ターミナルで Excel や Markdown のファイルを開き、セルや行にコメントを付けると、Claude Code などの AI エージェントがそれを読んで対応し、返事をくれるツール docrev を公開しました。
この記事では、docrev が何をするものか、なぜ作ったのか、どう使うのかを紹介します。
docrev とは
docrev は、ドキュメントに付けたコメントを通して、人と AI がやり取りするためのビューアです。
コードの変更点にコメントを付けて直してもらう「コードレビュー」を、Excel や Markdown の資料でもできるようにしたもの、と考えてもらえればOKです。
主な特徴は次のとおりです。
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Excel(
.xlsx)と Markdown(.md)に対応しています - 元のファイルには一切書き込みません
- AI がコメントを読み書きするためのコマンドを備えています
- macOS・Linux・Windows で動き、
brewなどで入れられます
開発の背景
AI エージェントは広まったが、資料は Excel のまま
Claude Code などの AI エージェントは、今や開発の現場で広く使われています。
人は AI に仕様を伝え、あとは出来上がったものをレビューするだけ、という進め方が主流になりつつあります。
その広がりはとても速く、これまで IT にそれほど強くなかった会社でも、AI エージェントを業務に取り入れるところが増えてきました。
ただ、この急速の変化に組織が対応しきれず、規約や仕様書は今も Excel で管理している会社は少なくないのでは?と思っています。
私が勤めている会社もそうです(正直嫌なんですけどね笑)。
「どこの話か」を AI に伝えるのが面倒
私も業務では主に Claude Code を使っています。
Excel の資料を直してもらうときは、気になるセルをコピーしてプロンプトにいちいち貼り付けて指示していました。
ただ、この方法には不満がありました。
まず、指摘のたびに Excelとターミナルを行き来してコピーするのが面倒です。
指摘が複数あると、貼り付けたセルの中身と指示が入り混じって、プロンプトがごちゃごちゃになります。
さらに、コピーしたのはセルの中身だけなので、どのシートのどのセルの話かも、その数字が何を表しているのかも伝わりません。
例えば「5,000」とだけ貼っても、交通費の上限なのか会議費なのかは、同じ行の見出しを見ないと分からないからです。
こういった経緯があり、私はコピーなんかしないでターミナルの中でいい感じに全て済ませたいなと思っていました。
hunk のドキュメント版がほしい
コードについてはこの問題を解決してくれる道具をすでに使っていました。
hunk という、コードの変更点をターミナルで見ながら行にコメントを付け、AI とやり取りできるツールです。
見ている場所にそのままコメントを付けられて、AI はコメントと場所をセットで受け取れる。
この体験を Excel や Markdown の資料でも実現したくて作ったのが docrev です。
docrev でできること
Excel を見る
Excel のファイルは、白い背景・枠線・数式バーのある、スプレッドシートに近い見た目でターミナルに表示します。
Excel で使い慣れた機能の多くを、見るだけの用途に絞って再現しています。
- シートの切り替え(下のタブをクリック、または Tab キー)と、シート名での移動
- シート内の文字検索
- 数式バーでの数式の確認(表には Excel と同じく計算結果を表示)
- Excel で設定したウィンドウ枠の固定や、塗りつぶし色・文字色の反映
- Excel 上で付けられた標準のコメント(メモ)の表示
- セル範囲をドラッグしてコピー。タブ区切りでコピーされるので、Excel や Google スプレッドシートにそのまま表として貼り付けられます
Markdown を見る
Markdown のファイルは、書かれたままの行に行番号を付けて表示します。見出し・強調・表・コードブロックなどは見やすく装飾します。
画面の右側にはカーソルのある行のコメントが常に表示されるので、上から順に読みながら、気になった行にコメントを付けていけます。
コメントのやり取り
docrev の中心はこのやり取りです。
- ビューアでセルや行を選び、
cを押すとコメント欄が開きます。書いてCtrl+Sで保存します - AI に「このファイルにコメントした」と伝えます
- AI はコマンドでコメントを読み、資料を確かめて対応し、返信します
- 開いたままのビューアに、返信が自動で表示されます。AI がファイル自体を直した場合は、その変更も自動で反映されます
コメントの付いたセルや行には ● の印が付くので、どこに未解決の話があるかがひと目で分かります。
使ってみる
インストール
# macOS / Linux
brew install kaneko1117/tap/docrev
# Windows
powershell -c "irm https://github.com/kaneko1117/docrev/releases/latest/download/docrev-installer.ps1 | iex"
# Rust の環境がある場合
cargo install docrev
ファイルを開く
docrev budget.xlsx # Excel のファイルを開く
docrev notes.md # Markdown のファイルを開く
矢印キーで移動、c でコメント、q で終了です。そのほかのキー操作は README にまとめています。
Claude Code とつなぐ
docrev には、AI 向けの手順書(Claude Code の「スキル」)を用意しています。次のコマンドで Claude Code に登録できます。
mkdir -p ~/.claude/skills/docrev-review
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/kaneko1117/docrev/main/skills/docrev-review/SKILL.md \
-o ~/.claude/skills/docrev-review/SKILL.md
あとはビューアでコメントを付けて、Claude Code に「xxx にコメントした」と伝えるだけです。
手順書には、コメントの読み方・返信の書き方に加えて、「Excel を直す前にコピーを取る」「直した内容は変更前と変更後を返信に残す」といった決まりも書いてあります。
コメントの読み書きはただのコマンドなので、コマンドを実行できる AI エージェントであれば、Claude Code 以外でも使えます。
使い方の例
規約の見直し
Excel で管理している規約を開き、「この上限額、今年の改定で変わっていませんか?」「この項目は今の運用と合っていますか?」のように、気になったセルにコメントを付けていきます。まとめて AI に渡せば、1 件ずつ確認して返信してくれます。
docrev 自体は Excel を書き換えませんが、「直して」と頼めば AI が自分の道具で Excel を直し、何をどう変えたかを返信に残してくれます。
AI が書いた計画書をレビューする
Claude Code に作業計画を Markdown で書かせ、それを docrev で開いて「この手順は順番が逆では?」のように行ごとに指摘します。
チャット欄に長い指摘を書くより、どこへの指摘かがはっきりします。
おわりに
「AI は広まったのに、資料は Excel」という自分の職場の状況から、docrev を作りました。
コードと同じように、資料でも「見ている場所にコメントして AI に直してもらう」ことが当たり前になればうれしいです。
今後は Word(.docx)への対応を予定しています。
使ってみた感想や要望、不具合の報告は、GitHub の Issue で受け付けています。
気に入っていただけたら、リポジトリにスターを付けてもらえると励みになります。

