プロダクトマネジメントグループの@koiwai です。1児の母をしながら、スナップスナップのマーケティング領域に携わっています。
この記事は フォトクリエイト Advent Calendar 2019 の 19日目です。
概要
新しくできたばかりの組織に新入社員が配属されることになり、OJTトレーナーに任命されました。
- 新設された組織で新入社員の育成をする難しさ
- 世代が離れている新入社員を理解し、成長支援する難しさ
を感じながら、マジメに&遊び心をもって取り組んだこと。
後輩育成と子育ての共通点に気づいたことについて、紹介します。
難しかったポイント
新設された組織で新入社員の育成をする難しさ
私が所属するプロダクトマネジメントグループは、4月に新しく出来たばかりの組織でした。
- 組織としてのミッションや各人の仕事の定義もまだない。
- 全員が担当プロジェクトの各フェーズに応じて柔軟に役割を変え、走りながら模索している状態。
→当然、新入社員が経験すべき業務やスキルセットも整っていないので、育成計画が立てにくい状況でした。役割がフワッとしている上に、大きなリニューアル前で受け入れ側がバタバタしている中配属された本人も戸惑ったと思います。
世代が離れている新入社員を理解し、成長支援する難しさ
- 育成に関わるのは数年ぶり。しかも干支が一周しそうなくらい世代が離れている。
- 同性&THE新人らしいタイプの育成経験は何度かあったものの、異性&個性が光るタイプを担当するのは初。
→過去に育成に関わった時の経験から、成長支援のためには「相手を理解した上でのコミュニケーション」×「タイプ・レベルに合わせたサポート」で信頼関係を築くことが大事だなと個人的に思っていました。
が、そもそも理解するのに苦労しそうな予感のする状況でした。
実施したこと
今回は以下の2つに絞って紹介します。
①どの役割でも共通するスキル=「ヒューマンスキル」を身につける機会を。
仕事内容が定義されていない中、まずは「どの役割でも共通するスキル」を身につけてもらおうと考えました。
ベースにした考え方が、「カッツモデル」です。
※ハーバード大学ロバートカッツ教授が提唱した、階層別に求められる能力の比率を図示したモデル
引用:日本最大のHRネットワーク『日本の人事部』
トップマネジメント(上級管理職)に近づくほど、「コンセプチュアルスキル」が求められ、ロアーマネジメント(新任管理職)であるほど、「テクニカルスキル」が求められることになる。管理職研修のテーマも、このような「カッツ・モデル」の考え方によって構成されることが多い。
注目されるのは、「ヒューマンスキル」が、常に重要であるという点。これは現場で部下を育成し、マネジメントしていくためには、どのような立場となっても必須の要件であることを示している。「ヒューマンスキル」の習得は、マネジメントする側が生涯、継続して行っていくべき事項だと言えるだろう。
この考え方は、マネジメント・プレイヤー関係なく、他者と仕事をする全ての人に言えることだなと個人的には思っています。
その時任せる仕事に応じて「テクニカルスキル(業務遂行能力)」の指導はするとして、どの役割でも必ず必要になる「ヒューマンスキル(対人関係能力)」の基礎を、まずは身につけてほしいと思っていました。
配属後、複数の関係者の協力を得ながら小さなプロジェクトを推進する仕事をいくつか任せたところ、どうも様子が…。時にはヒヤヒヤしたり、指摘を受けてしまい後でこっそり謝りに行くこともあったりなかったり。
ポイントはコミュニケーション課題だなと気づきましたが、指摘したときに本人に納得感がなさそうだったり、理解出来るように説明したつもりでもすぐに改善につながらないことがありました。
対人関係のことは、様々な立場で成功・失敗体験をして初めて自身の課題に気づくことも多いので、経験の浅い新入社員がスムーズにいかなくて当たり前なんですけどね。(私もまだまだ勉強中)
それでも、学生時代過ごしてきた環境や役割、元々人の感情にどのくらい関心があるタイプなのか等で、難易度や感じるストレスが変わってくる部分でもあると思います。
##②「1on1」「ゲームランチ」で、バックグラウンドと価値観理解。
強みを伸ばし課題を克服してもらうために、まずはバックグラウンドや価値観を理解しようと考えました。
週1回の1on1では、毎回テーマは自由に決めてもらって、話したいことを話してもらいました。1on1は多くの企業で取り入れられていますし、偉い方の専門的な解説を見ていただいた方がずっと参考になると思うので、詳しくは割愛しますが、
- 業務上抱えている課題
- 公私関係なく普段どんな事に興味があるのか(ないのか)
- 何が得意で何にストレスを感じ今どんな状態なのか
- それはなぜか
などをリアルタイムに知る機会になりました。
