このエントリは、SoftLayer Advent Calendar 2015の1日目のエントリーです。
SoftLayerユーザー会運営委員、IBMクラウドエバンジェリストの北瀬です。
もう少し書こうとおもっていたので、後で、更新するかもしれません。
まだ1ヶ月ありますが、今年のIBM SoftLayerに関わる出来事を振り返ってみたいと思います。
まずはじめに、2015年は、SoftLayerを採用、検討する企業がとても増えた1年でした。様々な業種で採用頂きましたが、金融、HPC、EC、IoT、流通、メディアでの採用が多かったようです。特に、金融情報システムセンター(FISC)が発刊している安全対策基準・解説書に対応可能とのことから、金融機関での採用や検討が増えました。また、定点観測は行ってませんが、SoftLayerの認知度もこの1年でかなり上がったように思えます。イベントに出展した時のお客様の反応が、確実に「SoftLayerってなに?」から、「知ってる」「検討してるよ」「使ってるよ」に変わってきたと実感します。着実にSoftLayerが、ITインフラとしての選択肢にあがってきているのではないでしょうか。
SoftLayerのサービス拡張は、少なかったと思います。逆に、PaaS型のIBMクラウドサービス「IBM Bluemix」のサービス拡張が目立った1年でした。AWSやAzureでも、多くのサービス拡張を行っているようですが、やはり、インフラレイヤーに近いサービスでの新しい発表があまりなく、ほとんどが上位レイヤーでのサービス拡張ということから、インフラレイヤーのサービスは枯れてきたと実感します。それもあり、安心して企業での採用が増えたのではないでしょうか。
そんな中、データセンターの新規開設や拡張は昨年に引き続きありました。上位レイヤーでの投資を支えるインフラの強化といったところでしょうか。
IBMによる企業買収も幾つかありました。ディープ・ラーニング(深層学習)テクノロジーの大手プロバイダーの「Alchemy API」、フルマネージドのプライベート・クラウド・サービスの提供を行っていた「Blue Box」, MongoDB、Redis、Elasticsearch、PostgreSQL等の開発者向けサービスを提供していた「Compose」、同じくNode.jsベースの製品を提供している「StrongLoop」、オブジェクトストレージを提供可能なストレージ・ベンダーの「Cleversafe」などがあります。何れも、IBMクラウドのサービスの拡張を狙ったものであり、IBMの本気度を感じ取れます。
こうやってみると、IBMは配置モデルとサービスモデルの拡張を図ってきているのがよく分かると思います。
サービスモデルとしては、IaaSの他に、PaaS、SaaSを拡張しており、全て「IBM Bluemix」のサービスとして提供しています。
さらに、配置モデルとしては、パブリック・クラウドの他に、ホスティッド・プライベート・クラウド、オンプレミス・プライベート・クラウドでの展開を可能にしてきました。
また、IBMクラウドコミュニティに目を向けてみると、日本SoftLayerユーザー会は発足1年を向かえ、日本Bluemixユーザー会も新たに発足しました。両ユーザー会あわせて、4000人以上のメンバーとなり、急速に拡大しつつあります。その中でも、2月に行われた「Japan SoftLayer Summit 2015」、「SoftLayer Bluemix Summit 2015」は、多くの方が関わった国内最大級のクラウドコミュニティイベントだったと思います。日本SoftLayerユーザー会による世界初のSoftLayer本も出版されました。こういったイベントや勉強会、書籍や雑誌での寄稿により、短期間で非常に多くの情報が生成され、共有され、ストックされたと思います。あまりにも多くの事がありすぎてとても1年のことと思えないくらいです。
情報の生成、共有、ストックの締めくくりとしての、SoftLayer Advent Calendar 2015
になればと思っています。
最後に、12月22日 19:00より(18:30受付開始)、今年最後の勉強会「SoftLayer東京DC1周年記念ミートアップ」が開催されます。是非お運びいただければと思います。
2015年 SoftLayerに関連する日本IBMのプレスリリース
- 2月9日: IBM、Synergy Researchの調査で企業向けハイブリッド・クラウド・プロバイダーのNo.1プロバイダーに位置付け
- 2月10日: LBCはSoftLayerの活用でSAP Business Oneを2週間で構築、グレースに提供
- 2月24日: IBMクラウドがエンタープライズのハイブリッド環境を実現
- 2月24日: IBM、SoftLayerクラウド・センターの継続的拡大により、ハイブリッド・クラウドの成長をサポート
- 3月6日: SoftLayer、OpenPOWERサーバーを提供し、クラウドのワークロード管理を向上
- 3月16日: IBM、Watsonのディープ・ラーニング機能強化に向けAlchemyAPIを買収
- 3月20日: ハイブリッド・クラウド構築を支援「OpenStack構築支援サービス」
