こんにちは。先日、世界最高峰の機械学習の国際学会である「ICML 2026」に参加してきました。
今回は、何の専門性も自分の研究実績もない状態で飛び込んだ私が、世界の圧倒的なレベルに打ちのめされ、そして猛烈にモチベーションに火をつけられた2日間の体験記をシェアしたいと思います。
■ タイムライン:参加セッションの記録
2日間の過密スケジュールの中で、主に興味のあるMI(マテリアルインフォマティクス)や分子生成、確率モデルに関するセッションを中心に回りました。
【1日目】
・8:15 - 9:00 | 鈴木先生講演
東大の先生だったため拝聴。
・9:00 - 12:00 | Structured probabilistic inference and generative modeling
興味のあるMIに関連する内容のため参加。
・13:30 - 14:00 | RL from World feedback
Physical AIの学習において、従来の報酬関数によるフィードバックから、LLMによるフィードバックへ移行しようとする試みについて。
・14:00 - | HALLD1
分子生成や確率モデルに関するセッション。
【2日目】
・10:00 - | Validating Theoretical Physics Produced by AI
理論物理の専門用語が多く難解でしたが、「AIは純粋理論には強いが、実験物理など現実の問題にはあまり強くない」という趣旨の話でした。
・13:00 - | パネルディスカッション:AI時代の教育
「科学者の仕事はAIに奪われるか」という論題に対し、理論物理学者の先生は代替されると主張し、コンピュータサイエンスの先生は否定するなど、熱い議論が交わされていました。また、人間の強みである「好奇心」を伸ばすためにAIをどう活かすかというテーマも印象的でした。
・15:00 - | ポスターセッション
物性物理学や分子生成へのAI応用に関する発表を中心に回り、研究者に積極的に話しかけにいきました。
■ 初めての国際学会で得た「3つの気づき」
① 「東大」というブランドは世界では1ミリも通用しない
日本にいれば「東大生」と言うだけで、何もできなくてもある程度のリスペクトを得られる側面があります。しかし、世界最高峰の舞台ではそんな肩書きは一切通用しませんでした。
自分の専門性や研究成果がない状態で飛び込んだ結果、ポスター発表の内容にはついていけず、学会後のAnthropicのイベントでもまったく相手にされない(大人たちも就活や優秀な学生のスカウトで忙しいため、ただの学生を相手にしている暇がないのも事実ですが)という、苦くて貴重な経験をしました。真の意味で「何者でもない自分」を実感し、井の中の蛙であったことを知れたのは最高の収穫です。
② 臆せず質問すれば、最先端のエッセンスは理解できる
英語で一気にまくしたてられると最初は意味不明でしたが、わからない部分をその都度質問し、確認しながら会話を進めることで、その研究の「中心的なアイデア(エッセンス)」は意外と理解できることに気づきました。自分の勉強してきたことが、世界の最先端に少しでも通じた瞬間は純粋に嬉しかったです。
③ 上には上がいる。世界で戦う同世代の存在
ポスターセッションで堂々と発表しているアメリカの高校生を目撃しました。「世界には、高校生で国際学会で発表する人間がいるのか」と、圧倒的な基準の差に大きな衝撃を受けました。
■ 実際にこれから何をするのか
今回の経験で、今の自分の立ち位置と、目指すべきレベルがはっきりと見えました。正直、具体的な内容はほとんど理解できませんでしたが、だからこそ「勉強への意欲」が爆発しています。ここからの行動を変えていきます。
・基礎体力の圧倒的強化
機械学習・AIの知識が圧倒的に足りないことを痛感したため、帰国後すぐに『深層学習(ビショップ)』や『ゼロから作るDeep Learning(ぜろつく)』を読み始め、統計学の勉強もスタートしました。この夏休みで統計検定準1級の取得を目指します。
・1年後の国内学会発表へ向けて
まずは1年後に国内学会で論文を発表することを直近のゴールに設定しました。そのために、興味のあるMI分野の論文を読み始めました。
・AI研究会での輪読会立ち上げ
自分一人で自走するだけでなく、所属するAI研究会でも深層学習の輪読会を始める決心をしました。メンバーとお互いに高め合える環境を自分で作っていきます。
・「本物の英語力」を身につける
これまでは「論文なんてAI翻訳で読めばいい」と思っていましたが、現場に行って気づきました。AIの知識がどれだけあっても、リアルタイムで英語でディスカッションできなければ話になりません。ツールを有効活用しつつも、自分の頭と耳と口を徹底的に鍛え直します。
■ おわりに
初めての国際学会は、難解な内容と不慣れな英語の連続でしたが、私のハートに火をつける最高の経験になりました。「次は発表する側としてこの舞台に戻ってきたい」と強く思っています。
また、今回の学会に一緒に参加したメンバーの存在も、非常に大きな刺激になりました。それぞれの尊敬できる部分を見つけ、人生でほぼ初めて「心からあこがれるような人」に出会えたことは、何よりの幸運です。
知識面でも、人格面でも、自分が目指すべきロールモデルと高いレベルが定まった、人生のターニングポイントとなるイベントでした。ここから努力を重ねて成長していきます。
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