ASPについて理解する
IBM i固有のASPについては理解に苦しみましたので勉強記録として綴っていきます。
今回も初心者向けざっくり解説です。
ASP概要
ASPとは補助記憶域プール(Auxiliary Storage Pool)のことで、システムに充てられたディスク装置をグループにまとめて管理する仕組みのことです。
1つの大きなハードディスクに見えるようにした複数ハードディスクの束と理解しています。
WRKSYSSTSコマンドで右上で使用状況の確認ができます
IBM iではそのASPで構成した大きなハードディスクにデータを書き込んでいきます。
ASPのメリット
「そんなことせずに1個の大きいハードディスクを使えばいいじゃないか」と私は思ったのですが、ASPの機能を用いることで得られるメリットが主に3つあります。
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パフォーマンス向上
データが分散して各ディスクに書き込まれる、そのためディスクの読み出しが早くなります(イメージとしてはRAID0(ストライピング)に近いです。) -
ストレージの拡張が簡単
ASPの容量が足りなくなってきた時に、新しくディスクを追加すればASPの容量が復活します(=ASPを構成する全ディスク装置にデータが再配置される) -
グループごとにデータを持つ場所を分けられる
異なるアプリケーションやユーザーグループのデータを別々に保持することが可能。これにより、データの整合性が向上し、セキュリティ性が高められます
ASPの種類
ASPは主に3種類あります。
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システムASP(ASP 1)
デフォルトのストレージプール、OS関連とシステムオブジェクト関連が入ってる。すべてのIBM iシステムには少なくとも1つのシステムASPが必要 -
ユーザーASP(ASP 2-32)
オプションのストレージプール、ユーザーやアプリケーションごとに持つことができる(特徴3つ目を叶えるプール)、システムASPとは独立している。
例えばですが、経理部関連のデータはシステムプール2、営業部のデータはシステムプール3みたいに置く場所を分けられる。
システムASP, ユーザーASPはAS/400(S/38)から存在したもので、OSのIPL時に全部見えている必要があります。
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独立ASP (iASP)
高可用性や災害復旧ソリューションにおいて、データの分離と保護に役立つ。システムASPとユーザーASPとは完全に独立したストレージエリアで、異なる物理的ストレージデバイスに配置することができる。
独立ASPはIBM i から見ると必須でないストレージ領域で、IPL後に機能ON/OFFできます。
よく出てくるのはシステムASPとユーザーASPで、独立ASPはあんまり使わないのかな〜と思ってます。
最初はこの二つだけでも抑えましょう。
ちなみにWRKDSKSTSでディスクの状況を見てみると今3本構成されています。
F11で表示を切り替えてみると、この3本すべてがシステムASPに入っているのがわかると思います。
ASPにディスクを追加する
今回は既存のASP1(システムASP)に新しく取り付けたディスクを追加させていきます。
IPLしてDST(専用保守ツール)を開きます。
STRSSTでSST(システム保守ツール)でもOK
SSTのIDとPWは一般システムにサインオンする場合とID/PWが異なりますので注意してください。
今回はすでに非構成のディスクがOSから見えているところからスタートします。
「ディスク装置の処理」画面でオプション 1 (ディスク構成の処理) を選択します。
オプション 3 (ASP構成の処理)を選択します。
オプション 3 (ASPへの装置の追加)を選択します。
オプション 3 (既存のASPへの装置の追加)を選択します。
非構成のディスクが一覧となって出てくるので、追加したいディスクの横にASP番号(今回は1)を指定します。
追加ディスクを確認したらF10で実行します。本数が多いとそこそこ時間かかるので終わるのを焦らずに待ちます。
今回は以上です