10
4

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

MoCA 2.5 を使用しTVの同軸ケーブルを使ってLAN構築

Last updated at Posted at 2022-03-11

はじめに

新築で建売住宅を購入すると、TVアンテナ用として各部屋に同軸ケーブルの配線はされているけど、LANケーブルは通っていないし配管すらないなんてこと、あると思います。私もその1人です。
なんとか同軸ケーブルで通信させることができないか探したところ、MoCA 2.5 という規格の機器を使用することで、最大2.5Gbpsで通信させることができるとのこと。しかし、日本語での情報がほとんどなかったため、機器を購入して実際に試してみました。

MoCAとは

MoCAとは、Multimedia over Coax Allianceの略で、住宅用アンテナ同軸ケーブルを利用したホームネットワーキングの仕様を開発している業界団体です。

2016年に登場したMoCA 2.5では、最大で2.5Gbpsの速度を出すことができます。100MHzの帯域を5つ束ねることで(=500MHz)、2.5Gbpsの速度を実現しているようです。goCoax社の製品では、1125〜1675 MHz(Extended Band D)の帯域をサポートしています。

日本で使用する上での注意点

TVアンテナを設置していれば、当然同軸ケーブルには地上波放送やBS放送の信号も乗っています。MoCAは海外で策定されている規格であるため、日本国内の事情が考慮されていません。そのため、下記を考慮する必要があります。

  • 電波が外部に発信されないこと
  • 地上波放送やBS放送の信号を伝送する周波数と干渉しないこと

電波が外部に発信されないこと

電波の発信については、日本国内においては電波法で厳しく制限されています。TVアンテナとMoCAの機器が直接接続されていると、アンテナから電波が放出してしまう恐れがありNGです。

地上波放送やBS放送の信号を伝送する周波数と干渉しないこと

TVの信号で使用している周波数と干渉してしまうと、電波が混信してしまい、TVとMoCAの両方が使用できなくなってしまいます。そのため、地上波放送やBS放送の信号を伝送する周波数と干渉しないかを検証する必要があります。詳細は下記に記載しますが、結論はBS放送の周波数と干渉してしまうため、地上波デジタル放送のみとの併用であれば使用できると考えられます。

地上波デジタル放送

日本では、地上波デジタル放送に470MHzから710MHz(Ch.13 - 52)を使用しており、関東広域圏の場合は、以下の周波数を使用しています。(参照元:テレビ周波数チャンネル-Wikipedia

テレビ局 チャンネル 周波数範囲(MHz)
NHK総合 27 554.357857 - 559.927857
NHKEテレ 26 548.357857 - 553.927857
日本テレビ 25 542.357857 - 547.927857
テレビ朝日 24 536.357857 - 541.927857
TBSテレビ 22 524.357857 - 529.927857
テレビ東京 23 530.357857 - 535.927857
フジテレビ 21 518.357857 - 523.927857

MoCA2.5(1125〜1675 MHz)と地上波デジタル放送(470MHz~710MHz)は周波数が重複しないため、併用して使用できそうです。

衛星放送(BSデジタル放送)

BS放送の場合は、同軸ケーブル中で1032.23~1488.69MHz、2224.41~2680.87MHzの範囲を使用しており、NHKのチャンネルは以下の周波数を使用しています。(参照元:テレビ周波数チャンネル-Wikipedia日本における衛星放送-Wikipedia

テレビ局 チャンネル BS-IF周波数(MHz)
NHK BS1 BS-15ch 1300.75 - 1335.25
NHK BS4K BS-17ch 1339.11 - 1373.61
NHK BS8K BS-14ch 2454.57 - 2489.07

MoCA 2.5で使用する周波数は1125〜1675 MHzであるため、干渉してしまうと考えられます。

購入・設置

我が家は地上波デジタル放送のみの環境で、今後もBSを増やす予定はないため、機器を購入して設置してみました。電波が発信されないよう、アンテナまでの間にローパスフィルタ(LPF)などのMoCAの電波が外部に漏れないようにするための機器を挟み込みます。
image.png

MoCAアダプタ自体の接続はシンプルで、部屋にある同軸ケーブルを差すところにMoCAアダプタを差し込むだけです。ただし、1Fの差込口はTVとも共用したかったため、分波器を用いてTVとMoCAアダプタに分岐させています。MoCAアダプタはBS/CS用の差込口に差せば問題ありません。

速度測定

image.png

2FのPCから1Fに設置しているNASへ通信を試みたところ、77.2MB/s=618Mbpsの通信速度が出ています。おそらくNASの上限値に引っかかっているようで、インターネットのスピードテストでは700Mbpsを超えることもありました。MoCA 2.5の機器同士では2.5Gbpsをサポートしていますが、家庭内のLAN環境はギガビットイーサネットなので、十分なスピードが出ていると考えられます。

その他

BS放送が視聴できる環境だけど同軸ケーブルで通信させたい場合は、以下のような製品もあります。
DXアンテナ 同軸線モデムシリーズ
これらの製品は、使用する周波数が2〜60MHzとなっているため、地上波デジタル放送やBSデジタル放送の周波数と干渉せずに使用することができます。ただし、通信速度は低めです。(法人向けで330Mbps、家庭向けは90Mbps)

10
4
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
10
4

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?