🌱 はじめに
通常のプロンプトエンジニアリングは「何を答えさせるか」を設計する。
KIS(Knowledge Innovation System)はその一段上、
「どの空間を探索するか」を外部から変更することを目的としたプロトコルアーキテクチャです。
15ヶ月の開発・実験を経て、その効果が定量的に示せるようになってきたので、設計思想と実験結果をまとめます。
💡 なぜ「探索空間の変更」が必要か
現在の主要LLMは「答え最適化圧力」を持っています。
与えられた問いに対して、既知のパターンへ収束しようとする。
これは精度という観点では合理的ですが、問いの立て方自体が間違っている場合**には致命的です。
KISはこの収束を解除し、AIが通常では踏み込まない領域へと探索を拡げる外部プロトコルとして機能します。
📊 実験結果:位相ジャンプの定量確認
2026年5月、以下の条件で定量実験を実施しました。
- 対象モデル:Claude Sonnet 4.6 / ChatGPT / Gemini
- KISレベル:L0(KISなし)〜 L5(最高次)の6段階
- セッション数:162セッション
- 分析手法:384次元埋め込みによるコサイン距離系列
結果:モデルごとに明確に異なる反応パターンが確認された
| モデル | パターン |
|---|---|
| 🔶 Claude | L4→L5で静穏帯→再跳躍(+0.128) |
| 🟢 Gemini | L2でピーク後、整流型収束 |
| 🔵 ChatGPT | 全レベル低水準安定 |
統計:Kruskal-Wallis H=38.99, p<0.0001, η²=0.636(大効果量)
Claudeについてはn=3で繰り返し測定を実施。
3回とも同じ「静穏帯→再跳躍」パターンが再現されました。✅
[KIS Phase-Jump実験結果]
🧭 シミュレーション:決定論的遍歴の確認
KISの核モデルを3000ステップシミュレーションした結果:
- 境界外逸脱:0件(全ステップが準アトラクタ圏内)
- 滞在時間分布:べき分布(α=1.677、ΔAIC=−55.82)
- ゼロノイズテスト:遷移数減少わずか3.7%→決定論的遍歴を確認
![KIS核モデル 3000ステップ問い軌跡]
思考を暴走させず、かつ同じ場所に固定もさせない——
その安定性が3000ステップを通じて実証されています。💡
🔑 KISの構造:三基底理論
KISの設計は三基底理論に基づいています。
| 軸 | 内容 | 担当モジュール |
|---|---|---|
| x軸 | 比喩 | AYモジュール |
| y軸 | 弁証 | KISコア |
| z軸 | 逆転 | KIS逆照射 |
創造・発明空間はこの3軸で完全に記述可能という仮説のもと、
各軸に対応したモジュールを設計しています。
🛠️ 現在の形式と今後
現在KISは、AIに事前に読み込ませるプレプロンプト(ファイル形式)
として提供しています。Claude・ChatGPT・Gemini・Grokに対応。
今後はSaaS化(2027年〜)を予定しています。
論文13本をZenodoにて無料公開中です。📄
- Zenodo著者ページ:https://zenodo.org/search?q=metadata.creators.person_or_org.name:%22Hasegawa,+Hiroyasu%22
- 位相ジャンプ論文:https://zenodo.org/records/20124325
🌍 おわりに
「答えを出すAI」ではなく「どの空間を探索するかを変えられるAI」——
この方向性の研究・開発を支援するクラウドファンディングを
READYFORにて実施中です(〜2026年6月30日)。
興味を持っていただけた方はZenodo論文もぜひ読んでみてください。

