Yii本の買い方その2とクリスマスセール情報
Yiiの書籍について2日目にエントリと多少かぶりますが情報共有を。
Yii本の現状
今Yii公式ガイドを超えた高いレベルの情報は公式wiki(英語)、公式開発者フォーラム(英語)、そして書籍(英語)に集中しています。効率よく質の高い情報を得るにはやはり書籍が有効なわけですが、Yiiの書籍をなんと4冊も出している非常に有り難い出版社が英Packt(http://www.packtpub.com)です。O'Reillyは元々PHPには力を入れていないですし、Pragmatic Bookshelfはruby大好きだしその他の版元もノーマークで良いかと。
※大手出版社以外ではLarry Ullman氏によるセルフパブリッシングによるYiiの書籍執筆が進行中(http://yii.larryullman.com)です。未見なので内容についてはよく分かりません。
英語の本なんてとんでもないと思うかもしれませんが、意外とすんなり読めるものです。なにしろ論じられているテーマはIT技術の事だけなのですから、あらゆる話題が出てくる英語の小説や新聞を読むよりもずっと簡単です。
で、Yii本ですが現在のラインナップは以下となっています。
http://www.packtpub.com/books?keys=yii
それぞれの内容について簡単にコメントしますと、
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Agile Web Application Development with Yii1.1 and PHP5
記念すべき最初のYiiの本。目次を見ればわかりますが、この本はYiiの概要に始まってWebアプリとは何か?MVCとは?TDDとは?そのメリットは?という基本的な話やインストールの方法にもスペースを割いているので最初まどろっこしく感じます。まあこういう構成にしないと編集者がOKをしないのかもしれませんが。出版から既に2年以上経っておりベースになっているYiiのバージョンは1.1.2です。後述する改訂版が出版された今となってはコレクション以外の目的で新たに買う意味はもはや無し。
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Web Application Development with Yii and PHP
内容の構成は1.とほぼ同じ。前書出版後のYiiの進化を取り入れた同じ著者による改訂版。ごく最近出版されました。使用バージョンは1.1.12と最新です。改訂版が出るということは読者に高く評価されセールスも好調だったという証拠だと思われます。
このシリーズで良いと感じているのは、本全体を通して一つのアプリケーション(簡易プロジェクト管理アプリ)をTDD形式で開発していくところ。各章が1イテレーションになっていて擬似アジャイル開発が体験できるようになっている仕組みです。
2012年末の日本でYiiのようなマイナーFWに手を出す余裕のある軽薄な新しもの好き、もとい進取の気性に富むアーリーアダプターな開発者にとっては少々物足りない内容かも知れませんが、英語の本を読むことそのものに抵抗がある人にとってはトレーニングになるという意味で良い本だと思います。 未知の概念を英語で理解するのは難易度高いですが、既にある程度理解している事であれば頭に入ってきやすいからです。
教材となるアプリのコードが
https://github.com/jeffwinesett/yiibook-trackstar-code
にあり、読者からのフィードバックを元に作者によってメンテナンスが行われています。いきなり英語の本を買うのが不安な人はこれを眺めてみるとレベルがつかめると思います。 -
Yii 1.1 Application Development Cookbook
2日目でtanakahisateruさんが取り上げている本です。おなじみのCookbook形式。使われている英語は平易だし必要な部分だけつまみ食いできるし良書です。とても細かい内容のトピックもあるのですが「その先が知りたいんだよ、もっと突っ込んで説明してくれ!」と感じる少々物足りない記述もありました。Amazon.comのレビューでは評価は概ね高いです。個人的にはChapter 1 が一番面白かった。
この本、私は¥0で手に入れました。もちろん正規版。ネットに転がっている海賊版などでは断じてありません。その秘密は後ほど述べます。
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Yii Rapid Application Development Hotshot
エントリ執筆時点でまだ出版されてないので詳細が分からないのですが(2012/12月刊行予定)、サイト上の説明を見ると"Incorporate Software as a Service into your application" "Gamify your data" "Reuse your work as Yii modules"など刺激的な言葉が並んでおりおそらく現存のYiiの書籍としては最も応用的なトピックを扱うことになりそうです。これは期待。ただ今プレオーダー受付中。
買い方
さて、どこでどうやって購入するのが良いのでしょうか?ここでは電子書籍に絞ってみます。洋書の場合kindleを含めて電子書籍フォーマットの場合は紙本よりもだいぶ安いのが当たり前ですし、購入すればすぐその場で読み始められてデバイスの辞書が使えるという利点があるので個人が洋書を買う場合は今や電子書籍しかないと思うからです。
