はじめに
前回記事(v2.1.73まで)に続き、2026年3月12日〜3月27日に投入された v2.1.74〜v2.1.84 の主要アップデートをまとめます。
Remote Control、MCP Elicitation、Computer Use といったリサーチプレビュー機能に加え、フックイベントの大幅拡充やワークツリーの強化など、実用的な改善が多数含まれています。
対象バージョン: v2.1.74 〜 v2.1.84(2026年3月27日時点の最新版)
# バージョン確認
claude --version
# アップデート
npm update -g @anthropic-ai/claude-code
1. Remote Control(リモートコントロール)— リサーチプレビュー
ターミナルで起動した Claude Code セッションを、claude.ai/code や iOS アプリから遠隔操作 できるようになりました。
主な特徴
- ターミナルで
/remote-controlを実行するとセッションがブリッジされる - WebSocket 再接続により、スリープ復帰後も数秒で復帰
-
Permission Relay: ツール承認プロンプトをスマートフォンに転送可能(
--channelsフラグ) - AI 生成のセッションタイトルが Remote Control 側にも反映
利用例
# ターミナルでセッション開始
claude
# セッション内で Remote Control を有効化
/remote-control
# ブラウザで claude.ai/code にアクセスしてセッションを操作
VSCode からの利用
v2.1.79 で VSCode 拡張にも /remote-control が追加されました。IDE からそのままブラウザにブリッジできます。
修正履歴
| バージョン | 修正内容 |
|---|---|
| v2.1.84 | ブロック時の理由表示を改善 |
| v2.1.83 | セッション一覧で Idle 表示される問題を修正 |
| v2.1.81 | セッションタイトルの更新・/exit での確実なアーカイブを修正 |
| v2.1.76 | WebSocket 長時間切断時のブリッジ失敗を修正 |
2. Computer Use(コンピュータ操作)— リサーチプレビュー
Pro / Max プランユーザーが macOS 上で利用可能な デスクトップ操作機能 です。Claude がチャットを超えて、画面上の操作を自律的に行います。
できること
- ファイルを開く、開発ツールを実行する
- ポイント&クリック、画面ナビゲーション
- スクリーンショットを撮影して画面内容を認識
対応モデル
- Claude Opus 4.6、Claude Sonnet 4.6: 最新ツールバージョン(
zoomアクション対応) - Claude Opus 4.5: 以前のツールバージョン
Computer Use は現在ベータ版であり、Zero Data Retention(ZDR)の対象外です。
3. MCP Elicitation(対話的ダイアログ)(v2.1.76)
MCP サーバーが タスク実行中にユーザーへ構造化された入力を要求 できる機能です。ワークフローを中断せずに、必要な情報を収集できます。
仕組み
- MCP サーバーが
elicitation/createリクエストを送信(JSON Schema で入力フォームを定義) - Claude Code がスキーマに基づいてインタラクティブなフォームを描画
- ユーザーが入力を完了すると、バリデーション済みのデータがサーバーに返送
ユースケース
- コミットメッセージや PR タイトルの入力
- 複数の実装戦略からユーザーに選択させる
- 環境に存在しない認証情報の入力要求
- 破壊的操作の確認ダイアログ
フックとの連携
Elicitation / ElicitationResult フックイベントが追加され、Elicitation の前後に任意の処理を挟めます。
MCP のその他の進化
| 改善 | バージョン |
|---|---|
| OAuth Client ID Metadata Document(CIMD / SEP-991)対応 | v2.1.81 |
| サーバー命令は 2KB に制限(コンテキスト肥大化防止) | v2.1.84 |
| ローカル設定と claude.ai コネクタの重複排除(ローカル優先) | v2.1.84 |
--mcp-config によるマネージドポリシー回避を修正 |
v2.1.83 |
| MCP 再接続時のツール/リソースキャッシュリークを修正 | v2.1.84 |
4. フック(Hooks)の大幅拡充
v2.1.74〜v2.1.84 で多数の新しいフックイベントが追加されました。
新規フックイベント一覧
| フックイベント | 説明 | バージョン |
|---|---|---|
PostCompact |
コンテキスト圧縮(compaction)完了後に発火 | v2.1.76 |
TaskCreated |
TaskCreate でタスク作成時に発火 |
v2.1.84 |
StopFailure |
APIエラー(レート制限・認証失敗等)でターン終了時 | v2.1.78 |
CwdChanged |
カレントディレクトリ変更時 | v2.1.83 |
FileChanged |
ファイル変更検知時 | v2.1.83 |
Elicitation |
MCP Elicitation 開始時 | v2.1.76 |
ElicitationResult |
MCP Elicitation 結果返却時 | v2.1.76 |
