1. 企業内LANの設計
企業内LAN(キャンパスLAN)の設計では、いくつかの機能に分けた階層設計が推奨されている。
階層設計を取り入れることによって、ネットワーク全体の拡張性を向上させ、管理を効率化することができる。
階層には、基本となるアクセス層、ディストリビューション層、コア層がある。
1.1. アクセス層
クライアントを収容するための階層
VLANを利用したブロードキャストドメイン分割などの追加機能を設定する。
1.2. ディストリビューション層
アクセススイッチからのトラフィックを集約して、必要に応じてコア層へ転送する。
通常はVLAN間のルーティングを行うためにL3スイッチが使用される。
1.3. コア層
ネットワークのバックボーンとなる。
ディストリビューションスイッチを収容する。
高速で大容量のトラフィックを処理する非常に高い信頼性を持つスイッチ。
ネットワークの規模が小ー中規模の場合、コア層とディストリビューション層は1つになるように設計する。
また、この他にサーバ群を接続するスイッチを収容するサーバファーム(サーバアクセス層)がある。
1.4. 補足-アクセス層の特徴
ポート密度が高いローエンドなスイッチを設置
安いFastEthernet(10/100Mbps)ポートが主流
VLANを実装し、ブロードキャストドメインを分割
2. Catalystスイッチの初期起動
Catalystスイッチに電源を投入すると、Cisco IOSソフトウェアの初期起動時の内容が出力される。
2.1. 初期起動の流れ
ステップ 1:ケーブリングを行い、配線が適切かどうかを確認
ステップ 2:スイッチに電源ケーブルを接続
ステップ 3:起動時のLEDや表示メッセージを確認
LED |
---|
システム |
RPS |
ステータス |
DUPLEX |
SPEED |
PoE |
MODE |
ポート |
2.2. セットアップモード
スイッチに電源が投入されると、スイッチはNVRAM内のコンフィギュレーションファイル
を検索する。
コンフィギュレーションファイルが存在する場合は、ユーザEXECモード
になるが、ない場合は初期設定を行うためにセットアップモード
で起動する。
起動中にセットアップモードに入るためには、「特権EXECモード」でsetup
コマンドを実行すればいい。
3. スイッチの基本設定
スイッチの正常な軌道が確認できたら、スイッチに対して基本的な設定を行う必要がある。
3.1. ホスト名の設定
(config)# hostname <hostname>
(config)# no hostname
3.2. 管理用IPアドレスの設定
(config)# interface vlan <vlan-id>
(config-if)# ip address <ip-addr> <subnet-mask>
(config-if)# no shutdown
(config-if)# no ip address
no shutdown
コマンドは、インターファイスを有効にするための設定。
3.3. デフォルトゲートウェイの設定
(config)# ip default-gateway <ip-addr>
(conifg)# no ip default-gateway
4. スイッチの基本設定の確認
基本設定と状態を確認するための各種のコマンドがある。
4.1. スイッチ本体情報の表示
SW> show version
IOSの情報、ブートROMのバージョン、起動時からの経過時間、起動した原因などいろいろな情報が確認できる。
4.2. 現在のコンフィギュレーションの表示
SW# show running-config
4.3. スイッチポートの詳細情報の表示
SW# show interfaces [<interface-id>]
4.4. スイッチポートの要約情報の表示
SW# show interfaces [<interface-id>] status
4.5. 管理インターフェイスの情報の表示
SW# show interfaces vlan <vlan-id>
VLANの状態 | Lineプロトコルの状態 | 説明 |
---|---|---|
up | up | 有効 |
up | down | 同じVLANに端末がない |
administratively down | down | shutdownされている |
down | down | VLANがアクティブではない |
5. MACアドレステーブル
スイッチの基本機能はフレーム転送。
スイッチはMACアドレステーブルを使ってふれ0羽を必要なポートに転送する。
5.1. MACアドレステーブルの表示
Catalystスイッチでは、CAM(Content Addressable Memory)と呼ばれる、メモリを利用してMACアドレステーブルを管理する。
MACアドレステーブルに登録されるアドレスには2種類がある。
ダイナミック:受信したアドレスを自動的に登録
スタティック:管理者が手動で登録
SW# show mac address-table [dynamic | static]
5.2. スタティックMACアドレスの登録
SW# mac address-table static <mac-addr> vlan <vlan-id> interface <interface>
5.3. MACアドレステーブルのエージングタイム
デフォルト300秒
SW# show mac address-table aging-time
5.4. ダイナミックアドレスの削除
SW# clear mac address-table dynamic