また別の切り口で、楽しくライトなところから価値観に触れられるツールがあったら面白いなと思い、人事部門の教育担当でゲームマスターの@tetsunosukeito に相談し、定期的にランチをしながら色々と試してみることになりました。
参考:昨年のアドベントカレンダー記事[ゲームで価値観理解とコーピング]
あなたを知らないあなたの隣人~「行列に割り込む」は何番目に悪いことですか?~
お題のカードを「悪いこと」「やってみたいこと」「やりたくないこと」などの順番に並べて、お互いの価値観を予測するゲーム。お互いをどこまで理解できているか分かり、なんでその順番を選んだ?という話から価値観を共有することができました。
無礼講ースター
「心理的安全性の確保」「自己開示の促進」効果で、無礼講にパーソナルな質問ができるゲーム。2018年に販売した時は1分で完売した入手困難なレアな品らしいです。
ワイワイ盛り上がりながら価値観やバックグラウンドを共有することができました。
ゲームを通じて理解できたポイント
- どんなご両親のもと育ってきたのか
- 学生時代はどんな子どもで先生にどんなことを言われてきたのか
- 人生の中で何に影響を受けてきたのか
- ○○な状況の時に××な言動をすることが多いけど実はどんな心境なのか
- 夢中になることや大切にしたい価値観は何なのか
- 苦手なことが何で、これまでどうしてきたのか
など、マジメな話から
- 実は私は、フラッシュモブをやる側に回ってみたいことを打ち明ける
など、飲み会の席のような相当くだらない(けど距離が縮まる)話まで及び、より深い理解につながりました。普段飲み会のレアキャラの私としては、そんな話がシラフで昼間にできたのも思わぬ収穫でした。
相手を理解できる1on1に対して、ゲームだと相手の得意/不得意・価値観やバックグラウンドを理解できるだけでなく、 自分のことも相手に理解してもらう機会にもなると思いました。
「自分が大切にしている価値観」や、「得意なように見えるけど実は昔は苦手で、克服して意識的にやっていること」などを開示することで、 口うるさく指摘してくるであろうポイントや、人間らしい一面も知ってもらえるので、また違う関係性を作りやすかったように思います。
OJTの指導に活かせたポイント
- この仕事は得意な領域だろうから一人で任せても大丈夫だろう。でもここだけ○○にならないようにだけ気にしておこう。
- これたぶん苦手意識ある仕事だな。もう少し様子を見てみて、苦戦したらこういうポイントでサポートしよう。
- フィードバックするときに、ここは丁寧に説明した方がいいだろうな。その先は自分で考えてもらった方が本人のためになるな。
- 本当はこういう意図で発言したつもりなんだろうな。(発言の裏側を想像してアドバイス)
と、サポート・関与度合いのバランス調整に役立ちました。
本人にも感想を聞いてみました
「普段のコミュニケーションから、@koiwaiさんが大切にしているポイントは何となく伝わってきていたけど、それを再確認できたのがよかったです。
特に、仕事でもプライベートでも『人との関係性を大事にしていること』とか。ゲームを通じて、やっぱりそうなんだなと思いました。
また、自分の価値観を再確認できるいい機会にもなりました。『意識していなかったけど、自分ってやっぱりこのポイントが大事なんだな』と気づけたのも面白かったです。」
おわりに
配属されてから約9ヶ月。当時の未熟な発言を笑いのネタにできるほど自分を客観的に見れるようになったり、克服すべき課題を言語化できたり、先回りして仕事を進められるようになったりと、うちの子は随分頼もしくなってきました。(まだまだ課題とのびしろありますが)
いつの間にか「うちの子」と書いてしまいましたが、一日のうち一緒に過ごす時間は我が子と同じくらいの新入社員。
- 相手を理解すること
- チャレンジさせて、多少の失敗は見守りつつ丁度良いサポートをすること
- 絶対守って欲しいことから逸脱したら厳しく指摘すること
- 成長や努力を認めてあげること
- 期待をかけること
は、子育てと共通しているなと思います。
冒頭で世代の違いに触れましたが、結局はバックグラウンドの異なる相手とどう向き合い理解し合うかなので、実はそこはあまりハードルではありませんでした。
私自身も、時間的制約の中で成果を出さねばならない働き方なので、新入社員に限らず周囲の人と、お互いの状況や強み弱みをオープンにして、助け合える関係を築けるようにしたいと思っています。
フォトクリエイトでは、こんな風に周囲やユーザーとの関係構築を大切にし、一緒に人やサービスを育てていける方を募集しています。
少しでもご興味をお持ちいただけたようでしたら、人事部門の担当者 twitter: @tetsunosuke へお知らせください。
今回ご紹介したカードゲームの他にも全部で20種類くらいのツールを持っていたりするようなので、簡単なワークショップなども人数が集まればやってくれるそうです。私が雑な相談をすると、しょーがないなーって顔をして喜んで対応してくれています。