HTTP フック対応
WorktreeCreate フックで type: "http" がサポートされ、HTTP POST でワークツリーパスを返却できるようになりました(v2.1.84)。
フック設定の実例
{
"hooks": {
"CwdChanged": [
{
"type": "command",
"command": "direnv allow 2>/dev/null || true"
}
],
"StopFailure": [
{
"type": "command",
"command": "echo 'API error occurred at $(date)' >> /tmp/claude-errors.log"
}
]
}
}
CwdChangedとFileChangedは direnv のような環境変数管理ツールとの連携に最適です。
SessionEnd フックの改善
- v2.1.74: タイムアウトが 1.5 秒固定だったのを
CLAUDE_CODE_SESSIONEND_HOOKS_TIMEOUT_MS環境変数で設定可能に - v2.1.79:
/resumeでのセッション切り替え時にSessionEndが発火しない問題を修正
5. ワークツリー(Worktrees)の強化
sparse-checkout 対応(v2.1.76)
worktree.sparsePaths 設定により、大規模モノレポで 必要なディレクトリのみチェックアウト できます。
{
"worktree": {
"sparsePaths": [
"packages/my-app/",
"packages/shared-lib/",
"configs/"
]
}
}
ディスク使用量を大幅に削減でき、ワークツリー作成も高速化されます。
セッション復帰の改善
- v2.1.81:
--resumeでワークツリーセッションを再開すると、自動的に元のワークツリーに復帰 - v2.1.78:
--worktreeフラグ使用時にスキル/フックがワークツリーディレクトリから読み込まれない問題を修正 - v2.1.76: ワークツリー起動パフォーマンスの改善
6. Transcript Search — 会話ログ検索(v2.1.83)
Ctrl+O でトランスクリプトモードに入った後、/ キーで会話ログ内のテキスト検索 ができるようになりました。
操作手順:
1. Ctrl+O でトランスクリプトモードに入る
2. / を押して検索モードに入る
3. 検索キーワードを入力
4. n / N でマッチ箇所を前後に移動
長いセッションで過去のやり取りを素早く見つけるのに便利です。
7. /security-review — セキュリティ分析コマンド
Git リポジトリに対して コードを読んで理解した上で脆弱性を発見 するセキュリティ分析コマンドです。単純なパターンマッチングではなく、コードの文脈を理解して分析します。
検出対象
- SQL インジェクション
- クロスサイトスクリプティング(XSS)
- 認証・認可の不備
- 安全でないデータ処理
- 依存パッケージの脆弱性
# プロジェクトディレクトリで実行
/security-review
GitHub Action 版(claude-code-security-review)も提供されており、PR のコード変更に対して自動的にセキュリティレビューを実行できます。
8. パフォーマンス改善
v2.1.74〜v2.1.84 では起動速度・メモリ使用量の両面で大幅な改善が行われました。
起動速度
| 改善 | バージョン |
|---|---|
| macOS で並列キーチェーン読み取りにより約 60ms 高速化 | v2.1.77 |
setup() 並列化で約 30ms 高速化 |
v2.1.84 |
未認証 HTTP/SSE MCP サーバーとの -p 起動で約 600ms 高速化 |
v2.1.83 |
| macOS 不要なサブプロセス起動をスキップ | v2.1.75 |
メモリ使用量
| 改善 | バージョン |
|---|---|
| 起動時のメモリ使用量を約 80MB 削減(25万ファイル規模のリポジトリ) | v2.1.80 |
| 起動時のメモリを約 18MB 削減(複数シナリオ) | v2.1.79 |
--resume でフォーク多用セッションの再開が最大 45% 高速化・約 100〜150MB 削減 |
v2.1.77 |
| ストリーミング API レスポンスバッファの早期終了時メモリリークを修正 | v2.1.74 |
トークン表示の改善
1M 以上のトークン数が "1512.6k" ではなく "1.5m" と表示されるようになりました(v2.1.84)。
9. その他の注目機能
--bare フラグ(v2.1.81)
スクリプトから -p(print モード)を呼び出す際に、フック・LSP・プラグイン同期をスキップして 最小構成で実行 するフラグです。
# スクリプト内でのバッチ処理に最適
ANTHROPIC_API_KEY=sk-ant-... claude -p --bare "このコードの概要を1行で説明して" < main.py
--bare使用時はANTHROPIC_API_KEYまたはapiKeyHelperが必須です。自動メモリも無効化されます。
Opus 4.6 の 1M コンテキスト(v2.1.75)
Max、Team、Enterprise プランで Opus 4.6 の 1M コンテキストウィンドウ がデフォルトで有効になりました。
最大出力トークン引き上げ(v2.1.77)
