🖥Amazonで格安ミニPCを購入したのでWindows 11 Proをクリーンインストールしてみた結果

📦 きっかけはAmazonで見かけた高コスパなミニPC

最近、AmazonでRyzen 7（8コアCPU搭載）、iGPUにRadeon 680Mを搭載したミニPCを見かけ、約4万円という高いコストパフォーマンスに惹かれて購入しました。このRadeon 680Mは、かつてのGTX 1050 Mobileよりも高性能で、「原神」などの比較的軽めのゲームであれば、中〜低画質設定で60fps動作も可能です。

商品が届いて起動してみたところ、事前にネットで見かけた情報どおり、中華製のミニPCらしく、Windowsのライセンス状態が怪しいものでした。

そこで今回は、クリーンインストールを行った際の挙動や問題点について検証し、その結果を共有します。軽めのゲームや動画編集、画像生成AIなども動かしたいサブマシン構築を検討されている方の参考になれば幸いです。

購入した製品：Beelink EQR6 Ryzen 7 7735HS モデル

私が購入したのは、以下のスペックを持つモデルで、価格は4.1万円でした。

• CPU: AMD Ryzen 7 7735HS（8 コア／16 スレッド、最大 4.75 GHz）
• メモリ: 24GB DDR5‑4800MHz（2 × 12GB）
• ストレージ: 1TB SSD（M.2 PCIe 4.0 NVMe）
• 内蔵グラフィックス: Radeon 680M（12 コア、最大 2.2 GHz）
• ネットワーク: Wi‑Fi 6, Bluetooth 5.2, 2.5Gbps LAN ×2
• OS: 商品ページにはDOSと記載されていましたが、実際にはWindows 11 Proがプリインストールされていました。

▼ 購入したのは1TBモデルですが、2千円下げてストレージが半分の500GBモデルもあるようです。そのうち売り切れると思うので興味のある方はチェックしてみてください。

※ちなみに予算5万円縛りならBeelink SEi12 Max 500GBモデルが14コアCPUなのでおそらくAmazonで最もコストパフォーマンスが良いと思います。ただしiGPU性能は「Intel Iris Xe グラフィックス」であることから、控えめになります。

なぜOSをクリーンインストールするのか

Beelinkに限らず、中華ミニPCは価格が非常に魅力的です。しかし、プリインストールされているWindows OSには、いくつか知っておきたい点があります。これらの懸念を解消し、安心してPCを利用するために、購入後すぐに「クリーンインストール」を行うことにしました。

クリーンインストールする理由は、主に以下の3つです。

1. ライセンスの健全性を確かめるため
   安価な中華PCでは、個人向けではないライセンス（ボリュームライセンス等）が使われていることがある、という話を耳にします。このようなライセンスでは、将来的に認証が切れてしまうリスクも考えられます。Microsoft公式のOSを入れ直すことで、正規のライセンスで安心して利用できる環境を整えます。

2. 不要なソフトウェアをなくすため
   プリインストールOSには、メーカー独自のソフトや、利用しない可能性のあるソフトが含まれていることがあります。これらはシステムの動作に影響を与えることも考えられます。クリーンインストールによって、素の状態のWindowsから環境を構築できます。

3. セキュリティ上の懸念を払拭するため
   ごく稀なケースだとは思いますが、意図しないドライバやソフトウェアが混入している可能性もゼロではありません。ストレージを完全に初期化し、公式のOSをインストールすることで、こうした不安要素を取り除くことができます。

まとめ 中華ミニPCのプリインストールOSには、意図しないソフトウェアや不正規なライセンスが含まれる可能性が指摘されています。これらはシステムの不安定化やセキュリティリスクに繋がる場合があるため、購入後にクリーンインストールを行うことを推奨します。

この記事では、PCの操作にあまり慣れていない方でも実践できるよう、Windows 11 Proのクリーンインストール手順を具体的に解説します。手順通りに進めれば、問題なく作業を完了できる内容を目指しました。

作業に必要なもの:

• 8GB以上のUSBメモリ1本
• インターネット接続環境
• マウス、キーボード、ディスプレイ

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🔍 STEP1：現状ライセンスの確認と全ドライバのバックアップ

クリーンインストールを始める前に、まずはミニPCを起動し、現在のWindowsライセンスの状態を確認します。そして、万が一に備えて全てのデバイスドライバをバックアップしておくことが非常に重要です。特にネットワークドライバがないと、後で困る可能性があるためです。

1-1. ライセンス情報の確認

Windowsキー + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を呼び出し、cmdと入力してコマンドプロンプトを起動。以下のコマンドを実行しました。

slmgr -dli

表示されたウィンドウで「プロダクトキーチャネル」の項目を確認すると、「VOLUME_MAK」と表示されていました。これは主に法人で使われるライセンス形態で、個人ライセンスではありません。残念ながらハズレ個体の可能性が高いです。

▼ slmgr -dliコマンドでのライセンス確認画面。「VOLUME_MAK」と表示されています。

正規ライセンスでない場合はメーカーに問い合わせる必要があり、少し面倒なことになるのですが、クリーンインストールすると化けの皮が剝がれて正規ライセンスが姿を現すという意味不明な現象も多数報告されているようです。まだ可能性は残されていると信じて、このまま進めることにしました。

1-2. プロダクトキーの抽出と保存

念のため、現在のプロダクトキーを控えておきます。以下のコマンドで抽出できました。

wmic path softwarelicensingservice get OA3xOriginalProductKey

表示されたプロダクトキーは、メモ帳などに控えてUSBメモリに保存しておきます。通常は自動で認証されるはずなので、あくまでお守りのようなものです。

1-3. 全ドライバのバックアップ

クリーンインストール後、Wi-Fiなどが使えないと困るので、事前に全てのドライバをバックアップしておきます。今回はコマンドプロンプト（管理者）で以下のコマンドを実行し、USBメモリにドライバを保存します。

# D:\drivers-backup の部分は、ご自身の環境に合わせて変更してください
pnputil /export-driver * D:\drivers-backup

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💿 STEP2：公式Windows 11インストールUSBの作成

Microsoftが提供する公式ツールを使い、クリーンで安全なインストールメディアを作成します。

2-1. Windows 11インストールUSBの作成

Microsoft公式 Windows 11ダウンロードページにアクセスし、「Windows 11のインストールメディアを作成する」のツールをダウンロード。ツールの指示に従い、USBメモリにインストールメディアを作成しました。

USBメモリの中身は全て消去されるため、重要なファイルは事前に移動させておきましょう。

2-2. 「EI.cfg」ファイルの準備

インストール時に意図せずHome版が選択されるのを防ぎ、Pro版を確実にインストールするために、「EI.cfg」という設定ファイルを用意します。

1. メモ帳などのテキストエディタで、以下の内容を記述します。

   [EditionID]
   [Channel]
   Retail
   [VL]
   0
   

2. このファイルを、ei.cfgという名前で、作成したインストールUSB内のSourcesフォルダに保存します。

このファイルがあることで、後ほどのインストール手順でOSのエディションを選択する画面が表示されるようになります。

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⚙️ STEP3：BIOSからの起動と全パーティションの削除

作成したUSBメモリからミニPCを起動し、ストレージを完全に初期化します。

3-1. USBメモリからの起動

インストール用USBメモリをミニPCに接続して電源を入れ、メーカーロゴが表示されたらすぐにF7キー（Beelinkの場合）を連打。ブートメニューからUSBメモリを選択して起動しました。

▼ USBメモリからの起動

3-2. 全パーティションの削除

Windowsセットアップを進め、「インストールの種類」で「カスタム」を選択。「Windowsのインストール場所を選んでください」画面で、表示されている全てのパーティションを一つずつ選択して「削除」を実行しました。

この操作は取り返しがつきません。誤って他のストレージを削除しないよう、十分にご注意ください。

全てのパーティションを削除すると、「割り当てられていない領域」だけが残ります。この状態になったら、それを選択して「次へ」をクリック。Windowsのインストールが始まります。

▼ 全てのパーティションを削除し、「割り当てられていない領域」のみになった状態です。

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👤 STEP4：オフラインアカウントの作成【2025年版】

Windows 11の初期設定ではMicrosoftアカウントでのサインインが促されますが、これを回避してローカルアカウントを作成する方法です。

4-1. ネットワーク接続画面での回避策

初期設定を進め、「ネットワークに接続しましょう」という画面が表示されたら、Shift + F10キーを押してコマンドプロンプトを起動します。

▼ この画面では、ひとまずインターネットには接続しません。

4-2. コマンドプロンプトからのバイパス

コマンドプロンプトに以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。

start ms-cxh:localonly

▼ 旧手法である oobe/BypassNRO.cmd 方法が使えなくなったのでこちらが新手法です。

コマンドが成功すると、ローカルアカウントの作成画面に直接進むことができます。

4-3. ローカルアカウントの作成

「このデバイスを使うのはだれですか？」という画面で、好きなユーザー名を入力。パスワードは後からでも設定できるので、空欄のまま「次へ」をクリックしました。プライバシー設定の項目は、内容を確認しつつ任意で設定します。

▼ 任意のユーザー名を入力します。

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🔌 STEP5：バックアップしたドライバの適用と最終確認

クリーンインストール後の最後の仕上げです。

5-1. デバイスマネージャーでの確認とドライバ適用

Windowsキー + Xキーから「デバイスマネージャー」を開くと、案の定、黄色の「！」マークが付いた「不明なデバイス」がいくつかありました。ここに、STEP1でバックアップしたドライバを適用していきます。

「不明なデバイス」を右クリックし、「ドライバーの更新」→「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選択。参照先に、USBメモリに保存したドライバのバックアップフォルダを指定します。これを全ての「不明なデバイス」で繰り返しました。

5-2. ライセンスの再確認

再度ライセンスの状態を確認するため、slmgr -dli を実行。すると、ライセンスが「Retail」チャネルに変わっていることが確認できました。これで正規ライセンスとなり、一安心です。

▼ クリーンインストール後、ライセンスが「Retail」チャネルになりました。

なぜ最初からこのライセンスではなかったのかは謎ですが、メーカーに問い合わせる手間が省けたので、結果的には運が良かったようです。

5-3. 各種アップデートの実施

インターネットに接続し、「設定」→「Windows Update」を開きます。「更新プログラムのチェック」を繰り返し実行し、システムを最新の状態にしました。

▼ 更新がなくなるまで、Windows Updateを実行します。

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🛠️ トラブルシューティング：よくある問題

クリーンインストールで発生しがちな問題と、その解決策をまとめました。

• Q1: USBメモリからPCが起動しない

  • A1: PC起動時にF2, Del, F7キーなどを連打してBIOS/UEFI設定画面を出し、ブート順序でUSBメモリを最優先にしてみてください。

• Q2: プロダクトキーが認証されない

  • A2: OEMやRetailチャネルに変わらなかった場合、STEP1で控えたキーの手動入力が必要かもしれません。それでも認証されない場合は、メーカーに問い合わせてライセンスの付与を依頼する必要があります。

• Q3: デバイスマネージャーに「不明なデバイス」が残る

  • A3: ドライバのバックアップが不完全だった可能性があります。BeelinkならBeelink公式ドライバーサイトから、お使いのPCの型番に合ったドライバを探して手動でインストールしてみてください。

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🎉 まとめ：クリーンインストールで安心・快適なミニPCライフを

本記事では、中華ミニPCのクリーンインストール手順を、私の実体験を交えながら紹介しました。

一見すると少し手間に思えるかもしれませんが、一つ一つのステップを丁寧に進めていけば、難しい作業ではありません。プリインストールOSに潜む潜在的なリスクを排除し、クリーンな環境でPCを使い始めることは、長期的に見て大きなメリットがあると感じています。

この記事が、あなたのミニPCライフの一助となれば幸いです。