Salesforceのカスタム住所項目を作成してみようと試行錯誤した記録です。
結果からいうと
私の管理している組織では導入を見送る結果となりました。
導入見送りの原因については後述します。
カスタム住所項目とは?
住所データ型
住所は、国、郵便番号、都道府県、市区郡、町名・番地と複数の入力項目で構成されていますが、一かたまりの情報として扱われる特殊なデータ型です。
カスタム住所項目の作成が可能に
従来、取引先などの標準オブジェクトには「住所」型の標準項目がありましたが、カスタム項目として「住所」データ型の項目を作成することはできませんでした。
Winter’23から、この「住所」データ型のカスタム項目の作成が可能となりました。
カスタム住所項目を有効化するには、[設定]>[ユーザーインターフェース]で「カスタム住所項目を使用」にチェックを入れます。なお、カスタム住所項目は無効にはできません。

ただし、これだけでは住所項目を作成することはできません。
キャプチャ内にも記載がありますが、[設定]>[州/国/テリトリー選択リスト]の設定をする必要があります。
国や都道府県の入力は選択リストでの選択に
標準の住所項目では国や都道府県が自由入力のテキスト形式ですが、カスタム住所項目は国や都道府県の値を選択リストから選択する形式となります。
この選択リストの設定を「州/国/テリトリー選択リスト」で行います。
なお、既存の標準住所項目はフリーテキストのままか、選択リストでの入力にするか選択できます。
参考:
カスタム住所項目の作成 (正式リリース)
カスタム住所項目の作成
カスタム住所項目に関する考慮事項
「州/国/テリトリー選択リスト」の有効化
「州/国/テリトリー選択リスト」の有効化には、以下の2つのステップが必要です。

1. 州/国/テリトリー選択リストの設定
選択できる国と州を設定します。
今回はデフォルトの国は日本を選択し、日本のみを参照可能にしました。これで選択リストの選択肢には日本のみが表示されます。

日本の左側の「編集」をクリックし、「州」に47都道府県を登録します。

州コードは都道府県コードというものがあるようで、それを入力しました。
参考:
【苦戦ポイント】都道府県の登録は一括でできない
47都道府県を一括で登録する方法がないか調べ、メタデータで新規作成を試したのですがエラーとなりました。
helpにも記載の通り、メタデータでは新規作成ができないようです。
メタデータでは州名の修正もできませんでした(こちらはhelpに記載がありませんでした)。
help :州選択リストと国/テリトリー選択リストおよびメタデータ API
メタデータ API を使用して新規の都道府県、国、またはテリトリーを作成または削除することはできません。
ちなみにDeveloper Editionでは日本の都道府県はローマ字で登録済みでした。
組織の作成日によっては標準で準備されている場合もあるかもしれません。
2. 組織をスキャン
標準項目の住所項目の既存の値をスキャンし、ステップ1で設定した選択リストの値に置き換えます。
[設定]>[州/国/テリトリー選択リスト]内の「1. 標準の住所項目を使用して保存された州/国/テリトリーのデータをスキャンします。」をクリック→「州/国/テリトリーのデータをスキャン」をクリックします。
スキャンが完了すると「住所データのスキャン」メールが届きます。

メールのリンクをクリックし、既存の値を先ほど設定した国や都道府県の値に置換していきます。

【問題発生】既存の値の精度が低い
ここで私たちの組織では問題が発覚しました…!
既存の住所データの入力内容が非常に不揃い(国、都道府県の項目に支店名、部名、電話番号などを入力している)で、47都道府県の値に置換することは現実的に不可能でした。
データクレンジングの工数とリスクを考慮し、標準の住所項目を選択リスト形式にすることは断念しました。
断念はしましたが、スキャンするともう一通「住所カスタマイズのスキャン」メールが届きますのでこちらの説明もしておきます。
リンクを開くと、[ドキュメント]タブがclassic画面で表示されます。
組織の州/国/テリトリー選択リストを有効化する際に、影響がある既存のカスタマイズ箇所が記載されているテキストファイルが格納されています。
既存のカスタマイズ箇所を修正する必要があるか確認することができます。
カスタム住所項目を作成
標準の住所項目を選択リストにすることは叶いませんでしたが、国と州(都道府県)の選択リスト値を設定した時点でカスタム住所項目を作成できるようになります。

選択リストから都道府県を選択できます。

【問題発生】自動更新がうまくいかない
作成したカスタム住所項目に、ユーザーの住所項目(標準項目)を転記したいという要望があったためフローを作成したところ、以下の事象が発生しました。
- ユーザーの住所項目に入力されている値が設定した選択リスト値以外(都道府県に市区町村まで入力しているなど)の場合、カスタム住所項目に転記できずフローエラーとなる
- さらに、選択リストに登録されている「北海道」などの値であっても、なぜかフローがエラーになるケースも発生しました。(こちらは原因特定には至らず)
このため、カスタム住所項目も使用せず、旧来通り都道府県、市区町村などのカスタムテキスト項目を作成して対応することにしました。
【結論】既存データのクリーニングが急務
カスタム住所項目の導入をスムーズに行うには、既存の住所データのクリーンアップ(表記ゆれの統一、選択リストに合わせた値への修正)が必須という結論に至りました。
私たちの組織では、このデータクリーンアップの優先度を上げることが難しく、残念ながらカスタム住所項目の導入は断念しました。
カスタム住所項目の導入を検討されているシステム管理者の皆様は、既存データの状態を確認することを強くお勧めします。

