はじめに
ITエンジニアはスキルアップのために、技術記事を書くなどアウトプットすることが推奨されており、同様にイベントで発表することも推奨されています。
しかし、いきなり大きなコミュニティで発表するのはハードルが高く、なかなか発表機会が得られない方々も多いと思います。
(そういう人のために、参加人数が少なく、発表初心者が集まるコミュニティとして「Serverless LT 初心者向け」というコミュニティを立ち上げました)
本稿では、LT(ライトニングトーク)と呼ばれる5分程度の発表をやってみようとする人が、LT資料を作るにあたって知っておくと良さそうなことと、発表資料のテンプレートを紹介します。
発表することのメリット
まず、技術記事を書くメリットと同じメリットがあります。
技術記事を書くメリットは色々ありますが、思いつくものだけでも以下があります。
- 自分の知識を整理してスキルアップに繋がる。記事を書こうとした際に、理解が曖昧だったことに気付いて、そこで学び直すことも多い。
- 記事の投稿や発表でアウトプットした方が、脳科学的にも良いとされている。(詳細はこちらの記事参照)
- 他の人からのフィードバックで知見が広がる。
- 他の人から「いいね」や「感謝」をされると嬉しい。
そして、発表によるメリットは、上記メリットが強化されます。
必ず発表を聴いてくれる人がいるので、その人達に伝わる資料にするために知識の整理がよりしっかり行われ、他の人から(ほぼ)必ずフィードバックがもらえます。また、同じイベントに参加して顔が見える人から直接「いいね」と言ってもらうことはとても嬉しいものです。
あとは、人脈を広げやすくなるメリットもあります。私の場合、発表することでコミュニティの中心者と交流できたり、発表をきっかけにコミュニティの運営に参加させてもらったりしました。
1番 難しいのは1回目
技術記事を書き始める際によく言われることがあります。
「誰でも最初はうまく書けません」
技術記事を何度も書いていくうちに、だんだん記事の質が上がったという人は多いと思います。
発表も同じと思います。
「誰でも最初はうまく発表できません」
とにかくまず発表して経験を積んで、次に改善できれば、それで良いと思います。
1回目のハードルさえ超えられれば、2回目以降の発表にどんどんチャレンジできると思います。
発表する人の増加は、コミュニティ全体の活性化に繋がります。
だから発表すること自体が、業界に貢献することになると思います。
テーマ決め
初めてのLTのテーマを決めるのは、なかなか難しいと思います。
もしテーマ決めに難航した場合、私のオススメは、有名な技術について、自分なりにやってみて得られた知見を紹介することです。
具体例として、Serverless に関連するテーマ案を以下に挙げます。
- Blazor WebAssembly + Azure Functions でC#だけでWebアプリを作って得た知見
- Azure Functions の Web API + Azure Cosmos DB でデータを取得・更新して得た知見
- AWS Lambda + Amazon API Gateway で Web APIを作成して得た知見
上記は、内容的に、すでに世の中にある技術記事と重複する部分があると思います。
だから大事な点は**「自分なりの視点での理解を書き、自分が得られて良かった知見を書く」**ことだと思います。
聞き手の知識や経験によって、同じ発表でも、心に刺さる人と刺さらない人がいます。
また、その技術に精通している人の発表よりも、そうじゃない人の発表の方が、シンパシーを感じて心に刺さる場合だってあります。
ここで言いたいのは、「技術知識の深さ」が発表における絶対的なものではないということです。人によって刺さる発表は違うと思います。初心者には初心者の発表の方が刺さる場合もあるかもしれません。
だから、同じ技術に対して、色んな人が「自分なりの視点」で発表することは、その技術を扱うコミュニティへの貢献になると思います。
上記のように、自分なりの視点で発表することは意義あることなので、おおよそのテーマが決まったら、connpassのイベントの「LT枠」に申し込みましょう。
スライドの作成
私が過去に初めてLT発表の準備をした時、様々な方々のLT資料を眺めたのですが、決まった構成はありませんでした。
その中でも無難そうなパターンを真似て、私の初めてのLTは、以下の構成にしました。
- タイトル
- 自己紹介
- 主題(技術の紹介)
- まとめ
自己紹介は、なるべく簡潔にした方が良いと思います。
5分しかないので、発表内容に時間を確保するために、簡潔に紹介する人が多いと思います。
例えば、私の場合は「小島優介です。C#を用いたツール開発チームのエンジニアリングマネージャーをしています。」くらいの内容です。
スライドのページ数については、私が確認した限り、同じ5分間の発表でも10~40ページという感じに幅がありました。ページ数が多い人は、1ページ平均数秒で話します。それらの人はITエンジニア本大賞2020になった プレゼン資料のデザイン図鑑 に書かれているような感情にアプローチするテクニックを用いています。
まずはそういうテクニックを使わずに、社内発表で慣れている形式で発表資料を作ればいいと思います。
何ページだろうと、とにかく5分に収まればOKです。大幅な時間超過をしないように気をつけましょう。
スライドのテンプレート
具体例がないとイメージが湧きにくいと思いますので、発表資料のテンプレートになるものを作ってみました。
(フォントや書式は、PowerPoint2019のデフォルトのままにしています)
内容は「Blazor WebAssembly + Azure Functions でC#だけでWebアプリを作って得た知見」をテーマにして、無難な構成で書いたものです。内容を書き換えることで、テンプレートのように使えると思います。
よろしければ、以下のサイトからダウンロードしてください。
LT初心者用テンプレート(PowerPoint形式)
以下に、テンプレートのスライド内容を記します。
1ページ
2ページ
3ページ
4ページ
5ページ
6ページ
7ページ以降は省略(技術の解説ページ)
なお、書式や背景色が良い感じに設定されたテンプレートを利用したい場合は、こちらの記事を参照ください。
発表練習
スライドができたら、発表練習は必ずやりましょう。
私は、発表練習をやってみたら5分に全然収まらなかったことが何度かありました。
その際には、何枚かスライドを削除して調整しました。
別の手段として、5分に収めるために、発表練習を繰り返して早口でしゃべることで、スライドを削除しないという方法もあります。スライドを削除して調整するのが難しい場合は、こちらの方法を使います。
これは発表時間の短いLTならではの文化のようで、早口で発表する人はわりといます(私も早口)。
なお、発表に際して、少しでも不安な気持ちがある場合は、発表時に「初めての発表です」と言うことで少し楽になります。私の経験では、LT大会に好んで参加するような方々は、そういう頑張って参加したLT初心者に対して、物凄く暖かく接してくれました。
まとめ
本稿を読んで、初めてのLTをやってみようと少しでも思ってもらえたなら幸いです。
もしそう思った場合は、connpassでLT枠のあるイベントを探してみましょう。
私は、LT初心者が集まるコミュニティとして「Serverless LT 初心者向け」というコミュニティを立ち上げました。
このコミュニティで開催しているLT大会なら、失敗しても大丈夫なので、初めてのLTをやってみようという人は、コミュニティのメンバーにご参加ください。
Serverless LT 初心者向け - connpass
Twitterでも開発に役立つ情報を発信しています → @kojimadev