kindleシステム内に閉じた場合は文字通り1clickで完結するのでとにかく簡単。ただしフォーマットは.mobiオンリーなので、出版社・作者が意図したレイアウト・フォント・図表を完全に再現することにはなりません。これは個人の好みの問題なのですが、ソースコードが大量に載っている技術書を.mobi/.epub形式で読むのは自分はどうも馴染みません。また普通のブラウザのようにソースコード部分をインラインで横スクロールさせられないので中途半端な行折り返しが発生してしまいます。
一方で電車通勤時など小さい画面サイズの端末しか使えない状況であれば.mobi/.epubで読む方がずっと良い。ということで電子書籍はそれぞれの状況に合ったデバイスで快適に読めるマルチフォーマットで買うのが良いのではないかと思います。
しかし価格面で見るとkindleストアで.mobi版を購入する方がずっと安い。さてどうしたものか。
自分の場合ですが、技術書の洋書は出版元のサイトの直販で買うようにしています。メジャーな版元の場合、購入者はDRMフリーで.mobi, .epub, .pdf等のマルチフォーマットで自由に何度でもDLできるようになっているのが当たり前なので、kindleで読みたい場合は.mobiフォーマットのデータを自分のkindleにUSBケーブルなりSend to Kindleを使う。.pdfを読みたい場合はファイルを何かしらの方法で自分のデバイスに転送すれば良い。DropBox経由が定番です。余談ですがO'ReillyとPragmatic Bookshelfの購入ページには個人アカウントから直接DropBoxと連携できるので便利です。
ここまでをまとめると、24時間いつでも非常に簡単にそれなりに安く買えるkindle版に対し、購入とデバイスへの転送に多少手間がかかり価格も高いけどマルチフォーマットでデバイスに最適な形式を選べる出版社のダイレクトDL販売、となります。
ところが、マルチフォーマットの電子書籍をkindle版と同等の値段で買う方法があります。それは各版元がしょっちゅう行っているセールに便乗することです。ほぼ毎日のように日替わりセールが実施されていますしその他に1年に何回か新学期スタートだの感謝祭だのと何かにかこつけて様々なセールが行われます。これをうまく使えば高価なはずの技術書を比較的安くゲットできます。割引率については大抵の場合50%OFFになることが多いです。これならkindle版の価格とほぼ同じになる計算です。セール情報は版元サイトへ登録してメルマガを配信してもらうか、twitterで各社の公式アカウントをフォローしておくのが良いでしょう。
Packt
https://twitter.com/packtpub
参考までに他のメジャーな技術本の出版社アカウントは以下のとおり
O'Reilly
https://twitter.com/OReillyMedia
Manning
https://twitter.com/ManningBooks
Apress
https://twitter.com/Apress
どうしても今すぐこの本を読む必要がある!という場合以外であればこうして網を張っておけば狙っていた本を半額ないしそれに近い価格で買うことが出来ます。
そしてたまに破格のキャンペーンが行われたりします。今年の9月にPacktが出版1000冊目記念セールを開催したのですがなんと「どれでも好きな電子書籍1冊を無料であげます」という内容でしたので喜んでYii Cookbookを選ばせていただきました。
快適に読むためのデバイスとアプリ
.pdfの場合、自分のオススメはminiではないノーマルサイズのiPad + i文庫HDです。
pdfを読むためのアプリはいくつか試用しましたが定番のこれに落ち着きました。決め手はDropBox連携機能と余白カット機能です。Yii本に限らないのですがPacktのpdfってそのままiPadに表示するとヘッダーフッターと余白部分が大きいので文字がとても小さくなってしまう。(O'Reillyの場合は全然そんなこと無いんですよね。さすがです。)そこでこの機能を使って余白を削るとその分だけ文字が大きくなって快適に読める。UIの美しさや細かい調整機能もうれしい。有料アプリですがiPadでpdfを読むならこれがベストと断言しときます。
PC/Mac上で読むのであればリーダーは何でも好みのものを使えば良いでしょう。
kindle(.mobi)の場合はデバイスにしろアプリしろ説明するまでもないですね。自分はkindle touchも所有しているのですが、コード記述の少ない本はkindleにも入れてます。
Androidその他のタブレットの状況について自分は明るくないので省略します。
クリスマスセール
2013/1/3(タイムゾーンは不明)までの期間限定でPacktが特別セールを行っています。2冊以上購入することを条件にすべての電子書籍が1冊当たり5USドル(約430円)という持ってけドロボー価格。サイトを見ると一見通常価格のままなのですが2冊以上カートに入れると自動的に割り引きが適用される仕組みになっています。これなら前述のYii書籍を一気にフルコンプすることだって可能ですね!
以上、特定の出版社の書籍の宣伝のようになってしまいましたが、それもこれもYiiの書籍を出さない他社が悪いのであって、私の責任ではありません。(キリッ)