こんにちは。
ChatGPT の支援を受けて実現した Mixed Graph(混合グラフ:directed edge と undirected edge の共存)処理ライブラリの開発経緯についてまとめました。
Mixed Graph 処理ライブラリの開発(道路網ネットワーク用)
道路網などの空間ネットワークを扱う際には、双方向通行と一方通行が混在する Mixed Graph 構造を正確に扱う必要がある。
しかし、既存の多くの解析ライブラリやアルゴリズム実装は、directed あるいは undirected のいずれかに限定されており、現実の交通データや地理空間データを忠実に反映できない場合がある。
この問題意識から、筆者は Golang を用いて1、 mixed graph をネイティブに扱える独自ライブラリを開発した。
実装にあたっては、OpenStreetMap(OSM)の PBF 形式データを入力とし、way の通行方向属性に基づいて directed edge と undirected edge を動的に生成・統合する構造を採用した。これにより、二重エッジや degree-2 ノードを自動的に整理しつつ、双方向区間と一方通行区間が連続する実道路を正確に表現できる。
また、道路網解析の効率化のための定番である homeomorphic smoothing(同相平滑化)処理を導入した。これは、不要なノードの縮約や連続線分の簡略化を行う過程で、通行方向や属性の非対称性を保持しながらグラフの同相性を保つ処理である。ただし undirected edge の接続については、元データが内部では配列型式で順序づけされているため、実装上、他に比べ複雑となった。
開発過程では、ChatGPT によるコード補助と構造設計の検討を積極的に活用した。自然言語による対話を通じて、アルゴリズム設計の分岐条件や Go の型設計に関する選択肢を即座に比較検討できたことは、従来のドキュメント検索とは異なる効率性をもたらした。AI 支援による開発環境が、既存のツール群に新たな創造性を付与する好例といえる。
本ライブラリは現在、筆者の PC 上で日常的に稼働しており、道路ネットワーク解析や地理的最短経路推定の基礎モジュールとして、高速に動作している。
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原型は Javascript で実装してあり、ほぼ実証済みでした。 ↩