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Re:VIEW で mermaid を使った際にT3フォントが埋込まれないらしい場合の対処(図が徐々に小さくなる場合の対処も)

Last updated at Posted at 2023-11-23

はじめに

人生で初めて同人誌を作りました。そこで大変困ったことが置きました。かなり時間をかけたので、何をやったかを書き記しておきます。同じ悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

なお、本質的な解決ではなく当面の回避策です。あと、以下は途中経過を相当はしょって書いてますが、紆余曲折の挙げ句の解決です。

環境と問題点

最初は LaTeX で書くつもりだったのですが「同人誌ならこれを使ったらどう」と進められて

を使うことにしました。どちらも初体験です。環境は以下のとおりです。

  • MacBook Pro (Apple M1 Pro)
  • MacOS (Sonoma 14.1.1)
  • MacTeX (brew mactex-no-gui 20230314)
  • ReVIEW 5.8
  • Mermaid 10.6.1

なお、Re:VIEW フォーマットガイドmermaid-の利用には「現時点で、Linux 以外の動作は確認していません。」とあるので、そもそもMacOS上での動作はサポート外かもしれませんが、これ見ないでインストールしたら環境が出来てしまったので何の迷いもなく使ってしまいました。

調子良く書いて・描いて、同人誌の印刷屋さんに入稿できました。するとものの数時間後にツッコミが来て「入稿したPDFに埋め込まれてないフォントがある」とのこと。フォントの指定なぞは一切してないのでフォントについて指摘を受けても心当たりがありません。最悪代替フォントが使われるだろうから印刷できないこともないでしょうが、それは最後の手段です。

原因(と思われること)

mermaid に図形ファイルを出力させる際に、一旦 Web ブラウザを裏でいごかしてるようです。より正確に言うと Google Chrome のベースになってる Chromium を用いてるようです。Chromium は Re:VIEW 内に埋め込んでいる mermaid の図の記述ごとに pdf ファイルを作成するようです。そしてその pdf ファイルを LaTeX が \inclucegraphics して本文に取り込みます1

で、どうもこの Chromium が吐いた PDF を使うとよろしくないフォントを使ってしまうようで、そこんところを埋め込んでくれないようです。そのあたりは Re:VIEW の作者さんの記事Re:VIEWでダイアグラムツールのMermaidに対応する作業を進めてみたでも当初から指摘されてます(さんざん潮干狩りして、随分と後になってからこの記事に気が付きました)。

フォントのチェックの方法

まずはどんなフォントが問題を起こしているのか確認しましょう。

Acrobat でフォントを調べる

PDFを扱うのに Adobe Acrobat Pro というのがあります。有料のソフトウェアです。ただし、7日間の無料トライアルが可能です。

Acrobat を使ってどんなフォントが使われてるか調べるには以下をやります。

  • Acrobat に PDFファイルを食わせます
  • 一番上のメニューバーで Acrobat 「ファイル」を選択
  • プルダウンメニューで「文書のプロパティ」を選択
  • ポップアップウィンドウが出てくるので「フォント」を選択

これでフォント一覧のリストが出てくるので、ずーっと眺めると怪しげな Type 3 ってのが出てきます。これをどうにかしないといけないようです

acrobat-font.png

pdffonts でフォントを調べる

UNIXコマンドの pdffonts でも中身は調べられます2。これで見ると emb 列が全部 yes なんで大丈夫そうに見えるんですが、この [none] で始まるやつがやばそうです。

...
[none]   Type 3   Custom   yes no  yes    578  0
...

解決法

印刷屋さんに入稿したのと、オンライン販売用に作成したのと、やり方を変えて2通り試してみました。

PDFをアウトライン化する

まあフォントを取り去ってしまえば良いので PDF ファイル全体をアウトライン化するという手があります。これは入稿の〆切を過ぎてしまってるので、もう時間の余裕がなく、とっさに取った解決法です。Acrobat Pro を使いました。もっと気軽なツールでできるのかもしれません。