- 5月11日: IDAJ、CAEの受託解析にSoftLayerのベアメタル・クラウドを活用
- 6月5日: IBM、Blue Boxを買収しオープン・ハイブリッド・クラウドを加速
- 6月23日: 筑波銀行、IBMクラウド「SoftLayer」でハイブリッド環境を構築
- 7月6日: 中国銀行、ホームページ運用にIBMのクラウドSoftLayerを採用
- 7月6日: 日本酒輸出の流通経路可視化で偽造品対策や食の安全を実証実験
- 7月13日: IBMクラウド SoftLayer、スーパー・コンピューティング機能の提供によりイノベーションを加速
- 7月16日: スタンシステム、LED植物工場にIBMクラウド「SoftLayer」を活用
- 7月28日: IBM、クラウド・データ・サービス拡充のためComposeを買収
- 7月31日: データ・テック、車載機データをSoftLayerで解析し安全運転支援
- 8月6日: データコム、SoftLayerのベアメタル・クラウドをPOS売上分析システムに採用
- 8月10日: ミラノ万博の高精細な映像配信の知見を他業種に展開
- 9月9日: エイベックス通信放送、アナリティクス活用とSoftLayerの採用で、dTVのレコメンド基盤を導入
- 9月15日: IBM、StrongLoopを買収し、企業におけるIBMクラウドの活用範囲を拡大
- 9月18日: IBM、ブラジル・サンパウロにクラウド・データセンターを開設
- 10月13日: IBM、インド・チェンナイにクラウド・データセンターを開設
- 10月14日: JFEスチール、基幹業務のハイブリッド・クラウドを推進
- 10月15日: IBM、Cleversafeを買収してハイブリッド・クラウドでオブジェクト・ストレージを推進する計画
- 10月16日: プラス株式会社ジョインテックスカンパニー、受発注とECにクラウド「SoftLayer」採用
- 10月21日: 地方銀行向け顧客接点アプリの開発支援コンソーシアムを発足
- 11月4日: IBM、OpenStackを活用したBlue Box Cloudを強化し、ローカル・クラウド・アズ・ア・サービスのオプションを提供
- 11月10日: IBM、Cleversafeの買収を完了
- 11月16日: OKIと日本IBM、地方自治体向けクラウドサービス分野で協業
- 11月25日: シンプレクスの金融機関向けシステム、クラウド対応に「SoftLayer」を採用
- 11月30日: 三井住友銀行・日本総合研究所・日本IBMにおけるITソーシング契約の締結について
私の心に残った出来事
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1月28日: SoftLayer CEO ランス・クロスビーが退職
SoftLayerを象徴するランス・クロスビーが退職というのは、やはりショックだったです。お客様やパートナーからも「SoftLayer大丈夫か」と聞かれたのを思い出します。それから10ヶ月が経ちましたが、サービスの拡張、データセンターの新設、拡張は計画通り行われており、ユーザーの数も増えているのをみると、ショックではありましたが、ビジネス面での影響はほぼなかったように思います。 -
3月2日: IBM SoftLayer、「第10回クラウドランキング」クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)部門においてベストサービスに選出(2位)1年前の9位、半年前の4位からの大躍進だったのでとても感慨深いものがありました。
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10月23日: 米HP、パブリッククラウドから撤退し、マネージドサービスと仮想プライベートクラウドへ注力。「HP Helion Public Cloud 」は来年1月で終了へ
SoftLayerに関連する事ではないですが、非常にインパクトのあったニュースでした。パブリッククラウドでのビジネスはHPのような巨大企業でも難しいという事を改めて認識し直しました。 -
SoftLayer、徐々に日本語化:
日本語による技術サポートの提供にはじまり、日本語による見積もり支援、Webの日本語化や、KnowledgeLayerの日本語化にも対応してきました。サービスポータルの日本語化もまもなくされる予定です。 -
2月、9月: 国内最大級のクラウド・コミュニティ・イベントを2回開催
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5月: 初のSoftLayer本の出版、また2冊目の本もまもなく出版される予定です。
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SoftLayerコミュニティの拡大
- メンバー数: Connpass (2891), Mailing List (736), Facebook (472)
- Connpassに登録されている資料数: 205
- YouTubeでの動画: 61
- Qittaでのブログ: 227