自己紹介
はじめまして斎藤と申します。元NTTデータ人事→ベンチャーでエンジニア→ シリコンバレーで人事マネージャ をしています。シリコンバレーの10年後が日本のトレンドといいますが、最近ではその時差もどんどん埋まってきています。2026年の日本トレンドだと思って読んでもらえると嬉しいです。
ついに始まった「LLM解雇」
我が社でLLM(大規模言語モデル)を本格導入した結果、エンジニア4人のうち3人をクビにし、1人だけをキープするという苦しい判断をしました。
クビになった3人のエンジニアと残った1人のエンジニア。その差はなんだと思いますか?少し考えてみてください。
具体的なイメージを持ってもらうために、実際の4人のプロフィールを紹介します。
- エンジニア1人目: LLMにとても詳しい。「このモデルは〜」「このプロンプトテクニックは〜」と技術トレンドには敏感。
- エンジニア2人目: 社内でLLM導入を強く推進してくれた旗振り役。PoCや社内勉強会も主導してきた人。
- エンジニア3人目: コードスキルは正直そこまで高くないが、周囲とのコミュニケーションがうまく、場を回すのが得意。
- エンジニア4人目: LLMには詳しくないが、学習意欲が高く、黙々と自習を続けるタイプ。どちらかというと無口。
さて、どのエンジニアがクビにならなかったと思いますか?
正解は4人目、どちらかと言うと無口だが、学習意欲が高かったエンジニアです。逆にLLMに詳しいエンジニアや陽キャなエンジニアはクビになりました。なぜなのか?それは
LLMの使い方はLLMに聞けばいい
ということです。我が社の事例を使って具体的に話しますね。
我が社の現在のLLMワークフローは下記です。セキュリティ上の理由から一部改変しています。
LLM活用ワークフロー
まず前提として、うちの会社ではLLMを「GitHub Actions+社内Wiki+AWS+Supabase」のような構成で使っています。
ざっくりした構成図イメージはこんな感じです。
Biz要件 社内Wiki GitHub LLM API AWS / Supabase
(プロダクト) (Notion/Confluence) (Issues/Actions) (Claude/Gemini等) (本番/ログ基盤)
| | | | |
| 1. ざっくり要望| | | |
+--------------->| 要件テンプレ化 | | |
|----------------->| Issue化 | |
| | | |
| |---- push ------->| |
| | (Actions起動) | |
| |----------------------> プロンプト送信 |
| | |-- 設計/コード案 -->|
| |<---- PRドラフト / コメント -----------|
| | | |
| | マージ | |
| |------------------------------> デプロイ |
| | | v
| | | メトリクス/ログ
| | | |
|<----------------------------- LLMレポートBot(Slack通知)--+
この構成、どうやって考えたと思いますか?LLMが得意なエンジニアが設計した…わけじゃなりません。Gemini,GPT,Claudeの深層モデルに社内wikiをそのまま読ませて、最適を作りました。
そう、LLM時代にLLMに詳しいだけのエンジニアはいらないんです。ここが他のエンジニアスキルとLLMの違いで、LLMは非エンジニアも使えるということ。
生き残ったエンジニアには、コミュ力 がありました。ここでいうコミュ力とは
飲み会で盛り上げる力
初対面でもすぐ友達になれる陽キャ力
…のようなものではありません。
むしろ彼は、静かに淡々と話すタイプのエンジニアでした。このエンジニアが持っていたコミュニケーションスキルとは
LLMとのコミュ力(対AIコミュニケーション能力)
他のレイヤーとも話せる能力+わかりやすく言語化する力
ビジネスサイド、デザイナー、インフラ、セキュリティ、経営層など、異なるレイヤーの人たちと会話のチャンネルを持っている。
実はこのエンジニアも、最初は全然コミュ力がありませんでした。 もちろんエンジニアなので、それでも仕事はできたんですが、社内研修を通じて、後から身につけていきました。
クビになるエンジニアの特徴
逆に言うと、クビになった3人は次のようなタイプです。
LLMの新機能やモデルの違いには詳しいが、現場の人たちに伝わる言葉に翻訳できない。
「このプロンプトだと精度が〜」と技術的には正しい話をしているが、ビジネスサイドからすると「で、結局どうなるの?」がわからない。
LLMとは深く対話しているが、人間との対話を避けている。
AIそのものへの理解は深くても、
「LLM ⇔ 人間社会」のインターフェースとして機能していなかったのです。
↑あなたのプロジェクトにもいますよね。正直いけ好かないエンジニア。安心してください。みんなクビになります。
少し長いので分割します。次の記事では、
「AI時代に求められるコミュ力」 を、もっと具体的に分解して解説します。
「とりあえずCladeやGeminiを使っていればクビにはならないだろう」
と考えている人には、かなり耳の痛い内容になると思います。危機感をもった方のみ、次の記事を読んでください。
👉 次の記事:AI時代に求められる「コミュ力」をインストールする方法(明日公開)