富士通(株) 人工知能研究所の木村です。
LF AI&Dataでの活動がメインですが、ご縁があってOpenChain Japan Advent Calendar 2024に参加させていただくことになりましたのでよろしくお願いいたします(投稿が遅れてしまいましたが…)
2024年10月28-29日に開催されたOpen Source Summit Japanにて、Linux FoundationにおけるAI系OSSの日本コミュニティの位置づけとしてLF AI Community Japan (LFAICJ)の立ち上げをアナウンスいたしました。
この度、LF AI&DataからJapan Regional User Group (RUG)として承認され、2025年1月に正式アナウンスすることとなりましたので、本記事にてLFAICJ立ち上げの背景や趣旨について紹介いたします。
LF AI&Data Foundationについて
LF AI&Data FoundationはLinux Foundation傘下の団体で、AI関連の様々なOSSプロジェクトをホストしています。LF AI&DataにはAWS、Microsoft, NVIDIA等多数のメンバー企業が加入しており、弊社富士通も日本唯一 (2024年現在) のメンバー企業として加入しています。
LF AI&Dataのホストするプロジェクトには、有力なものとしてAIモデルのオープンソースフォーマットを提供しているOpen Neural Network Exchange (ONNX)やローカル環境でLLMを利用可能にするvLLM等が挙げられます。
弊社からはSapientML (高速で軽量なAutoMLツール)とIntersectional Fairness (AIの公平性の検証や改善を行うツール)の2つのOSSを寄贈しています。
LF AI&Data Foundation Interactive LandscapeにOSSの鳥観図がありますのでご覧いただければと思います。
LFAICJで何をやるの?
LFAICJ立ち上げの目的としてはいくつかあります。まずは日本固有のAIに関する課題をOSSで解決したいというものがあります。日本語や日本文化・慣習・法制度への対応等、オープンソースAIの日本へのローカライズやそれに派生する様々な問題を取り扱う場を作りたいと思っています。
次に、AIについて日本語で議論・情報共有できる場を作ることで、日本のAIエンジニアを増やすというものがあります。AI関連の様々なOSSコミュニティに参加されている日本の方は多くいらっしゃるかと思いますが、日本のOSSユーザ全体から見るとまだまだ少ないのではないかと思います。日本国内で日本語にて議論できるコミュニティがあり、そこで多様な意見を取り込んだり新しいアイデアが生まれやすくなったりすることで、より多くの方々がOSSへコミットできるようになるのではないかと思っています。このためにLFAICJではLF AI&DataやPyTorch、またこれらに限らないAI関連OSSの日本語での紹介や、技術情報の日本語翻訳、また対面/ハイブリッドでのミートアップの開催による日本国内でのネットワーキングを実施していきたいと思っています。
LF AI&Dataメンバーである私達の思いとしては、LFAICJを起点に数多くのコラボレーションが生まれてほしいというのがあります。弊社では2023年8月頃からLF AI&DataでOSSプロジェクトを公開して、OSSコミュニティを共に盛り上げていくコラボレーター探しを行っていました。実際にやってみた結果としては、Open Source SummitやAI_dev等のイベントでの露出や興味を持ってくださった企業様への訪問等いろいろやってみたもののまだ結果が出ていないと考えています。OSSプロジェクト単体で活動していくにはリソースもノウハウも圧倒的に不足していると感じていて、そもそも我々のOSSのニーズを持つと思われる人達にうまくリーチできていないというのも感じていました。そのため、LFAICJでは、OSSプロジェクトからは一段拡げてAI関連OSS全般に興味のある日本国内の方々に気軽に入ってきていただき、様々なトピックを扱いその中からニーズのあった方達により具体的なコラボレーションが走っていけるようになると良いなと考えています。
今後の予定
まずはLF AI&Dataから2025年1月中にLFAICJ発足を正式にアナウンスする予定です。
また、2025年2月(17日週を想定)にLFAICJの第一回ミートアップを開催したいと思います。この回では、AIの活用状況、AI関連OSSへの取り組み状況、課題、ノウハウの共有等を、登壇予定の各社様から行っていただこうと思います。詳細は後日リンクを貼らせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします!