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インピーダンスはオームの法則の周波数表現である

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Last updated at Posted at 2026-02-25

背景

回路を単なる電子工学ではなく、線形応答理論の具体例と考えられないでしょうか?
この記事では、回路のインピーダンスが オームの法則の周波数表現 であることを見ます。

1. 抵抗値の周波数特性は重要である

回路の抵抗値が入力の周波数に依存する例として、コンデンサを考えます。1
コンデンサは次のように振る舞います:

  • 直流電流では電荷が蓄積されると電流が止まる $\rightarrow$ 抵抗が大きい
  • 交流電流では充放電を繰り返す $\rightarrow$ 電流が流れる(抵抗が小さい)23

このように、回路素子の振る舞いは周波数に依存します。
そのため、回路の性質を周波数空間で記述することは便利でしょう。

2. インピーダンスの導入

任意の回路を、入力が電流$I(t)$、出力が電圧$V(t)$である線形演算子$f$とします。
後述しますが、実際に抵抗・キャパシタ・コンデンサは線形の応答を示します。
$f$は以下の関係を表します。
$$V(t) = f[I(t)] \tag{1}$$

$I(t)$は連続関数ですが、便宜上以下のようにデルタ関数で分解します(図1参照)。
言い換えると、連続的な入力のかわりにデルタ関数の入力が沢山やって来たと考えます。
$$I(t) = \int_{-\infty}^{t} \delta(t-t') I(t') dt'$$

式(1)に代入し、$f$の線形性を利用して変形します。:
$$V(t) = f\left[\int_{-\infty}^{t} \delta(t-t') I(t') dt'\right] \ = \int_{-\infty}^{t} I(t') f[\delta(t-t')] dt' \tag{2}$$

ここで、式(1)で$f[I(t)]$というよくわからん応答が、$I(t)$の関数系に依らず$f[\delta(t-t')]$というシンプルな形式に変形できたということは注目に値します。このようなデルタ関数への応答をインパルス応答といいます。ここでは$\xi$で表すことにしましょう。
$$\xi(t-t') = f[\delta(t-t')]$$

したがって式(2)は畳み込み形にできます:
$$V(t) = \int_{-\infty}^{t} I(t') \xi(t-t') dt'$$

周波数応答を調べるために、フーリエ変換します。畳み込みなので各々の関数のフーリエ変換の積でかけます4
$$\hat{V}(\omega) = Z(\omega)\hat{I}(\omega) \tag{3}$$

ここで、インピーダンス$Z(\omega) = \mathcal{F}[\xi(t)]$を導入しました。
よく見ると、式(3)はオームの法則$V=RI$と同じ形をしていますね。このことは

・回路が線形である限り、周波数空間では「電圧=インピーダンス$\times$電流」という単純な関係が成り立つ

・入力$I(t)$がどんな関数系でも、インパルス応答からおおよその性質を調べることができる。

ことを意味しています。周波数空間における抵抗値こそが、インピーダンス$Z(\omega)$なんですね。

3. インピーダンスの具体的な計算

抵抗・インダクタ・キャパシタについてインピーダンスを実際に計算しましょう。
前節で導入した通り、インピーダンス$Z(\omega)$を改めて定義します:
$$ Z(\omega) = \mathcal{F}[\xi(t)] = \mathcal{F}[f[\delta(t-t')]] \tag{4}$$

演算子$f$は以下の通りです。

  • 抵抗   :$V(t) = R I(t)$
  • インダクタ:$V(t) = L \dfrac{dI(t)}{dt}$
  • キャパシタ:$V(t) = \dfrac{1}{C} \int_{-\infty}^{t} I(t') dt'$

それでは、式(4)に従って$Z(\omega)$を計算しましょう。
簡単のため$t'=0$とします。

抵抗のインピーダンス

$Z_R(\omega) = \mathcal{F}[R\delta(t)] = \int_{-\infty}^{\infty} R\delta(t) e^{-i\omega t} dt = R$

インダクタのインピーダンス

$$
Z_L(\omega) = \mathcal{F}[L\frac{d\delta}{dt}]
= \int_{-\infty}^{\infty} L\delta'(t)e^{-i\omega t}dt
= L\left( -\frac{d}{dt} e^{-i\omega t} \right)_{t=0}
= i\omega L
$$

ここで$\int f(t)\delta'(t)dt = -f'(t)$の関係を使いました。5

コンデンサのインピーダンス

ステップ関数を用いて
$$\int_{-\infty}^{t} \delta(t') dt' = \Theta(t)$$
と書けることに注意して、
$$
Z_C(\omega) = \mathcal{F}\left[\dfrac{1}{C}\Theta(t)\right] = \int_{0}^{\infty} \dfrac{1}{C} e^{-i\omega t} dt = \dfrac{1}{i\omega C}
$$

となります。

計算結果

まとめると、
$$ Z_R = R,\quad Z_L = i\omega L,\quad Z_C = \dfrac{1}{i\omega C}$$

です。
これは高校物理で習うようなベクトル表記・及び微分方程式からの計算結果と一致します!!

4. RLC並列回路への応用

式(3)はオームの法則と同じ形をしていますから、インピーダンスを抵抗とみなして複雑な回路を計算できます。6
図2のようなRLC並列回路のインピーダンスを計算しましょう。
回路全体の抵抗の逆数が、並列素子の抵抗の逆数の和と等しいので、
$$\dfrac{1}{Z_{RLC}(\omega)} = \dfrac{1}{R} + \dfrac{1}{i\omega L} + i\omega C$$

計算すると
$$Z_{RLC}(\omega) = \dfrac{1}{\dfrac{1}{R} + i\left(\omega C - \dfrac{1}{\omega L}\right)}$$

$|Z_{RLC}(\omega)|$のグラフを図3に示します。
よく知られているように、$\omega C=1/(\omega L)$、つまり$\omega=\frac{1}{\sqrt{CL}}$を満たすときに$Z(\omega)$が最大になります。これを共振といいます。
微分方程式を直接解いても同じ結果になりますが、周波数空間で解析を行う方がシンプルですね。


図1:$I(t)$の分解イメージ

図2:RLC共振回路

図3:RLC共振回路のインピーダンス特性
# 5. フーリエ変換とラプラス変換

これまでは、定常状態を暗に仮定していました。スイッチ投入直後のような過渡応答や初期条件を扱うには、
フーリエ変換の$e^{-i\omega t}$の部分を拡張して、複素周波数 $s=\sigma+i\omega$ を用いたラプラス変換が使われます。

まとめ

  • 回路は線形応答系として扱える
  • インパルス応答のフーリエ変換がインピーダンスである。

電子回路の初歩的な本でインピーダンスの計算方法は勉強していたものの、結局何なの?と腑に落ちていなかったので、勉強してみました。大学生の頃に統計物理学の授業で線形応答理論を習いましたが、難しくて挫折したことを思い出しました。もっと頑張ればよかったな、、、

  1. 参考(https://www.tdk.com/ja/tech-mag/condenser/003

  2. コンデンサの金属板間で変位電流を考えると、閉回路として扱うことができる。

  3. この原理を利用して、負荷と並列にコンデンサを接続させてノイズフィルタにできる。

  4. 線形性$\rightarrow$畳み込み$\rightarrow$フーリエ変換の流れは、数学的に深い意味があるらしい。

  5. デルタ関数を微分していいか、という疑問はおいておきます。

  6. 正確じゃないかも?

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