1. Intro
研究室の人たちを見ていると,「はい,はい」と従順に頷いていて,後からその内容について質問されると全く理解していないという場面によく遭遇します.
その人たちの共通点には大抵,「自分で考える」クセがないことがあげられます.
そこで,自分もしくは他人が「本当に自分で一度考えたか」をチェックするために
✕ 自分で何も考えていない人がしてくる質問・返答
〇 目指したい質問・返答
をそれぞれ対に5個挙げてみました.
一言でいうと,
イメージ | 説明 |
---|---|
✕の発言はアルバイトです.バ畜バレバレです. | |
〇の発言は必ず自分で一度考えるという過程を踏まないと出てこない言葉です. |
(この記事の注意書き)
- 自分で一度考えたか,根拠を持って行動しているかを基準に考えています.
- 正しいか,間違っているか,いい結果が出るか出ないかはどうでもいいとしています.
- ✕は事実であり,〇とコメントは私の意見です.〇は人それぞれ改善の仕方があると思いますので適宜変えてください.
2. 読者の対象
理系の研究室1年目.もしくは,そのような人を後輩に持つ場合.
概ね中堅以下の大学生向けです.
3. 内容
重症順に並べています.
状況 | ✕ 自分で何も考えていない場合 | 〇 一度でも自分で考えている場合 | コメント |
---|---|---|---|
指摘されている時 | はい,はい,おっしゃる通りです. | このような理由で,こうやろうと思っていました. | 言われたままやってるようだと絶対いつか痛い目に遭います.根拠を持って行動しよう.また,後で「なぜ先生や先輩はこのように言うのか?」と疑おう. |
方針を相談する時 | 今からこれをやればいいですか? | このように考えたので,このような方針でやっていこうと思うのですがどう思いますか? | 人に判断を仰ぐな.このような姿勢を誰も評価してくれません.自分の意見を持ってから質問しよう. |
質問の仕方 | どうやって解決すればいいですか? | このような設定で,このようなエラーが出て,これが悪いと思うのですが,なぜエラーが出るのでしょうか? | "How"しか考えていない人は自分で問題を解決する力が付きません.原因調査をしてから質問しよう. |
結果を見せる時 | このような相関が出ました. | このような相関が出たので,これをヒントとしてなぜこうなったかを考えたら,こういう因果関係がありました. | 相関や傾向がでたところで研究成果にはならない. |
進捗が遅れていて「まだやっていないの? 」と聞かれた時 | 今週はちょっとバイトや授業で忙しくて,データ回すのも時間がかかっていてまだ途中です. | やっていません.今この段階と優先度で,今後こういう手順と日程で行っていく予定です. | 言い訳する時間は相手の時間を奪っているだけでただの迷惑.YesかNoかを最初に答え,いつまでにやるのかを答える. |
3つめの「質問の仕方」については先日好評をいただいた記事も参考にしていただければと思います.
3. 相手が「自分で考えているか」を見抜く方法
なぜ?と(相手または自分に)問いかけてその反応を見てみましょう.自分で考えていない人は何も答えられません.
(質問例)
「なぜ」その選択をしたのか?
「なぜ」この手法を使わないといけないのか?
「なぜ」この近似を使わないといけないのか?
4. おわりに
自分で考えない人は,なぜ自分で考えないのでしょうか?
それは,「自分で考える」とかなり時間を食うからです.
こう考えると,「自分は頭がよくないから」,「自分で考える癖がないから」というのは,言い訳に聞こえてきませんか.
(当たり前ですが,)仕事の時間週5日×8時間を基準に考えると研究時間は全然足りません.
もしあなたが大してセンスもないのに理系に進んだなら,時間がかかっても,進捗が出なくて怒られても,自分で考える時間を作らないと成長できないと思います.Youtuberの効率厨に惑わされてはいけません!!
研究内容に興味がないと,人々はこれをブラックととらえます.
研究内容が面白いと思うと,人々はGWも夏休みも夢中でやっています.
すすんで自分で考えるようにするための近道の一つは,個人的には興味だと思います.
もう一つの要因として幼いときの教育も挙げられると思います.
小中高では,「~~の問題には~~しなければなりません」と暗記で言えば評価されます.このような報酬の元,子供は学習していくのですから,「自分で考えること」は「時間の無駄」だと思い省いてしまいます.
しかし,人や本の言うことの暗記は,研究活動や数学では評価0ですので,途端に無能な人と化します.
あと,海外の人はよく個人の主張や,「なぜ?」を頻繁に聞いてくるため,英会話においても無能な人と化します.
凡人が「自分で一度考える」ようになるには,それを初歩的なレベルから意識的にトレーニングしなければならなさそうです.