過去に読んだ本で、プロジェクト進行のヒントにつながった本や、ヒントを得るために最近読んだ本をご紹介します。
達人プログラマー(第2版): 熟達に向けたあなたの旅
とても良い本でした。数年前になりますが、Wantedlyで感想文を記載しました。
アジャイルサムライ――達人開発者への道
10年以上前の本になりますが、とても読みやすく、内容は今でも十分に通用するものだと思います。
多くのプロジェクトを手掛け、時には失敗し、プロジェクトをクビになる経験もあった筆者の話は机上の空論ではなく、これまでの自分の経験とシンクロしながら情景をイメージしながら読み進めることができました。
特に良かった部分をいくつか引用します。
誰でも失敗する———恐れるな
以前に携わった建設関連のプロジェクトで、印刷にまつわるストーリーをスパルタ式に進めたことがあった(必要最低限の実装だけで届けることにした)。このストーリーのデモを始めた途端に、お客さまが納得してないことに気づいた。礼儀正しいお客さまだったので、彼らは私に何も言わなかったが、気に入ってないのはあきらかだった。それに、今回のデモがあまり胸を張れる成果じゃなかったことは、私自身が一番よくわかっていた。そのとき私は「このままでは良くないので、もう一度やらせてほしい」と頼んだ。お客さまからの返事は「イエス」だった。もし私が、それまでの7週間のあいだ、毎週しっかりと成果を届け続けていなかったら、お客さまの答えは違っていたかもしれない。君のお客さんだってそうだ。君自身がしっかりと仕事をこなしている姿を毎週ちゃんと見せていれば、寛容な態度でいてくれると思う。時どきへまをやらかしたとしても、大目に見てくれるはずだ。だから挑戦することを恐れないでほしい。挑戦して、失敗する。それでも主導権を手放さないようにすること。それも仕事のうちなんだ。
10.7自分たちに合った手段を選ぼう
大事なのは価値につながる習慣を守ることだ。値打ちがないと思ったら、やり方を変えるか、さもなくば止めてしまうのだ。
どんどんリファクタリングする———そしてそれを続ける
積極果敢なリファクタリングとは、イテレーションの終わりにまとめてリファクタリングすることじゃない。一日を通じてたゆまず、継続的にリファクタリングするってことなんだ。
アジャイルであるかなんて気にしない
いいかい、アジャイル開発とは旅そのものであって、目的地じゃないんだ。この旅に終わりはない。肝に銘じてほしい。アジャイルで「あること」なんてどうでもいいんだ。大切なのは素晴らしいプロダクトを作ることと、それを君のお客さんにちゃんと届けることなんだ。私から言えることがあるとすれば、「もうやり残したことはないし、何もかもわかった」と思ったその瞬間、君はもうアジャイルじゃなくなるってことだ。だから、プラクティスに囚われすぎちゃだめだ。この本から使えそうなものを選んだら、それを君の現場の性質と状況に馴染むようにするんだ。もしもこの先、自分のやり方が「アジャイルの道」に沿っているかどうかの自信がなくなったら、悩んでないでこう自問すればいい。毎週、価値ある成果を届けられているか?たゆまぬ改善のための努力を惜しまず続けているか?この2つの問いヘの答えが「イエス」なら、君はアジャイルだ。
本当にこの通りだと思います。
アジャイルで「あること」なんてどうでも良いし、用いるフレームワークや開発手法なんてどうでも良い。
しっかりと価値を考えて提供できるか、その点だけが重要だと思います。
このあたりの私の考え方は下記の記事でも記載しています。
PMBOK®ガイド第7版
用語の定義は和訳の問題か少しピンとこない部分が多いですが、世界的な標準ということで頭に入れておくと良いかもしれません。
しかし、国内であまり浸透してない語彙は混乱を招きそうなので注意が必要でしょう。
これからプロジェクト管理を学ぼうとか、プロジェクトマネージャーを目指す人にはいまいち書籍で記載されていることはイメージしにくいように思います。
一方で、すでにプロジェクトマネージャーとして経験があったり、全体を俯瞰する案件の経験があれば、これまでの自分の体験に重ね合わせながら
「あのときはこうするべきだったな」とか「この観点が足りてなかったな」とか考えながら読むことができるでしょう。
達人プログラマーの本とも重複する部分ですが、前半に書かれた「プロジェクトマネジメントの原理・原則」はとても良いこと書いているなと感じました。
- 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること
- 協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること
- ステークホルダーと効果的に関わること
- 価値に焦点を当てること
- システムの相互作用を認識し、評価し、対応すること
- リーダーシップを示すこと
- 状況に基づいてテーラリングすること
- プロセスと成果物に品質を組み込むこと
- 複雑さに対処すること
- リスク対応を最適化すること
- 適応性と回復力を持つこと
- 想定した将来の状態を達成するために変革できるようにすること
問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術
人と組織に対する深い洞察と専門知を有する経営コンサルティングファームって一体どういうことだろう。
研究機関の人でもある著者の書く内容はきっと難解で、自分にはピンとこないだろうと思いながら手にとりましたが、良い意味で裏切られました。
とても丁寧で、わかりやすく、読みやすい文章でしかも具体的な話が豊富でした。
予定通り進まないプロジェクトの進め方
著者の前田考歩さんはお仕事でご縁があり、知的で明快なファシリテーションをするイメージでしたが、文章からもさすがだなと思う言葉選びでとても読みやすく、そして読み応えがある内容でした。
後藤洋平さんのことはこの本で初めて知りましたが、文章からとても人柄がにじみ出ているように感じました。とても真摯で誠実な人だなと文章から丁寧さや配慮を感じました。
そして、やっぱり前田さんと同じく、書いている内容が本当に同意できます。
本の中で中心となる独自ツール「プロジェクト譜」の考え方はプロジェクトを俯瞰したり概略を議論する中では使いやすいように感じました。特に私達のようにシステム開発の現場に特化して、というより様々な場面で汎用的に使えるツールになっていると思います。
見通し不安なプロジェクトの切り拓き方
「予定通り進まないプロジェクトの進め方」の続編となるこちらも読んでみました。
やっぱり言葉選びが上手で、「my projectをour projectに」の部分や「薪ストーブ」の比喩は表現がわかりやすく、このように人に伝えるのかと、とても感心しました。