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[Oracle Cloud] Base Database自動バックアップを使って別リージョンでデータベース作成してみた (2026/03/25)

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はじめに

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のクロスリージョンバックアップリストアは、あるリージョンのデータベースバックアップを別リージョンでリストアする機能です。
OCI Autonomous Recovery Service に取得された Base Database Service のバックアップを使って別リージョンでデータベースを作成してみました。

前提条件

  • OCI テナンシーで2つのリージョン(ソース・ターゲット)がサブスクライブ済みであること
  • 両リージョンに VCN(Virtual Cloud Network)が作成済みであること
  • OCI Autonomous Recovery Service がソースリージョンで有効化済みであること
  • 操作対象リソースに対する適切な IAM ポリシーが設定済みであること

この記事には書いていない作業

以下の事前設定については手順を省略しています。該当する公式ドキュメントを参照してください。

作業 公式ドキュメント
VCN の作成 OCI ドキュメント:Virtual Cloud Networks
DRG(Dynamic Routing Gateway)の作成 OCI ドキュメント:Dynamic Routing Gateways
リモート VCN ピアリングの基本設定 Remote VCN Peering
OCI Autonomous Recovery Service の有効化とバックアップ設定 Configure Recovery Service

手順

Step 1: 自動バックアップの有効化と Recovery Service プライベートエンドポイント情報の記録

OCI Autonomous Recovery Service を使用してデータベースのバックアップを有効化します。Recovery Service を有効化すると、対象 VCN 内にプライベートエンドポイントが自動作成されます。

注意: このプライベートエンドポイントの FQDN とルートドメインは、後の DNS 設定で必須になります。有効化直後に必ず記録しておいてください。記録漏れがあると、DNS フォワーディング設定が不完全になりリストアが失敗します。

プライベートエンドポイントの FQDN 確認方法

方法 1(推奨): データベースサーバーの dbrsnames.ora を確認する

Recovery Service を有効化すると、データベースサーバー上に dbrsnames.ora が自動生成されます。このファイルにプライベートエンドポイントの FQDN が記載されています。

cat $ORACLE_HOME/network/admin/dbrsnames.ora

出力例:

DBRS=
  (DESCRIPTION=
    (ADDRESS=
      (PROTOCOL=TCPS)
      (HOST=<識別子>.rs.br.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com)
      (PORT=2484)
    )
    (CONNECT_DATA=
      (SERVICE_NAME=ZRCV)
    )
  )

HOST= に記載されている値がプライベートエンドポイントの FQDN です。

方法 2: OCI コンソールから確認する

  1. ハンバーガーメニュー(左上)から Oracle DatabaseRecovery Service保護されたデータベース を選択します
  2. 対象データベースをクリックし、ネットワークの詳細 タブを開きます
  3. 表示されているプライベートエンドポイントの FQDN を確認・コピーします

確認した FQDN からルートドメインを特定します。以下の 2 種類が存在する場合があります。

FQDN の例 記録するルートドメイン
xxxx.rs.br.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com
xxxx.rs.br.ap-tokyo-1.oraclecloud.com ap-tokyo-1.oraclecloud.com

注意: VCN によっては両方のドメインが使われることがあります。DNS フォワーディングルールは確認できたドメイン分すべて設定してください。

Step 2: クロスリージョンネットワークの構築(DRG・ルートテーブル・セキュリティリスト)

DRG と VCN ピアリングの設定

両リージョンにそれぞれ DRG を作成し、各 VCN にアタッチします。その後、リモートピアリング接続を確立することで、それぞれのリージョンの VCN 間でプライベート通信が可能になります。デフォルトの DRG ルートテーブルとルート分配を使用すると、ルーティングは自動的に設定されます。

VCN ルートテーブルの設定

各リージョンのサブネットルートテーブルに最低限以下のルートを追加します。

宛先 CIDR ターゲット 説明
ターゲットリージョンの VCN CIDR(例:192.168.0.0/16) DRG リモートリージョンへのルート
OCI サービス CIDR Service Gateway OCI マネージドサービスへのアクセス
0.0.0.0/0(必要な場合) NAT Gateway アウトバウンドパブリックアクセス

セキュリティリストの初期設定

テスト段階では、リモート VCN からの広範な入力を一時的に許可します(TCP/UDPのすべてのポートのイグレスを許可)。これにより、DNS やルーティングの問題を切り分けやすくなります。

image.png

Step 3: DNS ピアリングの設定

注意: このステップがクロスリージョンリストアで最も見落とされやすい設定です。Recovery Service のプライベートエンドポイントは VCN の DNS コンテキストで名前解決されるため、ターゲットリージョン から ソースリージョン の DNS を参照できるようにする必要があります。