んで、アウトライン化は Acrobat Pro があれば一発です。一発なんですが、操作する場所がわかりにくいです。探すのに一苦労しました。

まずはアウトライン化したい元のPDFファイルをAcrobatに読ませます。次に、メニューバーの下の「すべてのツール」を選択します。

スクリーンショット 2023-11-23 23.14.07.png

左側に「すべてのツール」が出てきますが、おそらくかなりの方の環境で、ツールが多すぎて一覧に入らないです。なのでまず目いっぱい上までスクロースします。

スクリーンショット 2023-11-23 23.14.17.png

すると「さらに表示」ってのが出てくるのでクリック。
スクリーンショット 2023-11-23 23.14.27.png

すると「印刷工程を使用」ってのが出現するのでそれをクリック。
スクリーンショット 2023-11-23 23.14.38.png

「印刷工程を使用」の中に「プリフライト」ってがでてくるのでそれをクリック3
スクリーンショット 2023-11-23 23.14.51.png

すると突然「あれ俺のマシン、MacOS 9 になった感じ?」ってな統一感の欠けたポップアップウィンドウが出てきます。「フォントをアウトラインに変換」というのを確認したら、このポップアップウィンドウの一番下「解析してフィックスアップ」を押してください。

するとアウトライン化したPDFが出来上がります。どのフォントをアウトライン化するという選択は出来なくて(やり方が分からなくて)全部のフォントがアウトライン化されます。私の場合は、元々は1.8MB強だったPDFファイルを変換したら50MBを超えました。これを印刷屋さんに入稿して今回は事なきを得ました。

図のPDFを別の形式にあらかじめ変換する

印刷屋さんに入稿するときは多少ファイルがデカくても良いですが、オンラインで販売するときにあまりでかいのはよろしくないので、今度は別の方法をとってみました。

Chromium で作成する PDF が T3 font を使わないようにすれば良いのでしょうが、私の力量では無理そうなので、この PDF を他の図形フォーマットに変換することんにしました4。今回は png を使ってます。全体のプロセスはこんな風にします。

  1. Re:VIEW をデバッグモードでいごかして、ファイルを片っ端から残すようにする
  2. Mermaid による図形のPDFファイルが残るので、それをPNGに変換する
  3. LaTeX のファイルがPDFを参照しているのを PNGを参照するように変更する
  4. LaTeX を3回かけて、dvipdfmx をする

Re:VIEW がファイルを残すようにする

デフォルトの動作では作業で生成した中間ファイルを Re:VIEW が最後に消去してます。
これをデバッグモードでいごかすことでファイルを消さないようにできます。

デフォでは config.ymldebug:null になってます。

config.yml
# デバッグフラグ。nullでないときには一時ファイルをカレントディレクトリに作成し、削除もしない
debug: null

これを true にします。

config.yml
# デバッグフラグ。nullでないときには一時ファイルをカレントディレクトリに作成し、削除もしない
debug: true

これで rake pdf とやると作業ファイルを残したまま PDF が作成されます。出来上がったページは mybookname.pdf というファイルになりまして、作業ファイルはconfig.yml 内の mybookname-pdf というディレクトリに残ります。ここで mybookname とは config.yml 内で bookname:で指定する名前です。

config.yml
# ブック名(ファイル名になるもの。ASCII範囲の文字を使用)
bookname: mybookname

Mermaid が作った図形用PDFファイルをPNGファイルに変換する

変換用には pdftoppm を使いました。持ってない方は netbpm をインストールしてください。

  • 図形用PDFファイルは mybookname-pdf/images/latex*.pdf という名前で置いてある
  • 変換したPNGファイルは mybookname-pdf/images/png*.png という名前で置くことにする

この作業をシェルコマンドで書いたのが以下です。

cd mybookname-pdf/images
mkdir png
for i in latex/*.pdf
do
        pdftoppm -r 300 -png latex/`basename $i .pdf`.pdf > png/`basename $i .pdf`.png
done

解像度は -r のオプションで指定してください。この例では 300dpi にしています。この解像度を高くするとファイルがデカくなります。

LaTeX のファイルがPDFを参照しているのを PNGを参照するように変更する

Re:VIEW では各章ごとに chap.re ファイルとして文書を書きます。これに対応して chap.tex ファイルができます。ファイル内で //graph[cite][mermaid][caption]{ と言う指示によって mermaid の図ができます。図は cite.pdf という名前のPDFファイルになり、以下のように chap.tex から参照されます。

\begin{reviewimage}%%cite
\reviewincludegraphics[width=\maxwidth]{images/latex/cite.pdf}
\reviewimagecaption{caption}
\label{image:chap:cite}
\end{reviewimage}

