はじめに
ラジコンにマイコンを載せて改造していたとき、こんな現象に遭遇しました。
- タイヤを浮かせると普通に回る
- でも地面に置いた瞬間、全く動かない
原因は電源にありました。
この記事では、そのときの試行錯誤と、そこから分かった電源設計の考え方をまとめます。
起きていた問題
モーターは状況によって必要な電流が大きく変わります。
- 空中で回す → 負荷が小さい → 電流も小さい
- 地面で走る → 負荷が大きい → 電流が急増
特に発進時は「ストール電流」と呼ばれる最大電流が流れます。
このとき、電源がその電流を供給できないと
- 電圧が下がる
- モーターが回らない
- マイコンがリセットする
という状態になります。
いろいろな電池を調べて試してみた
スペースの制約もあり、いくつかの電池を試しました。
アルカリ電池
- 入手しやすい
- 初期電圧は高い(1.5V)
- しかし大電流が苦手
→ モーターに負荷がかかるとすぐに電圧が落ちる
マンガン電池
- 安価
- 小電流用途向き
→ モーター用途ではさらに不向き
リチウム一次電池
- 充電不可
- 長期保存向き
→ 高出力用途にはあまり向かない
モバイルバッテリー
- 5Vが安定している
- マイコンには最適
→ しかし放電能力が低く、モーターでは力不足
リチウムイオン電池(2次電池)
- 充電可能
- エネルギー密度が高い
- 比較的安定
→ ある程度は使えるが、高負荷では限界がある
リチウムポリマー電池(LiPo)(後で存在を知った)
- 高い放電性能(高Cレート)
- 軽くてコンパクト
- モーター用途に適している
→ ラジコンやドローンで使われる理由がここにある
コンデンサも試した
コンデンサも追加しました。
コンデンサは
- 一瞬の電圧低下を補う
- ノイズを吸収する
といった効果があります。
しかし結果は大きく変わりませんでした。
これは
→ 継続的に必要な電流が足りていなかったため
です。
コンデンサはあくまで補助であり、電源そのものの能力は変えられません。
なぜ電流不足で電圧が下がるのか
電池は内部に抵抗を持っています。
そのため
電圧降下 = 電流 × 内部抵抗
という関係があり、大きな電流を流すと内部で電圧が消費されます。
結果として、出力電圧が下がります。
設計としてどうするべきだったか
電源設計では「最大負荷時」を基準に考える必要があります。
手順
- モーターのストール電流を確認(または実測)
- モーターの数を掛ける
- マイコンなどの消費電流を加える
- 合計電流を算出する
そのうえで
→ その電流を安定して供給できる電源を選ぶ
さらに
→ 1.5〜2倍の余裕を持たせる
ことで安定した動作になります。
電流の実測方法
設計に必要な電流は、データシートだけでなく実際に測ることでより正確に把握できます。
ここでは簡単な測定方法を紹介します。
用意するもの
-
テスター(マルチメーター)
- 電流(A)が測れるもの
測定の基本
電流は「回路を流れる量」なので、測定するときは回路に直列に接続します。
電池 + → 電流計 → モーター → 電池 −
このように接続することで、
→ 電池から流れている電流(=消費電流)
を測定できます。
※ 並列に接続するとショートの危険があるため注意が必要です。
測定するポイント
① 無負荷電流
- タイヤを浮かせて回す
- 最も軽い状態
→ 基本的な消費電流の目安
② ストール電流(最重要)
- タイヤを軽く押さえて回らない状態にする
- 一瞬だけ測定する(1秒以内)
→ 最大電流(設計基準になる値)
注意点
- テスターは電流モード(Aレンジ)に設定する
- 測定端子の差し込み位置を間違えない
- ストール電流は長時間測らない(モーターや回路に負担がかかる)
なぜ実測が重要なのか
モーターの仕様が不明な場合や、実際の負荷条件が異なる場合、
→ カタログ値と実際の値が大きくズレることがあります。
そのため、
→ 実際に使う環境で測定することが最も確実
です。
まとめ
今回の問題は
「電源が必要な電流を供給できていなかった」
というものでした。
試行錯誤の中で
- 電池の種類による違い
- コンデンサの役割
- 電流と電圧の関係
を理解することができました。
今後は
- 最大電流を基準に設計する
- 電池の放電性能を確認する
この2点を意識することで、安定した動作を実現できます。