親クラスのメソッドを参照渡しで動的に呼び出す方法

親クラスのメソッドが動的に決まる場合は、call_user_func_array() や ReflectionMethod を使うのが適切です。しかし、call_user_func_array() は参照渡しに対応していないため、ReflectionMethod を使う方法が最も確実です。

解決策：ReflectionMethod を使った動的メソッド呼び出し

以下のように ReflectionMethod を使えば、参照渡しの引数 (&$outputData, &$errors, &$warnings) も問題なく処理できます。

修正後のコード

public function process($inputData, &$outputData, &$errors, &$warnings) {
    // 動的に親クラスのメソッドを取得
    $method = new ReflectionMethod(get_parent_class($this), 'process');
    $method->setAccessible(true);

    // 引数を準備（参照渡しが必要なものは & を付ける）
    $args = [
        $inputData,
        &$outputData,   // 参照渡し
        &$errors,       // 参照渡し
        &$warnings,     // 参照渡し
    ];

    // 親クラスのメソッドを動的に呼び出す
    $result = $method->invokeArgs($this, $args);

    return $result;
}

なぜ `call_user_func_array()` を使わないのか？

call_user_func_array() は 参照渡しの引数を適切に処理できない ため、以下のように書いても $outputData などが正しく渡らず、エラーになる可能性があります。

call_user_func_array(['parent', 'process'], [$inputData, &$outputData, &$errors, &$warnings]); 
// ↑ これでは参照渡しが無効になってしまう

ReflectionMethod を使うことで 参照渡しの問題を回避しつつ、動的な親クラスのメソッドを呼び出せる ため、今回のケースではベストな解決策です。

この方法で解決すること

✅ 親クラスの process() メソッドを 動的に呼び出せる
✅ &$outputData, &$errors, &$warnings など 参照渡しの引数も正しく処理できる
✅ ReflectionMethod を使うことで 可読性を損なわずにシンプルに実装できる

どうして `ReflectionMethod` を使えば解決するのか？

まず、なぜエラーが出たのかを理解し、それを ReflectionMethod がどのように解決しているのかを順番に説明します。

❌ 最初のエラーの原因

あなたの最初のコードでは call_user_func() を使って親クラスの process() メソッドを呼び出していましたが、次のようなエラーが出ていました。

PHP Warning:  Parameter 2 to ParentClass::process() expected to be a reference, value given

エラーの意味

このエラーメッセージは、「関数（メソッド）の2番目の引数は 参照（&付き）で渡さなければならない のに、普通の値が渡されてしまった」ということを示しています。

例えば、次のようなコードを考えてみてください。

function testFunc(&$value) {
    $value = "変更されました";
}

$var = "元の値";
testFunc($var);
echo $var;  // "変更されました" になる

ここでは $value を &（アンパサンド）付きで受け取っているので、testFunc() の中で変更した値が $var に反映されます。

ところが、call_user_func() や call_user_func_array() は、こうした「参照渡し」を正しく処理できないという PHP の仕様 があります。そのため、親クラスの process() メソッドが参照を期待しているのに、ただの値として渡ってしまい、エラーになった のです。

✅ `ReflectionMethod` を使うとどうして解決するのか？

ReflectionMethod は PHP の「リフレクション（Reflection）」という機能を使って 関数やクラスの情報を取得し、実行する方法 です。

これを使うことで、次のことができます：

親クラスの process() メソッドを取得する
「参照渡し」に対応したまま、メソッドを実行できる

📌 `ReflectionMethod` を使ったコードの解説

修正後のコードをもう一度見てみましょう。

public function process($inputData, &$outputData, &$errors, &$warnings) {
    // ① 親クラスの 'process' メソッドの情報を取得
    $method = new ReflectionMethod(get_parent_class($this), 'process');
    $method->setAccessible(true);

    // ② 引数を参照付きで用意する
    $args = [
        $inputData,
        &$outputData,   // 参照渡し
        &$errors,       // 参照渡し
        &$warnings,     // 参照渡し
    ];

    // ③ 親クラスのメソッドを実行
    $result = $method->invokeArgs($this, $args);

    return $result;
}

① `ReflectionMethod` で親クラスのメソッドを取得

$method = new ReflectionMethod(get_parent_class($this), 'process');

get_parent_class($this) は このクラスの親クラスの名前を取得する 関数です。
new ReflectionMethod(親クラス名, 'process') で、親クラスの process() メソッドの情報を取得します。

② 引数を「参照付き」で用意する

$args = [
    $inputData,
    &$outputData,   // 参照渡し
    &$errors,       // 参照渡し
    &$warnings,     // 参照渡し
];

ここで、&$outputData などをちゃんと参照として渡す ことで、親クラスの process() メソッドの中で変更した内容が正しく反映されるようになります。

③ `invokeArgs()` で親の `process()` を実行

$result = $method->invokeArgs($this, $args);

invokeArgs($this, $args) を使うことで、取得した process() メソッドを 参照渡しのまま 実行できます。
$this は このオブジェクトを使ってメソッドを呼び出す という意味です。
$args には、用意した引数（&$outputData など）が含まれています。

❓ なぜ `call_user_func_array()` ではダメなの？

call_user_func_array() でも関数を動的に呼び出すことはできますが、「参照渡し」の情報が失われてしまう という問題があります。

例えば：

call_user_func_array(['parent', 'process'], [$inputData, &$outputData, &$errors, &$warnings]);

このコードでは、&$outputData などが 「値」として渡されてしまう ため、process() の中で変更しても反映されません。

一方、ReflectionMethod を使えば 参照渡しのまま親のメソッドを呼び出せる ので、期待通りの動作になります。

🔎 まとめ

方法	参照渡しできる？	親の動的メソッドを呼べる？	備考
`call_user_func()`	❌ できない	✅ できる	参照渡しができずエラーになる
`call_user_func_array()`	❌ できない	✅ できる	参照渡しの情報が失われる
`ReflectionMethod::invokeArgs()`	✅ できる	✅ できる	正しく動作する！

🎯 最後に

ReflectionMethod を使うことで、「参照渡し」のまま動的に親クラスのメソッドを呼び出す ことができる。
call_user_func() や call_user_func_array() では 参照渡しがうまく動かない ので、この場合は使えない。
ReflectionMethod::invokeArgs() を使えば、親のメソッドを柔軟に呼び出せる し、参照渡しも問題なく処理できる。

このように、「PHP の仕様（call_user_func() は参照を渡せない）」を理解し、それを回避するために ReflectionMethod を使うことで、問題を解決できるのです！ 😃