9
7

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

新メンバーが入った瞬間、チームのアジャイル度は試される

9
Posted at

「うちはスクラムでうまく回っています」

そう言っていたチームが、新メンバー加入をきっかけに一気に不安定になることがあります。
それは偶然ではありません。新メンバーは“チームの透明性”をあぶり出す存在だからです。

今回は、実際によく起きる具体的なエピソードをもとに考えてみます。

エピソード1:優先順位の理由を誰も説明できなかった

あるプロダクトチームに中途エンジニアが参加しました。
スプリントプランニングで彼は素朴な質問をします。

「なぜこの機能が今一番優先なんですか?」

一瞬、場が止まりました。

プロダクトオーナーは「顧客から要望が多いから」と答えます。
しかし、新メンバーは続けます。

「それって売上インパクトが大きいという意味ですか?それとも解約防止ですか?」

誰も具体的な数字や仮説を言えませんでした。
これまでチーム内では「なんとなく重要」という空気で意思決定がされていたのです。

既存メンバー同士では通じていた文脈が、新メンバーの参加によって初めて言語化を求められました。

アジャイルなチームであれば、優先順位は仮説と目的に紐づいて説明できるはずです。

エピソード2:暗黙のコードレビュー文化

別のチームでは、レビューは「気づいた人がやる」スタイルでした。
特に問題なく回っているように見えていました。

しかし新メンバーがPRを出したあと、丸一日誰もレビューしませんでした。

彼は遠慮してSlackにも書きません。
結果、タスクは止まり、スプリント後半で遅延が発生しました。

レトロスペクティブで初めて気づきます。

  • 誰がレビュー責任を持つか明確でない
  • 新メンバーは暗黙ルールを知らない
  • 優先度の基準が共有されていない

これまで“阿吽の呼吸”で回っていただけでした。

自己組織化とは「察する文化」ではありません。
役割や責任が透明であることです。

エピソード3:レトロの改善が実行されていなかった

新メンバーが初めて参加したレトロで、こう発言しました。

「“仕様確認を早める”って前回も書いてありますが、何が変わったんですか?」

場が静まり返ります。

実は3スプリント連続で同じ改善項目が出ていました。
誰も実行状況を追っていなかったのです。

内部メンバーだけだと、「まあ次やろう」で流れてしまうことがあります。
しかし外から来た人は、そこに違和感を持ちます。

検査と適応が回っていないチームは、イベントはあってもアジャイルではありません。

エピソード4:オンボーディングで露呈するドキュメント軽視

あるチームは「アジャイルだからドキュメントは最小限」と考えていました。
実際には最小限ではなく、ほぼ存在していませんでした。

新メンバーはこんな状態になります。

  • アーキテクチャ全体像が分からない
  • なぜその技術選定なのか履歴がない
  • 過去の失敗事例が共有されていない

結果、同じ議論を繰り返し、同じミスを再発させます。

アジャイルはドキュメントを否定していません。
価値を生まない過剰ドキュメントを避けると言っているだけです。

人が入れ替わるたびに知識がリセットされるなら、それは持続可能とは言えません。

なぜ新メンバーで崩れるのか

チームは時間とともに“内向き最適化”します。

  • 空気で分かる前提
  • 言わなくても伝わる優先度
  • 暗黙の役割分担

これは短期的には効率を上げます。
しかし透明性は下がります。

透明性が低い状態では、検査も適応も機能しません。
新メンバーはその透明性を一瞬で可視化します。

本当に強いチームの状態

新メンバーが入っても崩れないチームは、次のような状態です。

  • 優先順位の理由を目的と指標で説明できる
  • 意思決定プロセスが明確
  • 改善アクションにオーナーがいる
  • 必要最低限の情報がすぐ参照できる

つまり、「人」ではなく「構造」で回っています。

まとめ

新メンバーは負荷ではありません。
チームの健全性を測るテストです。

もし加入直後に混乱が起きたなら、それは悪いことではありません。
むしろ改善ポイントが見つかったということです。

アジャイル度が試されるのは、順調なときではありません。
変化が起きた瞬間です。

そして、チームに変化は必ず訪れます。

所属会社(エンジニア積極採用中)

株式会社ONE WEDGE

9
7
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
9
7

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?