IBM i ロチェスターツアー2024に参加してきました
IBM i の開発総本山であるアメリカのロチェスター研究所に行ってきました!
記憶が新しいうちに参加レポートを綴ります。
ロチェスターおよびロチェスター研究所とは
アメリカのミネソタ州の南に位置する街です。
メイヨークリニックという、世界の良い病院ランキングで1位になった超有名病院があります。
その街にIBM i の開発総本山であるロチェスター研究所があります。
青いボックス状の建物がたくさん、メインエントランス前にあるIBMは圧巻です。
ツアー概要
10月28日から11月2日の6日間での開催で全体のスケジュールとしてはこんな感じ。
参加メンバーはお客様パートナー様11名とIBM3名の計14名でした。
昨年も私は参加したのですが、、、昨年と比べて今年は若手の方が多い印象でした!
セッションのアジェンダ
3日間の内容はこちら
各セッションについてざっくり簡単にまとめます
IBM i Strategy and Roadmap
IBM i のロードマップや新機能などIBM i 全体に通じる関する話でした。
IBM i が今後も投資されていくこと、技術者不足に対するモダナイゼーションの取り組みについて知ることができました。
RPG code assistantに関する最新情報も聞けました。
RPG code assistantの開発にあたって学習用サンプルプログラムを募集しているので、ぜひ提供いただけると嬉しいです!どんなプログラムでもAll OKとのことです。
Power Update and Directions
IBM i のサブスクリプションライセンスに関しての情報、Next IBM iの発表時期や機能など未発表情報についてに関する話が多く、ロチェスターに来たからこそ聞ける話がてんこ盛りでした。
IBM i だけではなく、Powerのハードウェア情報も聞くことができたのが嬉しかったです。
PowerVS
PVSの基本的な話から最新の追加機能についての話でした。
特にPVSへVSN(仮想シリアルナンバー)についての詳細、新規ユーザーに向けた2000ドル分無償PVS利用プロモーションに関する情報を聞くことができました。
セキュリティ
IBM i のセキュリティ強化に関するセッションでした。
セキュリティを強化するためにはサポートOSである7.4以降を使用すること、権限収集を活用してやたらにアクセス権を与えないこと、通信は暗号化すること、OSは管理者にしか触らせないためにユーザーとインタフェースは分けることなど基本的なことではありましたが改めて大事だな、、、と。
Next IBM i に搭載予定のセキュリティ強化策についても伺うことができました。
セキュリティレベル20のシステムをお持ちのユーザー様は、ひとまず権限収集で適切に権限を割り当てることから始めて、最低30までは上げてほしいとのことでした。
HA/DR
HA/DRの開発と機能についての概要、市場動向、またユースケースが紹介されました。
12月に発表予定の製品の先行情報もありました。
BRMSのライセンス課金形態および、今後の強化方針についても伺えたのが個人的には嬉しかったです。
HA/DRのソリューションはISVのものばかりで、IBM製のものに関してあまり話を聞く機会が私は今までなかったので新鮮でした。
(去年もそうでしたが、、、HA/DRは概念が難しいですね、、、)
VS Code
VS codeの拡張機能である、code for ibmiとDB2 for iについてのセッションでした。
DB2 for i 拡張機能でのSQLクエリ実行、エラー解析、NoteBook機能を活用したSQLの視覚化の紹介など、、、私が使いこなせていなかった機能について聞くことができました。
私が少し前に検証し、勝手にできないと思っていたことが最新のバージョンではできる(Callコマンドの実行,固定長プログラムの保守など)とのことでアップデートがどんどん行われているそう!
登壇者の方が22年入社の若い方だったのですが、5250画面は触らないらしいです。全部VS codeでやっているとのこと。びっくり。
Open Source
IBM i における今後のOSS戦略に関する話やロチェの担当者が注目しているOSSについて紹介がありました。
「”無料だから"という理由でOSSを使うべきではない(トレーニングやサポートで結局お金がかかるから)、より早いイノベーションを求めてOSSを使用することが大事」という言葉が刺さりました。
またPython,Node.js,PHPへの投資を強くお勧めしていたのが印象的でした。
ACSでのOSSの提供がちょっと遅い、、と感じておりましたが、Pythonの一番新しいのがもうすぐ追加されるそう、!
そして他システムとの連携のためApache Kafkaなどキューイングツールを使用することのススメは昨年同様強く推してる印象を受けました。
ちなみに、IBM i 技術者の使用言語で多い順がRPG>java>PHP>COBOLだそうです。
Exploring AI/watsonX
AIのIBM i におけるユースケースとWatsonXの提供内容についての紹介でした。
IBM i のAIモデルである、Granite3.0がオープンソース化されたそう!
ローカル環境でAIを使用するためのツールであるOllamaでもGraniteが使用できるそう。
Power10とPower9でのGraniteを稼働させてみた際の比較を紹介していましたが、Power10の方が圧倒的にパフォーマンスが良いとのことで(Power9が28秒かかった推論をPower10は2秒で出すそう)、MMAすごいですね。
あとWatsonXは画像生成にも対応しているそうです!
Lab tour
Powerが出荷されるまでのテスト、梱包の過程を見ることができました。
また今年は量子コンピュータについてもシャンデリアから水冷装置まで色々見せていただきました。
さらにロチェスター勤務社員が働くオフィスエリアも見学させていただきました、キッザニア気分で楽しかったです。
IBM i モダナイズ
RDi,VS codeといった今どき開発ツールやRPGとSQLとの融合についてのセッションでした。
SQLに対する投資はすごいようで、CLコマンドで行っていることはほとんどSQLで代用できるとのこと。
Merlin as a Serviceの話もありました、IBMからの提供ではなくパートナーさんからの提供を基本とするそう!日本だと三和コムテックさんからリリースされますね。
Merlinは2.0になってからシングルノードサポートされるなど、構成がどんどん小さくなっていっているので普及を進めていきたいところです。
APIの話もありました。登壇者のTimさんがIBM i 上でAPIを構成するIWSを作成したそうです。
DB2 for i/SQL
7.4および7.5における機能強化のお話がメインでした。どんどん機能追加していっているようで、最新のOSバージョンを使ってほしいとのこと。コミュニティの要望に上がって9この機能強化もあったそうです。
強化の一つとして、SELFと呼ばれるSQLエラーロギング機能が紹介されていました。使用することで、SQLエラー検出ができるみたい(デバッグ機能のような印象を持ちました)
こちらに強化されたものの一覧があります
IBM i サービスはどんどん強化されているようで、どんどん使ってくれとのことでした。(SQLでシステム監視できたりします!)
ACSのSQL関連の新リリース予定の話も先行で聞くことができました。
Navigator for i
私がお世話になりまくっているツールの一つ、Navigator for iでできることのデモ紹介でした。
コマンド操作なしでシステム値変更できるの本当にありがたいので皆様使ってほしい。
PTFの確認や、ユーザープロファイルの作成、監査もできちゃうので。。。この辺は紹介する記事を書きたいです。
感想
昨年も参加したのですが、1年しか経ってないのに新情報満載でした。
やはり現地に行かないと聞けない情報ってあるんだな、としみじみ。
IBM i やっぱり投資されているなあ、と感じました。
あとロチェの研究者の方々、とっても優しいです。
質問したらとても丁寧に回答してくれますし、答えられない場合は知っている人を紹介してくれます。
日本で悩んでいたことを質問して即解決、ということが多々ありました。
Linkedinで質問してくれたら答える!とおっしゃっていた方も多かったのでぜひ皆様質問してみてほしいです。
来年も開催予定ですのでぜひ皆様参加していただけたらと思います!