OCI DNS リゾルバーエンドポイントを使用して、ターゲット から ソース の DNS を参照できるように設定します。

ソースリージョン:DNS リスニングエンドポイントの作成

ソースリージョンのVCN の DNS リゾルバーに リスニングエンドポイントを作成します。

操作手順

  1. OCI コンソールで ソースリージョンに切り替えます
  2. ハンバーガーメニュー → ネットワーキング → 仮想クラウド・ネットワーク を選択します
  3. Recovery Service が配置されている VCN をクリックします
  4. DNS リゾルバー をクリックします
  5. 表示されたリゾルバーをクリックして詳細画面を開きます
  6. エンドポイント タブ → エンドポイントの作成 をクリックします
  7. 以下の値を入力して作成します
項目 設定値
名前 任意(例:listener_from
サブネット Recovery Service プライベートエンドポイントと同じサブネット
タイプ リスニング
リスナー IP アドレス サブネット内の空き IP を指定 ※自動割り当ても可

image.png

注意: エンドポイント リスニング・アドレスのIP アドレスは後の手順で転送先として使用します。

ターゲットリージョン:DNS 転送エンドポイントの作成

ターゲットリージョンのVCN の DNS リゾルバーに 転送エンドポイントを作成します。

操作手順

  1. OCI コンソールで ターゲットリージョンに切り替えます
  2. ハンバーガーメニュー → ネットワーキング → 仮想クラウド・ネットワーク を選択します
  3. データベースを作成する VCN をクリックします
  4. DNS リゾルバー をクリックします
  5. 表示されたリゾルバーをクリックして詳細画面を開きます
  6. エンドポイント タブ → エンドポイントの作成 をクリックします
  7. 以下の値を入力して作成します
項目 設定値
名前 任意(例:forwarder_to
サブネット データベースを配置するサブネット
タイプ 転送
フォワーダー IP アドレス サブネット内の空き IP を指定 ※自動割り当ても可

image.png

フォワーディングルールの追加

転送(フォワーダー)エンドポイントを作成したら、転送するドメインと転送先を指定するルールを追加します。

操作手順

  1. DNS リゾルバーの詳細画面で ルール タブを開きます
  2. ルールの管理 をクリックします
  3. ルールの追加をクリックします
  4. ソースリージョン VCNの Recovery Service ドメイン向けに以下のルールを追加します

注意: Step 1 で確認した FQDN のドメイン形式に応じて、必要なルールをすべて追加してください。oraclecloud.comoci.oraclecloud.com の両方が使われている場合は 2 つのルールが必要です。

項目 ルール 1(Recovery Service 向け) ルール 2(Recovery Service 向け、該当する場合)
ドメイン ap-tokyo-1.oraclecloud.com ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com
宛先 IPアドレス リスニングエンドポイントの IP(例:10.0.1.82 同左

image.png

DNS 設定の検証(オプション)

ターゲットリージョンのサーバーからソースリージョンのRecovery Serviceの名前解決を確認します。

[root@customdb ~]# nslookup raphxp008-3.rs.br.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com
Server:        169.254.169.254
Address:       169.254.169.254#53
Non-authoritative answer:
Name:   raphxp008-3.rs.br.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com
Address: 10.0.1.99

プライベート IP アドレスが返ってくれば DNS フォワーディングは正常に機能しています。

DNS 検証でタイムアウトする場合のトラブルシューティング

以下のようにタイムアウトが発生する場合は、順番に確認してください。

$ nslookup rafrap031-1.rs.br.ap-tokyo-1.oraclecloud.com
;; connection timed out; no servers could be reached

チェック 1: フォワーダーエンドポイントのサブネットとセキュリティリスト

フォワーダーエンドポイントから Phoenix リスナーエンドポイントへの UDP 53 番ポートが許可されていることを確認します。

チェック 2: フォワーディングルールのドメイン名

DNS リゾルバーのフォワーディングルールに設定した QNAME サフィックスと、実際に解決しようとしている FQDN のドメイン部分が一致しているかを確認します。

FQDN の例 必要な QNAME サフィックス
ranrtp031-1.rs.br.ap-tokyo-1.oraclecloud.com ap-tokyo-1.oraclecloud.com
ranrtp031-1.rs.br.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com

チェック 3: リスニングエンドポイントの IP アドレス

フォワーディングルールに設定した「転送先 IP」が、ソースリージョンVCNのリスニングエンドポイントの IP アドレスと一致しているかを確認します。

チェック 4: DRG ピアリングの疎通

nslookup は サーバー → フォワーダー → リスニングの経路で動作します。ターゲットリージョン から ソースリージョン リスニングエンドポイントの IP へ ping または telnet で疎通を確認します。

# ソースリージョン リスニングエンドポイントの IP(例:10.0.1.82)への疎通確認
telnet 10.0.1.82 53

Step 4: Object Storage の名前解決問題の解消

バックアップからのデータベースの作成は Recovery Service プライベートエンドポイントへのアクセスだけでなく、Oracle Managed Keys(デフォルト)を使用している場合、データベースウォレットは Oracle 管理の Object Storage ロケーションに保存されており、リストア時にアクセスが必要になります。ソースリージョン の Object Storage へのアクセスも必要です。