これを先程変換したPNGファイルを参照するように変更します。

\begin{reviewimage}%%cite
\reviewincludegraphics[width=\maxwidth]{images/png/cite.png}
\reviewimagecaption{caption}
\label{image:chap:cite}
\end{reviewimage}

これをshスクリプトにやらせます。

cd mybookname-pdf

for i in [a-z]*.tex
do
        echo $i
        sed -i -e 's/images\/latex\/\([a-z0-9-][.]\)pdf/images\/png\/\1png/g' $i
done

LaTeX を3回かけて、dvipdfmx をする

以上でいろいろな変更は終わったので、あとは通常の Re:VIEW 同様に LaTeX して .dvi ファイルを .pdf に変換します。大元の LaTeX ファイルは __REVIEW_BOOK__.tex という名前です。

cd mybookname-pdf
uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
dvipdfmx -d 5 -z 9 __REVIEW_BOOK__

これでファイル名 mybookname/__REVIEW_BOOK__.pdf として出来上がります。

全部を1つのshスクリプトで

以上を全部まとめたスクリプトがこちらです。

cd mybookname-pdf

for i in [a-z]*.tex
do
        echo $i
        sed -i -e 's/images\/latex\/\([a-z0-9-]*[.]\)pdf/images\/png\/\1png/g' $i
done

(cd images;
mkdir png
for i in latex/*.pdf
do
        pdftoppm -r 300 -png latex/`basename $i .pdf`.pdf > png/`basename $i .pdf`.png
done)

uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
uplatex -interaction=nonstopmode -file-line-error -halt-on-error __REVIEW_BOOK__
dvipdfmx -d 5 -z 9 __REVIEW_BOOK__

最後に mv して mybookname/__REVIEW_BOOK__.pdfmybookname.pdf にすれば良いのでしょうが、変換前と変換後を残して置きたいのであえてそのままにしてます。

図がだんだん小さくなってしまう場合のハック

ここまでの、フォントが埋め込まれない場合の対処とは全然関係ないですが、もうひとつ困ったので、それの当面の回避策を残しておきます。

Mermaid で大量に図を入れたところ、徐々に図が小さくなっていく現象がありました。これは selfcrop を無効にすることで対処しました。以下がデフォです。

config.yml
playwright_options:
  playwright_path: "./node_modules/.bin/playwright"
  selfcrop: true
  pdfcrop_path: "pdfcrop"
  pdftocairo_path: "pdftocairo"

これを以下のように変更します。

config.yml
playwright_options:
  playwright_path: "./node_modules/.bin/playwright"
  selfcrop: false
#  selfcrop: true
  pdfcrop_path: "pdfcrop"
  pdftocairo_path: "pdftocairo"

ただこれをやると、図が小さくなっていくのは防げますが、図をページ幅一杯に入れようとするので図が大きくなりすぎるという欠点があります。

まとめ

Re:VIEW で Mermaid を併用したときに起こるフォントの問題について2通りの回避策を示しました。いずれ根本的に解決すると思うので、この技は必要なくなるでしょう。

謝辞

まず、Re:VIEW の作者の方とメンテナの方に感謝したいと思います。
そして、今回の作業でmyasuさんには大変お世話になりました。ここに記して感謝します。

この記事の成果

第9回 技術書同人誌博覧会香美山社中というサークルで、私の書いた 理系のための経理入門 と、myasuさんの書いた いっしょに学ぶ Python & Elixir & Rust という書籍を販売してます。ぜひおいでてください。 ぜひご覧になってください。

  1. 実際は Re:VIEW 用に \includegraphics を改変した \reviewincludegraphics というのを使ってます。

  2. Homebrewで入れたようですが記憶がないです。何かのコマンドの依存関係とかで入ったのかもしれません。

  3. プリフライトってなんやねん、って思いますが、無視して進んでください。

  4. Re:VIEW を追いかけてplaywright-runner の先でなにかすれば良いというところまでは行きました。その先は時間切れで追いかけきれずです。

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