1. はじめに
Part 1 では、コンテキストエンジニアリングの基本概念と4つの作戦を紹介しました。
Part 2 では、Claude Codeで4つの作戦を実践する方法を解説しました。
「Command・MCP・Hooks・Agents・Skills の設定、自分で全部作るのは大変だな...」
そう思った方、多いんじゃないでしょうか。
この記事では、チームで上記のような拡張機能を共有できる仕組み「Claude Code Marketplace」を紹介します。
2. 一人で全部作るのは大変
Part 2で紹介した4つの作戦を実践しようとすると、こんな壁にぶつかります。
設定を作るのが大変
- Command・MCP・Hooks・Agents・Skills... 種類が多い
- 作り方をキャッチアップするのが大変
- 試行錯誤の時間がかかる
ノウハウが広まらない
- 良い設定を作っても、自分だけで使っている
- チームメンバーに共有する方法がない
- ノウハウが属人化して、チーム内で差が生まれる
【図1】ノウハウが属人化する問題
Aさん:「便利なコマンド作った!」
↓
(自分だけで使う)
↓
Bさん:「同じようなの作ろう...」
Cさん:「設定って何?」
→ なのでみんなで共有できる仕組みを作ろうということです
3. Claude Code Marketplaceとは
この問題を解決するために作ったのが Claude Code Plugin Marketplace です。
2つのキーワード
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| プラグイン | Claude Codeの拡張機能をまとめたパッケージ(Command・MCP・Hooks・Agents・Skills) |
| マーケットプレイス | プラグインを配布・管理する仕組み(GitHubリポジトリ) |
何が嬉しいの?
① 数ステップで導入できる
# マーケットプレイスを追加
/plugin marketplace add https://github.com/xxx/marketplace.git
# プラグインをインストール
/plugin install <plugin名>@marketplace名
これだけで、複雑な設定が全部入ります。
② 誰かが作ったらチーム全員が使える
Aさん:便利なコマンド作った!
↓
(Marketplaceに登録)
↓
Bさん・Cさん・Dさん:「使える」
③ ナレッジがコードとして残る
- 設定ファイルがGitHubに残る
- 誰でも見られる、改善できる
4. プラグインの中身
プラグインには5種類の拡張機能が含まれます。
① コマンド(Slash Commands)
スラッシュで呼び出せる便利なショートカットです。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
/create-pr |
安全にドラフトPRを作成。危険なgitコマンドのガード付き |
/api-review |
APIコードのレビュー。言語・フレームワークに応じたガイドライン適用 |
/batch-review |
バッチ処理コードのレビュー |
例:/api-review の動き
あなた:/api-review
Claude:レビューモードを選択してください
1. Git差分
2. リポジトリ全体
3. 指定パス
↓
言語・フレームワーク判定
↓
該当するガイドライン読み込み
↓
レビュー結果を出力
② エージェント(Subagents)
専門的なタスクを任せられるサブエージェントです。
| エージェント | 説明 |
|---|---|
prompt-engineer |
曖昧なリクエストを選択式の質問で明確化 |
keyword-extractor |
Web検索用のキーワードを抽出・生成 |
web-search-executor |
キーワードリストからWeb検索を実行 |
例:prompt-engineer の使い方
あなた:「なんかいい感じのAPIを作って」
Claude:(prompt-engineer エージェントを呼び出し)
「具体的にお聞きします」
- 何のためのAPIですか?
- どんなデータを扱いますか?
- レスポンス形式は?
↓
明確な仕様に変換
③ スキル(Skills)
Claude Codeが参照できる知識ベースです。
| スキル | 説明 |
|---|---|
programming-principles |
プログラミング原則(SOLID、DRY等) |
{xx}-development-guideline |
xxの開発ガイドライン(ex: api・batch・java・python...) |
動的に読み込むスキル
- コマンド実行時に言語やフレームワークを検知
- 該当するガイドラインを自動で参照
- 例:Javaのコードなら → Java用ガイドライン
④ MCPサーバー(MCP Servers)
外部サービスと連携するためのサーバーです。
| サーバー | 説明 |
|---|---|
github |
GitHub API操作(PR、Issue管理等) |
atlassian |
Confluence/Jira連携 |
serena |
セマンティックコード解析 |
context7 |
ライブラリドキュメント取得 |
playwright |
Webブラウザ操作・テスト自動化 |
⑤ Hooks
特定のイベントで自動実行される処理です。
| イベント | 動作 |
|---|---|
Notification |
Claude Codeが許可を求める際に通知音 |
Stop |
タスク完了時に通知音 |
5. 使い方のコツ(Tips)
Marketplace やプラグインを運用する中で学んだコツを紹介します。
① 意図しない挙動はすべて通知させる
プロンプトに「問題があったら必ず報告して」と書いておくと、エラーを見逃しません。
# 例:MCP接続エラーの通知
「認証が足りず MCP に接続できませんでした」→ 必ずユーザーに通知
② エージェントの description は詳しく書く
サブエージェントがいつ呼び出されるかは、description(説明) で決まります。
# ❌ 悪い例
description: "検索する"
# ⭕ 良い例
description: "Web検索用のキーワードを抽出・生成する。ユーザーの曖昧な要求から、検索に適した具体的なキーワードリストを作成する。"
③ 出力形式を守らせる
「JSON形式で出力して」「箇条書きで」など、形式を指定すると安定します。
# 例
「以下の形式で出力してください:
- 問題点:
- 改善案:
- 優先度:高/中/低」
6. まとめ
コンテキストエンジニアリングは、AIを上手に使うための技術です。でも、その設定を一人で全部作るのは大変です。
Marketplaceのような「共有の仕組み」を使えば、
- 誰かが作った便利な設定を使える
- 自分が作った設定をみんなに共有できる
- チーム全体のAI活用レベルが上がる
ぜひ基盤を作ってみてください