はじめに
SIerからデータエンジニアに転職して気づいたのは、やっていることの本質は同じなのに、使う言葉がまるで違うということでした。
「バッチ処理」は「ETLパイプライン」、「DB設計」は「データモデリング」。名前が違うだけで中身は同じなのに、転職活動では伝え方ひとつで評価が大きく変わります。
この記事では、SIerで使う用語とデータエンジニアリングの世界で使う用語の対応表をまとめました。転職を考えている方や、データエンジニアの求人票を読んで「何を言っているのかわからない」と感じた方の参考になれば幸いです。
用語翻訳表
インフラ・基盤系
| SIerでの用語 | データエンジニアでの用語 | 補足 |
|---|---|---|
| オンプレミスDB(Oracle、SQL Server) | クラウドDWH(Snowflake、BigQuery、Redshift) | SQLで操作する点は同じ。クラウドDWHはスケーリングが自動 |
| 本番環境・検証環境・開発環境 | Production / Staging / Development | 概念は同一。IaCで環境構築を自動化する点が異なる |
| サーバー構築 | インフラのコード化(IaC) | Terraform、CloudFormationなどで定義 |
| JP1、千手などのジョブスケジューラ | ワークフローオーケストレーション(Airflow、Prefect、Dagster) | DAG(有向非巡回グラフ)でジョブの依存関係を定義 |
| 監視(Zabbix、Nagios) | オブザーバビリティ(Datadog、Grafana、CloudWatch) | メトリクス・ログ・トレースの3本柱 |
開発・設計系
| SIerでの用語 | データエンジニアでの用語 | 補足 |
|---|---|---|
| DB設計(ER図) | データモデリング | スタースキーマ、スノーフレークスキーマなどDWH特有の設計パターンがある |
| マスタテーブル | ディメンションテーブル | 商品マスタ→商品ディメンション |
| トランザクションテーブル | ファクトテーブル | 売上トランザクション→売上ファクト |
| バッチ処理 | ETL / ELTパイプライン | Extract(抽出)→ Transform(変換)→ Load(格納) |
| ストアドプロシージャ | dbtモデル(SQLベースの変換処理) | dbtはSQLでデータ変換を定義するツール |
| データ移行 | データインジェスチョン | Fivetran、Airbyte、HVRなどのツールを使用 |
| 結合テスト | データ品質テスト(Great Expectations、dbt tests) | NULLチェック、ユニーク制約、参照整合性の自動テスト |
運用・ガバナンス系
| SIerでの用語 | データエンジニアでの用語 | 補足 |
|---|---|---|
| 権限管理(GRANT文) | RBAC(ロールベースアクセス制御) | Snowflakeではロール階層で権限を管理 |
| 設計書(Excel方眼紙) | データカタログ(Alation、DataHub) | メタデータを自動収集して検索可能にする |
| 障害対応・インシデント管理 | データインシデント対応 | データの欠損、遅延、不整合への対応 |
| リリース手順書 | CI/CDパイプライン(GitHub Actions等) | デプロイを自動化 |
| 影響調査 | データリネージ | データの流れを上流から下流まで可視化 |
プロジェクト管理系
| SIerでの用語 | データエンジニアでの用語 | 補足 |
|---|---|---|
| ウォーターフォール開発 | アジャイル / スクラム | 事業会社ではイテレーティブな開発が主流 |
| 要件定義書 | プロダクトバックログ | ユーザーストーリー形式で管理 |
| 基本設計 / 詳細設計 | アーキテクチャ設計 / 実装 | 設計と実装の境界が曖昧。作りながら設計を固める |
| 納品 | デプロイ / リリース | 継続的にデプロイする文化 |
転職活動での活用法
この「翻訳」を職務経歴書に適用するだけで、書類通過率が変わります。
Before(SIer的な書き方):
Oracle Databaseの基本設計・詳細設計・開発・テストを担当。JP1によるバッチ処理の設計・運用。本番環境の権限管理を実施。
After(データエンジニア的な書き方):
データモデリング(スタースキーマ設計)からETLパイプラインの構築、RBACによるアクセス制御の設計まで一貫して対応。ワークフローオーケストレーションの設計・運用経験あり。
中身はまったく同じことを言っています。でも、データエンジニアのポジションに対するフィット感がまるで違います。
まとめ
SIerとデータエンジニアリングは、使う言葉は違っても本質的なスキルの多くが共通しています。特にRDB設計、SQL、バッチ処理の経験は、データエンジニアの世界でそのまま武器になります。
もし「自分のSIer経験がデータエンジニアとして通用するのか不安」という方は、まずこの翻訳表を使って自分のスキルを棚卸ししてみてください。思っている以上に、あなたの経験は市場で求められています。
筆者はSIerから事業会社のデータエンジニアに転職し、現在Snowflakeベースのデータ基盤を運用しています。転職体験談やキャリア情報はブログでも発信しています。