♪は〜て〜し〜な〜く〜 :オープニングテーマ(DAVID By 矢野顕子)
掘りごたつでお茶を入れ、せんべいを頬張るかや乃。やや離れて黙々とノートPCを操作するきみえ。
きみえ「おねえちゃん、やっぱりわかんないよ!」
PCの操作を投げ出し、倒れ込んでしまうきみえ。
かや乃「それくらいわかんないでどうするのよ。」
IT技術者としてそれなりに長く仕事をしているがレガシー対応ばっかりで枯れて行ってしまう自分のスキルに磨きをかけたいきみえが、かや乃に謎の特訓を受けていた。
きみえ「だいたい今時、C++でBTree勉強してどうなるって言うの?!」
かや乃「あんたねぇ、基本よ基本。今時のシステムは全部、BTreeで動いてんだから。」
きみえ「だって、見たことないんだも〜ん!!」
かや乃「それにね、Javaばっかりやってないでその上に行きたかったらC++を勉強しなさい!」
きみえ「私はもっとユーザーに近いところのシステムがやりたいの〜」
玄関の扉が開く。
レイ子「ただいま〜!」
レイ子が帰ってきてかや乃の特訓が中断されるので嬉しいきみえ。飛び起きて玄関に向かって声をかける。
きみえ「どうしたの?!」
上機嫌にほろ酔いで帰ってくるレイ子。
レイ子「ちょぉっとパーティーの帰りでさぁ〜♪」
憮然とした顔でお茶をすするかや乃。
かや乃「だからここはあんたの家じゃないんだから」
レイ子「わかってるって〜!ほーらおねーちゃんにお土産、もらってきたんだよっ♪」
かや乃「なによ?」
レイ子「さっき知り合った社長さんと仲良くなっちゃってさ〜。よくわからないんだけど、これもらったの」
カバンから怪しい茶封筒を取り出し、かや乃に渡す。
かや乃「なにこれ?」
レイ子「なんか、vine linuxっていうの?私、ワイン苦手なんだけどって言ったんだけど、99年モノのヴィンテージのフロッピーだからって無理やり渡されたのよ〜」
かや乃「ウソっ!?」
レイ子「なんていうか、私も罪な女っていうか〜?なんだか意気投合されちゃって〜」
かや乃「ちょっと私、見てくる!」
茶封筒を抱きしめて自室に行こうとするかや乃をなだめてレイ子は語り出す。
レイ子「ちょっと、ちょっと待ってよ、おねーちゃん。今日の話を聞いて、まず聞いてよ〜」
かや乃「えぇ〜なによ。あんたの話は聞いてもしょうがないからこっちを確かめたいのよ」
立ち上がろうとしたところをレイ子に袖を引っ張られて無理やり座らされてしまうかや乃。
レイ子「今日はちょぉっと内輪だけのプレスパーティーがあったんだけど〜」
かや乃「プレス向けだったら内輪じゃないじゃない。何言ってんのよ?」
レイ子「とにかく〜知り合いの社長から誘いがあって新しいビジネスモデルの発表会に顔だしてきたのよ〜」
きみえ「れいちゃん、大丈夫なの?また変なのに引っかかってんじゃないの〜?」
レイ子「きみちゃんじゃないんだから〜変な男には引っかかったりしませんから〜」
きみえ「うるっさいね〜!ふんだ!」
きみえはPCに再び向かって作業を始める。
レイ子「とにかく、今日は日本の、いや世界の農業に革命を起こすトークンビジネスで、志を共にする世界を本気で変えたい同志を集うパーティーに行ってきたってわけよ」
かや乃「あんたねぇ、十分怪しいわよ。」
レイ子「いや、これは本物なんだってば。ブロックチェーンでDNAの交配記録を」
かや乃「はいはい、わかったから。もうね、あんたそう言うのに出資するのやめなさいよ?」
レイ子「本当にこれで最後だから!いや、これはもう当たるからね!そしたらここに来るのももう最後になっちゃうかもな〜。ごめんね、おねーちゃん♪」
かや乃「もういいわよ、はいはい、わかったから。私はね、さっさとこの封筒の中身確認してくるから。」
かや乃はメゾネットの自室へ封筒を持って急ぎ足で向かう。
かや乃を横目に見つつ、きみえにささやくレイ子
レイ子「きみちゃん、あんたさ、ちょっと投資しない?」
きみえ「れいちゃんやめてよ。こないだも変なカエルの転売に失敗したばっかりじゃない。あれの埋め合わせどうしてくれんのよ?」
レイ子「あはは〜!あんなの本気で在庫抱えたのびっくりしたわよ!ああ言うのはちょっとずつやるんだから」
きみえ「絶対、需要があるって行ったのれいちゃんじゃん!」
レイ子「需要があるのは当たりでしょ!あんな大量のカエル在庫がはけただけでもよかったと思いなさいよ!だからさ、次は在庫のいらない投資、しよ?」
きみえ「今回はなんなのよ?も〜そういうのやめてよ〜。」
レイ子「今回は農業に革命起こすんだから、カエルの転売とはスケールが違うのよ!」
きみえ「革命ってさ、なんなの?なんの交配記録を残すの?」
レイ子「ひよこ♪」
困惑顔でリアクションができないきみえ。しばらく固まってから再びPCに向かう。
レイ子「きみちゃん、ここで毎月1万でも2万でも貯金のつもりでさ、積み立てのつもりでさ?来年には毎月ハワイ行けるかもよ〜?」
PCの手が止まるきみえ。
きみえ「毎月、ハワイ?!」
レイ子「そうだよ〜?毎月、ワイハーでルービーだよ?!」
きみえ「・・・マジで〜?!ワイハーでルービー?!」
満面の笑みのきみえ。
かや乃「ギャーーー!!!!」
きみえ「何?!」
レイ子「まさか!」
はっと顔を見合わせるきみえとレイ子。
叫びながら階段から降りて来るかや乃
かや乃「フロッピー起動したらハードディスクのフォーマットが勝手に始まったじゃない!!」
レイ子はダッシュで玄関に向かいながら叫ぶ。
レイ子「今時、起動できるフロッピードライブ持ってる方がおかしいのよ!!」
玄関を出たところでレイ子を捕まえて叫ぶかや乃。
かや乃「アキバの中古屋でおととし見つけたフロッピードライブがやっと使えると思ったのにこんちきしょぉぉぉぉ!!!!」
レイ子「ギャァァァァ!!!おねえちゃんそこは!やめぇぇ!!!」
きみえ「わいは〜♪わいは〜♪」
鼻歌を歌いながらPCをいじるきみえ。
きみえ「あ、UT通った。」
サントワマミ〜♪ :エンディングテーマ(サン・トワ・マミー By RCサクセション)
あとがき
恩田三姉妹に会いたくて衝動的に書き始めました、が・・・@Yametaro 先生のようにうまいこと(?)プログラムがらみの話が入れられませんでした。先生、すごい。
今回のレイ子とパーティー編、中身が薄いなぁ。。。次回はもうちょっと濃い内容にできるように頑張ります。(ぉ)