はじめに
VMware がパブリッククラウドから撤退して、初めて戦略的提携を発表したメガクラウドがIBM Cloudでしたね。
VMwareのSRMやNSXなどの様々なライセンスが従量課金で利用できるようになっただけでなく、IBM自身によるソリューションの強化がおこなわれています。
これもIBM内にVMwareの技術者が多く存在していることの現れだと思いますが、今回は、そのサービスを紹介したいと思います!
VMware on IBM Cloud の全体像
インフラ、運用、パートナーソリューションを自由に組み合わせて使える形になっています。
IBM Cloud 柔らか層本 より抜粋
##3つのインフラデプロイ方式
VMware 基盤を IBM Cloud で払い出す方法として、以下の3つがあります。
IBM Cloud 柔らか層本 より抜粋
VMware vSphere on IBM Cloud
そもそもこれだけベアメタルを豊富なラインナップ(2017/12/3時点で77種類)を提供しているので、個別に構成したい方はこの方法になります。その中でも以下の2つのルートから注文可能です。
Intel Xeon and Power8 bare metal servers | IBM Cloud
通常のIaaSポータルから注文(control.softlayer.com)
PaaSポータルから注文(console.bluemix.net)
- Hardware BOM がフィルターされて選択肢表示がされる
- 特にVSANを個別構築するケースでは、Hardware Compatibility が重要なため、こちらをおすすめします。
- ライセンス持ち込み(BYOL)のケースでも、ESXiインストールまで構成可能
- その他のライセンスの欄については、ライセンスが払い出されるのみであり、システム自体は個別構築となります。
- プロビジョニング後の操作(クラスタのスケールアウト)も容易
- vCenter、NSXなどはユーザーが個別に構築する
- リンクはこちら
VMware vCenter Server on IBM Cloud (VCS)
- シンプルな操作で、ベストプラクティスを短時間で立ち上げ可能
- ESXi, vCenter, NSX, 共有ストレージが導入済みのクラスタが半日程度でプロビジョニング可能です。
- vSANもオプションで構成可能です。
- VMware のエキスパートによる専用サポートが付きます。
- VMware に関するパッチ適用、アップデートは提供されません。(ユーザーの運用責任範囲となります。)
- バックアップは、Veeam をアドオンサービスとして選択可能です。
- クラスタノードの増減もポータルから制御可能です。
- 公開済みドキュメントはこちら。
- Getting started with IBM Cloud for VMware Solutions
-
VMware-on-IBM-Cloud-Solution-Architecture.pdf
- VMware構成やネットワークの詳細な設定について、書かれています。
-
VMware-on-IBM-Cloud-BOM.pdf
- ハードウェア構成の詳細が書かれています。
VMware Cloud Foundation on IBM Cloud (VCF)
- シンプルな操作で、ベストプラクティスを短時間で立ち上げ可能
- ESXi, vCenter, NSX, vSANが導入済みのクラスタが半日程度でプロビジョニング可能です。
- VMware のエキスパートによる専用サポートが付きます。
- VMware に関するパッチ適用、アップデートが提供されます。
- バックアップは、Veeam をアドオンサービスとして選択可能です。
- クラスタノードの増減もポータルから制御可能です。
- 公開済みドキュメントはこちら。
- Getting started with IBM Cloud for VMware Solutions
-
VMware-on-IBM-Cloud-Solution-Architecture.pdf
- VMware構成やネットワークの詳細な設定について、書かれています。
-
VMware-on-IBM-Cloud-BOM.pdf
- ハードウェア構成の詳細が書かれています。
運用に関する考慮点
- 基本的には、IaaSと同じモデルで、管理者権限はユーザーに与えられます。そのためマネージドサービスを付けない限りは、その後の運用やソフトの導入などは、ユーザーの管理者権限のもとに進められます。
- ただし、ポータルと連携するための自動化の観点から、変更することが推奨されていないコンポーネントがありますので、ご注意ください。
パートナーソリューション
- VCS、VCFのアドオンサービスとして、同時に注文することで自動プロビジョニングされます。
- 基本的には、ライセンス料は従量課金になります。
パートナーソリューションを採用するメリットとしては、
- IBM Cloud コンソールから各種ソフトをワンストップで利用可能
- 幅広いバージョンや要件に対応し、ハイブリッドシステムの安定稼働を支援
- 既存環境でパートナーソリューションをすでに利用している場合は、運用面も含めて、ハイブリッド環境として連携が容易
ライセンスに関する考慮点
- BYOLは、以下の製品区切りの単位で、持込ライセンスか、クラウドライセンスかを選択可能です。(NSXの4CPUをBYOL、4CPUをクラウドのものを使うなどはサポートされていません。)
- vCenter
- vSphere
- vSAN
- NSX
- ただし、持込ライセンスの場合、以下のエディションとキャパシティが必須です。
- vCenter Server Standard
- vSphere Enterprise Plus、8CPU以上
- vSAN Advanced or Enterprise、8CPU以上
- NSX Standard, Advanced or Enterprise、8CPU以上
- VCF は、NSX Enterprise のみ、8CPU以上
- 詳細または最新情報はこちらのガイドを参照してください。
注文・見積もり方法
2018年4月修正
以下から、APIキーなしで見積もりが可能になっています!
IBM Cloud for VMware Solutions
https://console.bluemix.net/infrastructure/vmware-solutions/console/gettingstarted
注文もしたい方は、
https://console.bluemix.net/infrastructure/vmware-solutions/console/settings に IBM Cloud Infrastructure の API Key を設定すると、注文・見積もりが可能になります。
#さいごに
VMwareの設定は、クラウドでも一から始めると時間と手間がかかります。
短期で用意したい場合、NSXやvSANの機能を試したり評価したい場合、スケールアウトが見込まれる場合、災害対策基盤として活用したい場合などは、VCSとVCFの自動プロビジョニングモデルが最適かもしれません。
運用についても、管理者権限があるので、既存のVMware環境と連携して、継続していくことが可能です。
現在、世界中のデータセンターで使えるソリューションなので、VMwareユーザーは一度検討してみると面白いと思います。
今後は、IBM Cloud が先行して、HCXというソリューションも提供していくことが発表されています。
情報源
- IBM Cloud Docs
-
IBM Cloud for VMware Solutions: Take a look under the hood
- 自動プロビジョニングの仕組みについて、解説があります。
-
cloudvmw - dWAnswers
- VCS、VCFに関して、オープンに質問できるサイトです。 気になることがあれば、いつでも質問を投げられます。
-
IBM_Cloud_for_VMware_Solutions_NSX_Edge_Services_Gateway.pdf
- 内部的な NSX Edge Services Gateway の構成について、解説があります。Edge を使って、L2延伸の構成を組むことも可能です。