はじめに:LLMとは何か
LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)は、膨大なテキストデータで学習された深層学習モデルです。文章生成、翻訳、要約、コード生成など、様々な言語タスクをこなせる汎用的なAIとして注目を集めています。
この記事では、2018年から現在までのLLMの進化を振り返ります。
黎明期:GPT-1とBERTの登場(2018年)
GPT-1(OpenAI, 2018年6月)
- パラメータ数: 1.17億
- 特徴: Transformerのデコーダーのみを使用した自己回帰型モデル
- インパクト: 事前学習+ファインチューニングのパラダイムを確立
BERT(Google, 2018年10月)
- パラメータ数: 3.4億(BERT-Large)
- 特徴: 双方向のコンテキスト理解、マスク言語モデル
- インパクト: 検索エンジンやQ&Aシステムで広く活用
この時期の特徴: まだ研究者向けのツールで、一般への認知度は低かった。
ブレイクスルー:GPT-2とテキスト生成の可能性(2019年)
GPT-2(OpenAI, 2019年2月)
- パラメータ数: 15億
- 特徴: GPT-1の10倍以上の規模、驚異的な文章生成能力
- 論争: 「悪用のリスクがある」として当初は完全版を公開せず
GPT-2は「AIが人間らしい文章を書ける」ことを世に知らしめました。ニュース記事、小説、コードなど、様々なテキストを自然に生成できる能力は衝撃的でした。
爆発的成長:GPT-3とAPI公開(2020年)
GPT-3(OpenAI, 2020年6月)
- パラメータ数: 1750億
- 特徴: Few-shot学習、プロンプトエンジニアリングの登場
- ビジネス化: API公開により開発者が利用可能に
GPT-3は「スケーリング則」を実証しました。モデルを大きくするほど性能が向上し、少数の例(Few-shot)だけで新しいタスクをこなせるようになったのです。
GPT-3 APIの影響:
- コピーライティングツール(Jasper, Copy.ai)
- コード補完(GitHub Copilot, 2021年)
- チャットボット、教育アシスタント
ChatGPTの衝撃:一般への普及(2022年)
ChatGPT(OpenAI, 2022年11月)
- ベースモデル: GPT-3.5
- 特徴: 会話型UI、RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)
- 記録: 公開5日で100万ユーザー、2ヶ月で1億ユーザー
ChatGPTはLLMを一般に広めた転換点でした。それまで開発者やエンジニアの間でしか知られていなかったLLMが、誰でも使える対話型AIとして爆発的に普及しました。
GPT-4(OpenAI, 2023年3月)
- パラメータ数: 非公開(推定1.76兆)
- 特徴: マルチモーダル(画像入力対応)、推論能力の大幅向上
- 成果: 司法試験上位10%、医師国家試験合格レベル
群雄割拠の時代:Claude、Gemini、Llama(2023-2024年)
OpenAIの独走に対抗し、各社が独自のLLMをリリースしました。
Claude(Anthropic, 2023年3月〜)
- 特徴: 安全性重視、長文コンテキスト(最大200Kトークン)
- Claude 3シリーズ: Haiku(軽量)、Sonnet(バランス)、Opus(最高性能)
- 強み: コーディング、文章理解、倫理的な応答
Gemini(Google, 2023年12月〜)
- 特徴: マルチモーダル(テキスト、画像、音声、動画)
- Gemini 1.5: 100万トークンのコンテキストウィンドウ
- 統合: Google検索、Gmail、Docs、Sheetsとの連携
Llama(Meta, 2023年2月〜)
- 特徴: オープンソース(商用利用可能)
- Llama 2(2023年7月): 700億パラメータ
- Llama 3(2024年): 性能大幅向上、多言語対応強化
- 影響: ローカル実行可能、カスタマイズ容易
その他の注目モデル
- Mistral(フランス): 高効率・オープンソース
- Command R(Cohere): エンタープライズ向け
- Grok(xAI/イーロン・マスク): リアルタイム情報アクセス
現在と未来:マルチモーダル、推論特化、コスト削減
トレンド1: マルチモーダル化
- GPT-4V、Gemini、Claude 3がテキスト+画像に対応
- 音声入力・出力の統合(GPT-4o)
- 動画理解の進化
トレンド2: 推論特化モデル
- OpenAI o1(2024年): 数学・プログラミングに特化した推論能力
- 「考える時間」を取ることで精度向上
- コスト高だが正確性重視のタスクに有効
トレンド3: 小型・高効率モデル
- Phi-3(Microsoft): 38億パラメータで実用レベル
- Gemini Nano: スマートフォン上で動作
- エッジデバイスでの活用(プライバシー保護、低レイテンシ)
トレンド4: コスト削減競争
- Claude 3.5 Haiku: 高性能で低コスト
- Gemini Flash: リアルタイムアプリ向け高速・低コスト
- API価格の大幅下落(2020年比で1/100以下)
おわりに
LLMはわずか6年で研究室から日常生活へ浸透しました。
- 2018年: 研究者の実験
- 2020年: 開発者のツール
- 2022年: 一般ユーザーのアシスタント
- 2024年: 企業の基幹システムに統合
今後は、マルチモーダル化、推論能力の向上、コスト削減がさらに進み、LLMはあらゆる業務に組み込まれていくでしょう。
あなたが最初に触れたLLMは何ですか?そして、どのように活用していますか?ぜひコメントで教えてください!