仕事を普通にやっていれば「やることが多い!」と感じたことのない人はおそらくいないはずです。
しかしこの感覚は、本当に「やることが多い」から感じているのでしょうか。
たくさんのタスクに囲まれても集中力や判断力が鈍らないときもあれば、それほど忙しくないのになぜか全てが手につかないこともあります。
つまり「やることが多い!」というのは、実際の忙しさにそのまま結びつく感情ではなさそうです。
結論を出せていないから
「やることが多い!」と感じているとき、その人は一種の小さなパニックに陥っていると筆者は考えています。なにか行動しないといけない気持ちはあるけれど実際に身体が動かない、という状態です。
この原因を、タスク管理方法のひとつであるGetting Things Done(GTD)の提唱者であるデビッド・アレンは、次のように述べています。
私たちに最も欠けているのは、考えて結論を出す能力である。[...]私たちがやるべきことの大半は、カレンダーに書き込んだ予定のようなものを除いて、まだ判断しなければならないことがずいぶんとたくさん残っている。[...]この手の「気になること」で問題なのは、意識に上ってきたときに複雑でとらえどころのないものだと感じられて、考えることを拒絶してしまいがちなことである。いろいろ考えないといけない気がするが今はそんな時間も気力もない、と思ってしまうのだ。1
(※太字は筆者によるもの)
あらゆるタスクやプロジェクトに対して結論を出せていない、なにかしら判断すべきことがあるのだけれど判断までいたらない。このような状況が続いたりあらゆるプロジェクトで起こると、どうやら「やることが多い!」となりそうです。
「次の行動を決める」
この状態は根性論では解決しません。デビッド・アレンは次のようなアプローチを紹介しています。
必要なのは、それらのこと[考えることを拒絶してしまいそうなこと]を今の状態から一歩前に進めるために必要な、次の物理的行動を見極めることだけなのだ――そしてそれこそが「結論を出す」ことに他ならない。あなたは自分が抱えているすべての「気になること」について、もう少しだけ考える必要があるのだ(ただ、それはあなたが思っているほど難しい作業ではない)。2
(※太字は筆者によるもの)
たとえばあるプロジェクトについて、課題やTODOが山積みだけれどそのプロジェクトを「今の状態から一歩前に進めるために必要な、次の物理的行動」は明確でないというケースはよくあるでしょう。
そのようなときこそ、まずは今の状態を振り返って「次に何をするべきか」を考えて実行してみる。
きっと小さなことでしょうが、それで車輪は回り始めるはずです。
それが終わったら? 次の行動を考えるまでです。
補足
GTDでは、本記事で紹介した「次の行動を見極めること(見極め)」は「頭の中にあるものをすべて書き出してみる(収集)」の次のステップとして定義されています。
もし「次の行動すら考える余裕がない」という場合は、実際にいま直面している状況や課題、頭の中にあるさまざまな情報や感情をとにかくアウトプットしてみる、というのもオススメです。