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生成AIに頼ることに迷い悩むエンジニアたちへ──バイブコーディングで揺れているのは技術ではなくメンタルだった

Last updated at Posted at 2025-08-14

バイブコーディングに自信を持てないのは、技術面ではなく精神面の話だった

目次

  1. はじめに
  2. 技術力主義エンジニアのジレンマ
  3. 心理構造の分析
  4. 記事作成では不安がなく、コーディングでは不安が強い理由
  5. 自己信頼を回復するための短期メンタルリハビリ計画
  6. まとめ

はじめに

最近「Vibe Coding(以下、バイブコーディング)」という言葉をよく聞くようになりました。AIに自然言語で指示し、いい感じの実装を自動で生成してもらう──効率は抜群です。

私自身、ChatGPT や Claude をはじめとする生成AIを使って開発する機会が増えました。しかし、技術的には使いこなせているはずなのに、なぜか胸を張って「これは自分の成果だ」と言い切れない...

最初は「技術力の問題」だと思っていたのですが、整理していくと、原因は精神面にありました。


技術力主義エンジニアのジレンマ

私は成果主義というより、技術力主義タイプかもしれません。

  • 成果そのものよりも、自分で考えて実装する過程に価値を感じる
  • 難しい問題を突破したときの達成感がモチベーション
  • 「自力で作れる力」を保つことが自信の源泉

しかし、バイブコーディングはこの「過程」を大きく短縮します。
悩む時間は減り、成果は早く出るのに、「本当にこれは自分の力なのか?」という不安が残るようになりました。


心理構造の分析

整理してみると、このモヤモヤにはいくつかの心理要素が絡んでいました。

1. 自己効力感の低下

「やろうと思えばできる」という感覚(自己効力感)が、AI依存によって揺らぐ。

2. 自己像と行動の不一致

「技術で勝負する自分」という理想像と、AIに頼った行動がズレることでストレスが生じる。

3. 道徳的ライセンシングの反動

「少しくらい使ってもいいよな」と許可した結果、想像以上に楽になり、自己嫌悪が強まる。

4. 内発的動機の損失

もともと好きだった「作る過程」が省略対象になり、モチベーションの質が変化。

5. 自己制御の信頼喪失

誘惑に負けた経験から、「今後も勝てないかも」という予測が自己信頼を削る。


記事作成では不安がなく、コーディングでは不安が強い理由

興味深いことに、私は記事作成にGPT-5を活用しても、不安を感じません。
理由は明確です。

  • 記事作成は得意分野であり、生成された文章をすべて理解し、意図を把握できる
  • 生成部分を自分の言葉で加筆修正できるため、成果物は「自分のもの」と感じられる

一方、コーディングでは違います。

  • AIが生成したコード全体を完全には把握できていないことがある
  • 「ゼロから自力で書けなかったかもしれない」という懸念が残る
  • つまり、“理解の外”にあるアウトプットは自己信頼を削る

この差は「AIを使うこと」そのものではなく、理解の範囲と再現可能性によって生じているのです。

そして、これはコーディングに関してまだまだ伸び代がある証拠だと考え直すこともできます。


自己信頼を回復するための短期メンタルリハビリ計画

目的

  • 「AIを使った自分」も「使わなかった自分」も、同じように価値ある存在だと認められる感覚を取り戻す

心の回復ポイント

1. 自分の価値を「行動」ではなく「選択」に置く

AIを使ったかどうかではなく、「どういう意図でその方法を選んだか」を重視します。
意図的に選んだ結果なら、それは十分に自分の技術力と判断力の証拠です。

2. 成果物よりも「理解できた範囲」に注目する

100%自分の手で作っていなくても、「ここは理解できている」という部分を意識的に見つけて可視化します。
理解の輪郭を確認することで、自己信頼の土台を再構築できます。

3. “負け”を別の言葉に置き換える

  • 「誘惑に負けた」→「今日は効率優先モードを選んだ」
  • 「自分でやれなかった」→「AI案と自分案を比較する機会を得た」
    言葉を変えることで、自分を責める思考のループを断ち切ります。

4. 同じ悩みを抱えた仲間を知る

他のエンジニアも同じ不安を持っていると知ることは、孤立感を減らします。QiitaやSNSで共感を得られるだけでも、自己評価の回復に効果があります。

5. 小さな理解の積み上げを意識する

AIに任せたコードでも、一日一つだけ理解を深める部分を選び、短いメモに残します。「今日も一歩進んだ」という感覚が、自己信頼を少しずつ補強します。


この計画は、「鍛える」ではなく「回復する」ためのものです。
技術力主義の人にとって重要なのは、便利さと自己信頼が矛盾しないマインドを作ること

自分を責める時間を減らし、「選んだ自分」に誇りを持てる状態に戻すことを目指します。

回復した心が、以前よりも軽やかに前へ進む力をくれるはずです。


まとめ

  • バイブコーディングで失われるのはスキルではなく、自己信頼だった
  • 理解できる範囲内で使うAIは不安を生まず、理解外のAI利用は自己信頼を削る
  • 精神面の設計を行えば、便利さと自己信頼は両立できる

最後に──

この記事が、同じようにAI活用と自己信頼の間で揺れるエンジニアの方にとって、少しでも心の整理や前進のきっかけになれば幸いです。バイブコーディングと自己信頼、その両立を目指すすべての方へ。

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