第4章 実践ワークフロー
本章では、Antigravity の真価を発揮させるための「ドキュメント駆動開発」のワークフローを解説します。
AI に行き当たりばったりで指示をするのではなく、ドキュメントを通じて認識を共有しながら開発を進める手法です。
4.1 ドキュメント駆動開発 (DDD)
Antigravity に複雑なタスクを依頼する場合、口頭での指示(チャット)だけでは情報の抜け漏れが発生します。そこで、以下の2つのドキュメントを「AIとの共通言語」として利用します。
Spec.md(仕様書)
「何を作るのか」を定義するファイルです。
- Goals: 達成したい目的
- Requirements: 機能要件、非機能要件
- Architecture: ディレクトリ構成や技術選定
Antigravity はプロジェクト内の Markdown ファイルを熟読するため、ここに書かれた内容はすべての行動の「指針」となります。
Task.md(タスクリスト)
「どういう手順で作るのか」を定義するファイルです。
- 作業を細かいステップに分解する
- 依存関係を整理する(Aが終わらないとBができない、など)
- [x] データベースの設計
- [ ] APIエンドポイントの実装
- [ ] フロントエンドの接続
このようにチェックリスト化することで、Antigravity は「今何をすべきか」を正確に理解し、迷走することなく作業を完遂できます。
4.2 .antigravityignore によるコンテキスト制御
実践的な開発では、AI に渡す情報量(コンテキスト)の制御が重要になります。すべてのファイルを読み込ませると、トークン(処理量)の上限に達したり、無関係なファイルを参照して混乱したりする原因になります。
制御のポイント
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除外設定:
.antigravityignoreで、生成物(dist/)、ログ、巨大なデータファイルを除外します。 -
明示的な参照: プロンプト内で
@src/utils/のように、特に見てほしいファイルをピンポイントで指定します。
「必要な情報だけを渡し、不要な情報は隠す」ことが、AI の回答精度を高める最大のコツです。
4.3 開発サイクルの例
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Planning: 人間が
Spec.mdとTask.mdを書く(または AI に下書きさせる)。 -
Execution:
Task.mdの項目に従って、Antigravity に実装を指示する。- AI: コードを書く → テスト実行 → エラー修正
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Review: 人間が成果物を確認し、
Task.mdにチェックを入れる。 - Iteration: 次のタスクへ進む。
このサイクルを回すことで、人間は「設計とレビュー」に集中し、AI は「実装とテスト」に集中する理想的な分業が可能になります。
次章では、さらに高度な使いこなしとして、カスタムワークフローやリファクタリングの手法を紹介します。