Object Storageの名前解決できるように構成します。( swiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com )

Private Service Access(PSA)エンドポイントを作成

ソースリージョン VCN に Object Storage サービス用の Private Service Access(PSA)エンドポイントを作成します。PSA を使用すると、Object Storage のホスト名が PSA エンドポイントのプライベート IP アドレスに解決されます。

操作手順

  1. OCI コンソールで ソースリージョンに切り替えます
  2. ハンバーガーメニュー → ネットワーキング仮想クラウド・ネットワーク を選択します
  3. Recovery Service プライベートエンドポイントが配置されている VCN をクリックします
  4. 詳細ページで 「プライベート・サービス・アクセス」 タブを選択し、「作成」 をクリックします
  5. 以下の値を入力します
項目 設定値
名前 任意(例:psa-objectstorage
サービス Object Storage Service API
コンパートメント PSA エンドポイントを作成するコンパートメントを選択
サブネット Recovery Service プライベートエンドポイントと同じサブネット

image.png

  1. 「プライベート・サービス・アクセス・エンドポイントの作成」 をクリックします
  2. エンドポイントが 「アクティブ」 になったことを確認します

PSA を作成すると、VCN の DNS リゾルバーに Object Storage ホスト名(objectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.comswiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com など)が PSA エンドポイントのプライベート IP に解決されるルールが自動登録されます。ターゲットリージョンのフォワーディングルール経由でこの解決結果が返るため、追加の DNS 設定は不要です。

PSA 設定後、ターゲットリージョン から名前解決を確認します。

[opc@customdb ~]$ nslookup swiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com
Server:        169.254.169.254
Address:       169.254.169.254#53

Non-authoritative answer:

Name:   swiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com
Address: 10.0.1.44

swiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com canonical name = swiftobjectstorage.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com.

プライベート IPが返ってくれば設定は成功です。

Step 5: バックアップからのデータベースの作成

操作手順

  1. OCI コンソールで ソースリージョンに切り替えます
  2. ハンバーガーメニュー → Oracle Database → Oracle Base Database を選択します
  3. バックアップが取得されている DB システムをクリックし、詳細画面を開きます
  4. データベース タブをクリックし、対象データベースを選択します
  5. バックアップ タブを開き、リストアに使用するバックアップを選択します

image.png

メモ: その他のアクションメニューの「バックアップからのデータベースの作成」からはリストアポイント(日時)を指定して作成することもできます。

  1. 選択したバックアップの右端のメニュー(︙)→ 「このバックアップからデータベースを作成」 をクリックします

  2. DB システムの作成ページが開いたら、リージョン に ターゲットリージョン を選択します

  3. DB システムの設定(シェイプ、ストレージ、ライセンスタイプなど)を入力します

  4. ネットワーキング セクションで、ターゲットリージョン の VCN・サブネットを指定します

  5. 作成 をクリックしてリストアジョブを起動します

image.png

リストアジョブが開始されると、DB システムの状態が 「プロビジョニング中」 に変わります。コンソール上で進捗を確認できます。

補足: VCN Flow Logs でトラフィックを確認し NSG でポートを絞り込む

リストアが成功したら、VCN Flow Logs を使って実際に使用されたポートを確認します。
確認されたトラフィックから、以下のポートが必要であることが判明します。

ポート プロトコル 用途
8005 TCP Database Recovery Service
2484 TCP Database Recovery Service
53 UDP DNS フォワーディング
443 TCP Object Storage への API 呼び出し

確認後、初期テスト用に広く開放していたセキュリティリストのルールを削除し、NSG で必要なポートのみに絞り込みます。

NSG 入力ルールの設定例:

ルール説明 ソース CIDR 宛先ポート プロトコル
ソースリージョンサブネットから Recovery Service 10.0.0.0/24 8005, 2484 TCP
ターゲットリージョンサブネットから Recovery Service 192.168.1.0/24 8005, 2484 TCP
DNS フォワード 192.168.1.0/24 53 UDP
Object Storage(PSA 経由) 192.168.1.0/24 443 TCP

NSG のアタッチ先:

  • Recovery Service プライベートエンドポイント
  • Phoenix VCN の DNS リスナーエンドポイント
  • Object Storage 用 PSA エンドポイント

おわりに

バックアップを使って別リージョンでデータベース作成する際の留意点を確認できました。

  • クロスリージョンリストアは Recovery Service プライベートエンドポイントへのアクセスだけでなく、ソースリージョンの Object Storage へのアクセスも必要であることを実機で確認できた
  • DNS フォワーディングの設定することで実現できた

参考情報

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