Opus 4.6 のデフォルト最大出力トークンが 64k に、上限が 128k に引き上げられました。
Plugin Marketplace の進化
| 改善 | バージョン |
|---|---|
${CLAUDE_PLUGIN_DATA} 変数でプラグイン永続ステート対応 |
v2.1.78 |
source: 'settings' でインラインプラグイン宣言 |
v2.1.80 |
allowedChannelPlugins マネージド設定(管理者向け) |
v2.1.84 |
| ref 追跡プラグインがロード時に毎回再クローン | v2.1.81 |
RTL テキストサポート(v2.1.74)
ヘブライ語、アラビア語などの 右から左(RTL)テキスト が Windows Terminal / conhost / VS Code で正しくレンダリングされるようになりました。
Voice Mode の改善
- v2.1.84: push-to-talk でキーを押し続けた際に文字が入力に漏れる問題を修正
- v2.1.83: ネイティブオーディオモジュールによる起動時 1〜8 秒のフリーズを修正
- v2.1.78: WSL2 + WSLg(Windows 11)での Voice Mode 対応
- v2.1.74: macOS ネイティブバイナリにマイク権限エンタイトルメント追加
/copy の進化(v2.1.77)
/copy N で N番目に新しい回答 を直接コピーできるようになりました。
# 最新から2番目の回答をコピー
/copy 2
/context コマンドの改善(v2.1.74)
コンテキストを消費しているツール・メモリの肥大化を 具体的な最適化提案つきで表示 するようになりました。
10. セキュリティ関連の改善
| 改善 | バージョン |
|---|---|
| サンドボックス依存の無断無効化を防止(起動時警告を表示) | v2.1.78 |
sandbox.failIfUnavailable 設定の追加(サンドボックス利用不可時にエラー終了) |
v2.1.83 |
CLAUDE_CODE_SUBPROCESS_ENV_SCRUB=1 で子プロセスから認証情報を除去 |
v2.1.83 |
Windows ドライブルート(C:\ 等)の危険な削除を検出 |
v2.1.84 |
マネージドポリシーの ask ルールをユーザーの allow ルールが回避できる問題を修正 |
v2.1.74 |
PreToolUse フックの "allow" 返却が deny パーミッションを回避する問題を修正 |
v2.1.77 |
全バージョン変更点サマリー
| バージョン | 主な変更 |
|---|---|
| v2.1.74 |
/context 改善、RTL テキスト対応、メモリリーク修正、MCP OAuth 修正 |
| v2.1.75 | Opus 4.6 の 1M コンテキストデフォルト化、/color コマンド追加 |
| v2.1.76 | MCP Elicitation 対応、worktree.sparsePaths、PostCompact フック、/effort コマンド |
| v2.1.77 | Opus 4.6 出力トークン 64k/128k 化、/copy N 対応、起動 60ms 高速化 |
| v2.1.78 |
StopFailure フック、プラグイン永続ステート、レスポンス行単位ストリーミング |
| v2.1.79 |
--console 認証フラグ、ターン所要時間表示、VSCode Remote Control |
| v2.1.80 |
rate_limits ステータスライン、--channels リサーチプレビュー、起動 80MB 削減 |
| v2.1.81 |
--bare フラグ、Permission Relay、複数セッション再認証修正 |
| v2.1.83 | Transcript Search、CwdChanged/FileChanged フック、managed-settings.d/
|
| v2.1.84 |
TaskCreated フック、PowerShell ツール(Windows)、MCP 2KB 制限 |
まとめ
v2.1.74〜v2.1.84 のアップデートで特に注目すべき機能は以下の5つです。
- Remote Control: ターミナルからブラウザ/スマホへシームレスに作業を引き継ぎ。外出先でもセッション継続可能
- MCP Elicitation: タスク実行中にユーザーへ構造化された入力を要求。対話的なワークフローを実現
-
フックイベント拡充:
PostCompact、StopFailure、CwdChanged等、より細かい制御が可能に - ワークツリー sparse-checkout: 大規模モノレポのディスク使用量を大幅削減
- パフォーマンス改善: 起動速度とメモリ使用量の両面で着実に進化
わずか2週間で11バージョンがリリースされており、開発ペースの速さが際立ちます。公式の Changelog を定期的にチェックすることをおすすめします。
参考
- Claude Code Changelog(公式)
- Claude Code フックリファレンス
- Claude Code CLI リファレンス
- Claude Code 設定ガイド
- Claude Code スラッシュコマンド
- Claude Code Security Review(GitHub Action)
- Claude Code 概要(Anthropic 公式)
@kotaro_ai_lab
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