1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Android SBCを用いたスマートホームHMI開発

Last updated at Posted at 2025-10-08

Android SBCを用いたスマートホームHMI開発

はじめに

近年、スマートホーム市場は急速に成長しており、家庭内の多くのデバイスがネットワーク化されています。照明、空調、エネルギー管理、セキュリティ、エンターテインメントなど、さまざまな機器がスマートフォンや音声アシスタントを通じて制御可能になりました。その中心的な役割を担うのが HMI(Human Machine Interface) です。

HMIはユーザーとデバイスをつなぐ重要な接点であり、デザイン性・操作性・応答速度のすべてが製品の印象を左右します。本記事では、Android SBC(Single Board Computer) を利用してスマートホーム向けのHMIを開発する方法を解説します。


Android SBCとは

Android SBCとは、Android OSを動作させるために設計されたシングルボードコンピュータであり、一般的には以下の要素を備えています:

  • 高性能なARMベースのSoC(例:Rockchip RK3566, PX30など)
  • GPU搭載でGUIレンダリングが高速
  • HDMIやMIPI-DSI、LVDSなど複数のディスプレイインターフェースをサポート
  • Wi-Fi / Bluetooth / Ethernet 等の通信機能を内蔵
  • GPIO, I2C, UART, SPI などのI/Oインターフェースを搭載

これらの特徴により、Android SBCは従来のマイコンボードよりも豊かなUIを持つHMIデバイスを短期間で構築できる理想的なプラットフォームです。


なぜスマートホームにAndroid SBCが適しているのか

1. 豊富なUIフレームワーク

Android OSには、View / SurfaceView / OpenGL / Vulkan / WebView など多様なUI描画手段があります。これにより、家庭用HMIでも美しいグラフィック表現やアニメーションを容易に実現できます。

2. アプリケーション層の柔軟性

JavaやKotlinを用いたアプリ開発により、クラウド連携や音声制御、MQTT通信などを短期間で実装可能です。すでにスマートフォン開発経験のあるエンジニアなら、Android HMI開発にすぐ適応できます。

3. 長期供給と産業グレード対応

RockchipやAllwinnerなどのSoCベンダーは、5〜10年の長期供給を行う産業用SBCも提供しており、家庭用だけでなく商業用スマートパネルにも対応できます。


開発環境の準備

Android SBCを用いたHMI開発には、以下の環境が必要です。

  • ハードウェア:Rockchip PX30 / RK3566 / RK3588 などのSBC
  • OSイメージ:Android 11 以上(AOSPまたはRockchip SDK)
  • 開発ツール:Android Studio, ADB, UARTデバッグケーブル
  • ディスプレイ:MIPIまたはLVDS接続のTFT液晶(例:Rocktech RK070CU01)

ブート後、adb shell でSBCにアクセスし、アプリケーションを直接インストール・デバッグすることができます。


HMIアプリの設計ポイント

1. 画面レイアウト

HMIではユーザーの操作効率が重要です。Androidの ConstraintLayoutLinearLayout を組み合わせ、明快で誤操作の少ないUI設計を心がけます。

<Button
    android:id="@+id/btn_light"
    android:layout_width="200dp"
    android:layout_height="80dp"
    android:text="照明ON/OFF"
    android:background="@drawable/button_bg" />

2. データ通信

家庭内ネットワークの他デバイスとの通信には、MQTT や WebSocket がよく使用されます。Androidでは以下のようなライブラリを利用できます:

val client = MqttAndroidClient(context, "tcp://192.168.1.100:1883", "androidClient")
client.connect()
client.publish("home/light", "ON".toByteArray(), 0, false)

3. 状態管理

UIの状態管理には ViewModel や LiveData を活用することで、リアルタイムなデータ更新が可能です。センサー値や接続状況を即時にUIへ反映することができます。

ハードウェア制御の実装例

Android SBCではLinuxカーネル経由でGPIOやI2Cデバイスを操作できます。Javaレイヤーからは jni 経由でアクセスすることが一般的です。

例として、GPIOを用いたLED制御:

#define GPIO_LED 96
int fd = open("/sys/class/gpio/export", O_WRONLY);
write(fd, "96", 2);
close(fd);

fd = open("/sys/class/gpio/gpio96/direction", O_WRONLY);
write(fd, "out", 3);
close(fd);

fd = open("/sys/class/gpio/gpio96/value", O_WRONLY);
write(fd, "1", 1); // 点灯
close(fd);

これをJNI経由でAndroidアプリから呼び出すことで、画面ボタンでLEDを制御できます。

Android HMI開発のメリットと課題

メリット 説明
GUI開発の容易さ Android Studioで直感的に設計可能
豊富な通信機能 MQTT / HTTP / Bluetooth / Wi-Fi対応
マルチメディア処理 音声・映像再生が容易
OTAアップデート システム更新の自動化が可能

課題点としては、起動時間やメモリ使用量、リアルタイム性の確保が挙げられますが、適切なチューニングで産業用途にも十分対応できます。


まとめ

Android SBCを利用することで、スマートホーム向けHMIは高性能・高デザイン性を両立できます。
開発者は既存のAndroid知識を活用しながら、IoTデバイス制御、クラウド連携、音声操作などを素早く実装できます。
特にRockchipベースのSBCとRocktechの高品質ディスプレイを組み合わせることで、安定した操作性と優れた視覚体験を実現できます。

👉 Rocktech Displays公式サイトはこちら

Rocktechは、産業用TFTモジュール、カバーガラス、タッチパネル、SBCボードのカスタム設計を行っており、
Android / Linuxベースのスマートデバイス開発をサポートしています。

1
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?