導入
Phusion Passenger上で動作しているRuby on Railsアプリケーションでメモリリークが発生していると思われる事象が起きていた。
メモリリークの調査のために公式リファレンスに従ってpassenger-statusを実行しようとたところ以下のコードブロック内に記載したエラーが発生した。
$ passenger-status
ERROR: Phusion Passenger doesn't seem to be running. If you are sure that it is running, then the causes of this problem could be:
1. You customized the instance registry directory using Apache's PassengerInstanceRegistryDir option, Nginx's passenger_instance_registry_dir option, or Phusion Passenger Standalone's --instance-registry-dir command line argument. If so, please set the environment variable PASSENGER_INSTANCE_REGISTRY_DIR to that directory and run passenger-status again.
2. The instance directory has been removed by an operating system background service. Please set a different instance registry directory using Apache's PassengerInstanceRegistryDir option, Nginx's passenger_instance_registry_dir option, or Phusion Passenger Standalone's --instance-registry-dir command line argument.
メモリリークの調査以前にこちらのエラーの解消に時間がかかったので本記事で解消方法を整理する。
環境
Amazon Linux 2
$ passenger-config --version
Phusion Passenger 6.0.6
$ httpd -v
Server version: Apache/2.4.59 ()
公式には記載がないが以下の記事によればAmazon Linux 2はRHEL7/CentOS7をベースにしているらしい。
状況
まずは諸々の操作を行う前の状況について整理する。
/tmpの中には以下のようにsystemd-private-から始まるフォルダが存在する。
$ ls /tmp
systemd-private-xxxxxx-chronyd.service-xxxxxx
systemd-private-xxxxxx-httpd.service-xxxxxx
以下の記事によるとこれらのフォルダはCentOS系においてサービスの設定でPrivateTmp=trueにされていると作成される。PrivateTmp=trueにするとプロセスが使用する一時フォルダを隠蔽でき、セキュリティ的に安全になるらしい。
また今回の環境ではApacheの設定ファイルは/etc/httpd/conf/httpd.confである。
解決方法
基本的には以下の回答に記載の方法で解決した。以下の回答ではUbuntu 18.04 with Apache and Passenger v5+とされているためか今回の環境では微妙に変える必要があった。
具体的には以下の手順を行った。
$ sudo systemctl edit httpd.service
を実行するとエディターが開く。
エディターに
[Service]
PrivateTmp=false
を入力し/etc/systemd/system/httpd.service.d/override.confとして保存する。
変更を反映するために
$ sudo systemctl daemon-reload
を実行する。
systemctl daemon-reloadについては以下の記事を参考にした。
ちなみにsudoをつけなかったら下記のエラーが発生した。
$ systemctl daemon-reload
Warning: httpd.service changed on disk. Run 'systemctl daemon-reload' to reload units.
念のためhttpdをリスタートする。
$ sudo systemctl restart httpd
これで完了。passenger-statusが正常に動作した。
うまくいかなかった方法
httpd.confにPassengerInstanceRegistryDir /tmpを追記したりPASSENGER_TMPDIR=/tmp passenger-statusを実行したりしたがこれらでは解消されなかった。これらの方法は以下の記事に記載されているものである。
※今回の状況ではうまくいかなかっただけであり、記事を批判する意図はないことを注意する。以下の記事に記載の方法でもうまくいくケースはあると思われる。