はじめに
家庭用エネルギーモニタリング機器「NextDrive Cube J1」は、2025年3月31日でサービスが終了しました。しかし、この端末には Wi-SUN モジュールが内蔵されており、スマートメーターの B ルートにアクセスできるハードウェアとしては、まだ十分に活用できます。
本記事では、サービス終了後の Cube J1 を Home Assistant の MQTT デバイスとして再利用するツール群を紹介します。Cube J1 がスマートメーターから電力データを取得し、MQTT 経由で Home Assistant に 自動連携(MQTT Auto Discovery) します。
リポジトリ: https://github.com/kotarou2211/cube-j1-mqtt-webui
本プロジェクトはtsuyopon123/cube-j1-mqttをベースに、Web 設定 UI を追加したものです(MIT License)。
何ができるのか
- スマートメーターの計測値を B ルート(Wi-SUN / ECHONET Lite) で定期取得
- 取得したデータを MQTT (3.1.1) で Home Assistant へ送信
- Home Assistant の自動ディスカバリに対応し、センサーとして自動登録
- 初期セットアップ後は USB メモリ不要。ブラウザの管理画面から各種設定が可能
取得できるセンサー
| センサー | 単位 | 内容 |
|---|---|---|
| 瞬時電力 | W | 現在の消費電力 |
| 積算電力量(順方向) | kWh | 買電の積算 |
| 積算電力量(逆方向) | kWh | 売電の積算 |
| 相電流 | A | 各相の電流値 |
仕組み(アーキテクチャ)
スマートメーター
│ B ルート認証(ID + 12桁パスワード)
│ Wi-SUN / ECHONET Lite
▼
NextDrive Cube J1(Android ベースの Linux)
├─ mqtt_bridge.py … 計測値を取得し MQTT へ publish
└─ config_web.py … :8080 で動く設定用 Web UI
│ MQTT 3.1.1(Auto Discovery)
▼
Home Assistant(Mosquitto などの MQTT ブローカー)
ポイントは、Web UI(config_web.py)とブリッジ本体(mqtt_bridge.py)が独立したプロセスとして動作していることです。設定変更用の画面がブリッジ本体の動作に干渉しないよう分離されています。
特徴
- Python 2.7 の標準ライブラリのみで実装(外部依存なし)。Cube J1 の環境に合わせた構成
-
Web 管理画面:
http://<デバイスのIP>:8080/から Wi-Fi・B ルート認証情報・MQTT 設定・ポーリング間隔を変更可能 -
初期設定モード:自宅 Wi-Fi の認証情報が事前に分からなくても、Cube J1 のデフォルト AP(
CubeJ-XXXXXX)経由でセットアップ可能 - LED ステータス表示:セットアップ完了や動作状態を視覚的に確認
- ログ閲覧:ブリッジのログを Web 画面からリアルタイムで確認
-
Basic 認証対応:
config.jsonでパスワード保護を有効化できる
必要なもの
- NextDrive Cube J1 本体
- USB メモリ(FAT32 フォーマット)
- Home Assistant(MQTT ブローカー、Mosquitto 推奨)
- B ルート認証に対応したスマートメーター(B ルート ID + 12桁パスワード)
セットアップ手順
- リポジトリをダウンロードし、
config.jsonを編集する(一部は空欄のままでも OK) -
CubeJMTS.txtとproduction_tool/を、FAT32 でフォーマットした USB のルートにコピーする - USB を Cube J1 に挿し、電源を入れる
- 白色 LED の点滅でセットアップ完了を確認する
- 自宅 Wi-Fi の設定が必要な場合は、
CubeJ-XXXXXXの AP に接続して Web UI から設定する - 以降は Web UI からスマートメーター情報と MQTT の詳細を設定する
ディレクトリ構成
production_tool/
├── production_tool # セットアップスクリプト
├── mqtt_bridge.py # コアとなるブリッジ本体
├── config_web.py # 設定用 Web UI
├── config_web.rc / mqtt_ha_bridge.rc # 起動スクリプト
├── led_effect.sh # LED 制御
├── config.json # 編集可能な設定ファイル
└── wpa_supplicant.conf # Wi-Fi 認証情報
使い方
初期セットアップ後は、同一ネットワーク内から http://<デバイスのIP>:8080/ にアクセスすることで、USB を抜き差しすることなく設定を変更できます。Wi-Fi・B ルート・MQTT の各種パラメータを変更すると、ブリッジが再接続して計測を再開します。
おわりに
「サービス終了 = 使えなくなる」と諦めてしまいがちですが、内蔵の Wi-SUN モジュールと B ルートを活かせば、Cube J1 は Home Assistant 連携のスマートメーターゲートウェイとして十分に現役です。手元に眠っている Cube J1 がある方は、ぜひ試してみてください。
ベースとなった tsuyopon123/cube-j1-mqtt の作者の方に感謝します。