQLのDECIMALはGoのstringになってしまいます。

MySQLのDECIMALにGoの型(decimal.Decimal)を指定する

MySQLの型をGoの型で置き換えるためには、sqlc.ymlのoverridesに、以下のように書きます。

            overrides:
                - db_type: decimal
                  go_type:
                    import: github.com/shopspring/decimal
                    type: Decimal

これで、mysqlのdecimalは、github.com/shopspring/decimalDecimalにマッピングされます。

null可のカラムなら、nullable: trueをつけて、typeも、NullDecimalも定義しましょう。

                - db_type: "decimal"
                  nullable: true
                  go_type:
                    import: "github.com/shopspring/decimal"
                    type: "NullDecimal"

特定のカラムにGoの型を指定する

先程は、DBの特定の型に対してGoの型を指定してoverrideしましたが、カラムを指定することも出来ます。

            overrides:
                - column: hogehoge.id
                  go_type:
                    import: your-project/domain/valueobject
                    type: HogehogeID

columnのところは、テーブル名.カラム名 にしないといけません(試してないけど、スキーマ名.テーブル名.カラム名もいけるはず)。なお、db_typeとは排他的ですので、同時に指定することは出来ません。

自前の型でoverrideすることで、たとえば、TaskStatus のような型でdefaultのint8をoverrideしてやれば、その型にIsFinished とか、IsPlannedのようなメソッドを用意しておくことも出来ます。

ただ、typeが構造体の場合は、ScanValueを実装する必要があります。

型にScan/Valueを実装する

例えば、とあるカラムにJSONが入っていたとします。DBから取り出した時点でUnmarshalされていれば、とても便利ですね。そういう時は、自分で定義した型にScanを実装します。

package valueobject

import (
	_ "database/sql"
	"database/sql/driver"
	"encoding/json"
	"fmt"
	_ "unsafe"
)

type Config struct {
	Hoge struct {
		URL string `json:"url"`
	} `json:"hoge"`
}

func (c *Config) Scan(src any) error {
	if src == nil {
		*c = Config{}
		return nil
	}

	var v string
	err := sqlConvertAssign(&v, src)
	if err != nil {
		return err
	}
	data := &Config{}
	err = json.Unmarshal([]byte(v), &data)

	if err != nil || data == nil {
		*c = Config{}
		return nil
	}

	*c = *data

	return nil
}

func (c *MallConfig) Value() (driver.Value, error) {
	bytes, err := json.Marshal(c)
	if err != nil {
		return nil, err
	}
	return string(bytes), nil
}

sqlConvertAssign を別ファイルで定義しておくと良いです。

package valueobject

import (
	_ "database/sql"
	_ "unsafe"
)

//go:linkname sqlConvertAssign database/sql.convertAssign
func sqlConvertAssign(dest, src any) error

go-optional の話

最初に、NullDecimalが出てきましたが、NullDecimalsql.Null***などを使うところを、@moznionさんのgo-optionalで置き換えるととても良いです(ちなみに、前段のScanValueはgo-optionalのコードを参考にしていますというか、一部そのままです)。

go-optional は、Genericsを使ってGoでOption型を実現しています。

通常よく使われている、sql.NullStringや、sql.NullInt は、Valid メソッドで値がnilかどうかをチェックすることになっているのですが、構造体のメンバに、intstringが入っているため、初期値として、0空文字が入っています。要は、チェックしなくても使えてしまいます

hoge := sql.NullString{Valid:false, String:""}
if ! hoge.Valid() {
  // nil扱い
}

なんですけど、

hoge := sql.NullString{Valid:false, String:""}
str := hoge.String 

と書けてしまうので、イマイチ感が拭えません。

overridesで go-optional を使ってみましょう。

          - db_type: "string"
            nullable: true
            go_type:
              import: "github.com/moznion/go-optional"
              type: "Option[string]"

こうすることにより、下記のように書けます。

str, err := hoge.Take()
if err != nil {
  // hogeはnil
}

もちろん、Take()を使わずに、IsSome()でチェックせずに、Unwrap()してしまう可能性はゼロではありませんが、Takeを使うとチーム内で決めてしまえば、コードレビューで防げるレベルかと思います。

注意事項

go_type には、import が1つしか書けません。ので、go-optionalを使って、type: Option[valueobject.YourType]のようにした場合、github.com/moznion/go-optional と、your-project/domain/valueobject の2つをimportする必要があります。

が、そのようには書けません。

なのですが、Option[valueobject.*] ではない、valueobject.*の型を一つでも定義しておけば、そこでimportはされるので、特に問題無いです。生成されるのは一つのファイルなので、必要なimportがoverridesの定義の中に1つでも現れていれば特に問題ないわけです。

「いや、全部 null可なんだけど...」という場合は、非常にダサい解決策として、ダミーのテーブルを用意して、そこに、null可ではない、独自型のカラムを適当に用意してやって、overridesしてやれば、なんとかなるとは思います。

別のworkaroundとして、importに改行付きで2つ書く(import: "time"\n"github.com/myproject/null"のように)...という手段があるようですが、まともに動くのかな...?

ちなみに、下記のようにして、YourNullTypeをoverridesに書いてもうまくいきません。

type YourNullType optional.Option[YourType]

下記なら、うまく動きますが、YourNullTypeに独自のメソッドを書くことは出来ないので、あまり意味はないかと思います。

type YourNullType = optional.Option[YourType]

終わり

sqlcのType Overridesと関連してgo-optionalの話でした。どちらもなかなか便利ですし、組み合わせると最高ですので、積極的に使っていくと良いのではないでしょうか。

ただ、いろんな場所で使われているカラムをoverridesで書いていくのは、すごく、だるいですね。テーブル増えたらどうすんねん...という気分になります。

そうですね、人間がやることではないです。自動化しましょう。次回に続きます。

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