内容
以前は、Veeam on Bluemix IaaS with vSphere 6.5 - Qiita の記事にて、Veeam のソリューション群や、IBM Cloud での注文方法、vSphere 6.5 への対応方法などを記載しました。
本記事では、IBM Bluemix and Veeam Configuration Guide を読んで、中に記載されている推奨構成やベストプラクティスについて、みていきたいと思います。
概要
Veeam の特徴のおさらいをしておきます。
- 高速でエージェントレスなイメージベースバックアップ
- VMware や Hyper-V 上の仮想マシンに対して、エージェントを導入する必要がないので、大規模なシステムだとエージェント型のバックアップソフトに比べて導入が楽です。また最低限、ESXi基盤があればよいので、vCenterと連携しなくてもよいです(通常はvCenter連携するとは思いますが)。VMwareがvSphere Data Protection の End of Availability を発表(後述)したこともあり、VMware上の仮想マシンのシステムバックアップとしては定番の選択肢として挙げられます。
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VM全体のバックアップと、個別のファイルバックアップも可能です。
- フォルダのこのファイルを戻したい、というときにも使えます。
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Oracle と MS SQL DB のトランザクションレベルリストア
- DBにも対応していますね
- 全てのバックアップとレプリカの自動テスト・レポート
- バックアップデータが壊れていないか、確認してくれるのは手間が省けますね
- バックアップやアプリパフォーマンスに影響与える可能性のある事象を監視・アラート
- バックアップ経路に関するボトルネックの発見につながります
システム要件
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ESXi と vCenter の バージョン 4.1 以上をサポート
- VMwareのバージョンに対して幅広い互換性を持っているため、非常に便利ですね。移行にも使えるツールですね。もちろん最新のv6.5にも対応しています。
- SCSI bus sharing mode のディスクの仮想マシンは、VMwareがスナップショットをサポートしていないため、サポートされません。
- p-RDM や 独立した単一のディスク、ゲストOS内のiSCSIイニシエーター経由でマウントされているディスクに関しては、サポートしません。
- Veeam VSI に対しては、最低要件は以下の通りです。
- 4 core
- 8GB RAM
- 1Gb Network
- Windows 2012 or 2016
- 2016では、ReFSファイルシステムの機能を活用できるため、2016が推奨です!
Veeam Backup & Replication 9.5 for Windows Server 2016 and Hyper-V! | VMware/Hyper-V(仮想化・クラウド)対応ツール 技術ブログ
この高度なReFS技術を活用することで合成フル・バックアップでは30%-60%削減することができます。これはVeeamと Windows Server 2016との組み合わせで最も有意義なものです。
- ストレージ
- Endurance Block Storage を Veeam VSI にiSCSIマウントし、リポジトリとして活用する構成が推奨です。
パフォーマンス
- ストレージ
- 1~2TBの容量に関しては、0.25, 2 IOPS のどちらのディスクでもバックアップパフォーマンスはほぼ同じだったため、パフォーマンスティア 0.25 IOPS を選ぶのが推奨です!
- バックアップストレージから、直接仮想マシンを起動する vPower Veeam Instant VM Recovery のユースケースの場合も、0.25 IOPS でパフォーマンス上問題なかった
- ただし、事前にパフォーマンス検証することを強く推奨!
スループット
- initial full backup 時には、空のストレージ領域や消去済みのブロックは無視するため、1TBのストレージが割り当てられていた(シン or シックプロビジョニング)としても、実効容量が450GBであれば、Veeam は 450GBのバックアップをおこなう。
- incremental backup 時には、以前のバックアップからの変更ブロックのみがバックアップ対象となる
- ガイド内での検証において、上記の最低システム要件のVSIでは、220GB/時間 のスループットでバックアップを実行できた
- 1TBのフルバックアップであれば、4.5時間。差分が10%であれば、45分。という計算ができる。
ストレージサイジング
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Veeam のエンジニアがつくって公開している非公式ツール Restore Point Simulator を使うと、簡易的なシミュレーションが可能!
- ただし、それぞれの固有の環境によって、結果が変わることに注意
たとえば、上記の設定(差分10%の2週間分の日次バックアップ)であれば、バックアップストレージにはソースVMの約1.7倍の容量が必要です。
ストレージ設定
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"Veeam Scale-out Backup Repository" の機能を活用するを強く推奨。
Endurance Block Storage の枠組みにとらわれず、バックアップリポジトリを柔軟にスケールアウトすることが可能!
Ver9新機能予告 複数のリポジトリを組合せたスケールアウトなバックアップリポジトリ (SOBR) | VMware/Hyper-V(仮想化・クラウド)対応ツール 技術ブログ
スケールアウトバックアップリポジトリは簡単に言うと、複数のリポジトリを単一のプールに統合し、そのプールをバックアップジョブやバックアップコピージョブのターゲットとして使用します。
バックアップ設定
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Veeam “synthetic full” backup(定期的に合成完全バックアップを作成する) を使うと、転送データ量が削減でき、バックアップ時間が短縮できるため、おすすめ!
- 合成フルバックアップは、バックアップ対象VMから転送されるデータ量を大幅に削減(差分のみ転送)し、フルバックアップの作成を高速化することができます(その後、バックアップリポジトリ側でフルバックアップを合成処理)
- もちろん合成フルバックアップを有効にする前に、フルバックアップが1回以上は実行済みでなければなりません
異なる製品に関するリンクですが、参考になります。
CloudBerry BackupによるSynthetic Full Backup(合成フルバックアップ) | VMware/Hyper-V(仮想化・クラウド)対応ツール 技術ブログ
さいごに
コンフィグガイドに書かれていたノウハウを活用して、
ぜひ VMware のバックアップに Veeam を使ってみてください!
参考:vSphere Data Protection の End of Availability
vSphere Data Protection End of Availability - Virtual Blocks
vSphere Data Protection End of Availability FAQ
- 2017年4月に vSphere Data Protection (VDP) の EOA (End of Availability = 開発・販売終了) が発表され、vSphere 6.5 が VDPを含む最後のリリースとなります。(VDP は 6.1.x が最終リリースとなります。)
- VMwareは、今後 Storage API の開発に専念し、3rd Party 製品のエコシステム拡大を目指していくため、後継とされる Dell EMC Avamar Virtual Edition への移行、または他社バックアップ製品の検討を推奨します。
- vSphere Data Protection 6.1のEOGS は 2020 / 03 / 12 、EOTG は 2022 / 03 / 12 です。