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ルベーグ積分入門4 可測関数の性質1

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ルベーグ積分3のつづき
もう少しで、測度を定義する。測度を定義したあと、やっとルベーグ積分を定義できる。

以下この記事では、Xを$\mathcal{B}$をσ代数とする可測空間とする。

Xの任意の部分集合Eに対して、特性関数という呼ばれる次のような関数がある。

1_{E}(x) = \left\{
\begin{array}{ll}
1 & (x \in E) \\
0 & (x \in X\setminus E)
\end{array}
\right.

命題4.1 $1_E$が可測関数であるとき、そのときに限り$E$は可測集合である。

証明 定義を確かめることで証明しよう。
任意に実数$\alpha$をとり、$\alpha$の大小について場合分けをして考えと、
$\alpha<0$のとき$\{x\in X|1_E(x)\gt \alpha\}=X$、$0\leq \alpha <1$のとき$\{x\in X | 1_E(x)\gt\alpha\}=E$、$\alpha\geq 1$のとき、$\{x\in X|1_E(x)\gt \alpha\}=\emptyset$
全ての場合について、$1_E$が可測関数のとき$E$は可測集合であり、その逆も確かめられる。

証明おわり

1.png

命題 4.2
$f:X \rightarrow \overline{\mathbb{R}}$を可測関数とする。任意のa倍$af$、$f^2$は可測関数である.
ここで、a倍、関数の掛け算を次のように定義している。
(af)(x):=af(x)
(fg)(x):=f(x)g(x)

証明
まず、$af$が可測関数であることを示そう。
a=0の場合、afは恒等的に0である。これは$\emptyset$の特性関数なので、命題4.1より可測関数である。
a>0 のとき、$\{x\in X| af(x)\gt \alpha\}=\{x\in X| f(x)\gt \alpha/a\}$である。またfは可測関数なので$\{x\in X| f(x)\gt \alpha/a\}$は可測集合であるから、$\{x\in X| af(x)\gt \alpha\}$は可測集合であることが示されてafは可測関数であることがわかる。
a<0のとき、$\{x\in X| af(x)\gt \alpha\}=\{x\in X| f(x)\lt \alpha/a\}$であり、前の記事の命題3.2を使うとよい。$af$が可測関数であることが示された。

つぎに、$f^2$は可測関数であることを確かめる。
$\alpha$を任意の実数とする。$\alpha\lt 0$ならば二乗すれば常に0以上なのだから、$\{x\in X| f^2(x)\gt \alpha\}=X$なので可測である。
$\alpha\geq0$のとき、$\{x\in X| f^2(x)\gt \alpha\}=\{x\in X| f(x)\gt \sqrt\alpha\}\cup\{x\in X| f(x)\lt -\sqrt\alpha\}$であり、前に示した命題3.2を使えばそれぞれ可測なので、和をとったものも可測である。よって可測関数であることが示された。
証明おわり

つづく

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