概要
医療画像のセグメンテーションを行う機械学習タスクにおいて、
秘密計算を用いてユーザの画像の秘匿性を担保しながら実行する
アプリケーションには
どの様なものがあるのか少し気になり、調べてみました。
今回の先行研究論文
こちらになります。2021年に公開された論文です。
使用しているデータセット
の画像を使用したセグメンテーションです。
使用しているモデル
19層の畳み込み層を使用したUNetのセグメンテーションタスク
推論にかかる速度
約3000秒で一枚推論できる。
使用する秘密計算システム
レベル型準同型暗号で構成したMPC(マルチパーティコンピュテーション)
のハイブリッド構成に、
さらにTEE(秘匿演算環境)を使用しています。
この論文を読むための前提知識
- 準同型暗号
- 秘密分散
- TEE
という秘密計算のコアエンティティと、
- DELPHI(https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity20/presentation/mishra)2020
- GAZELLE(https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity18/presentation/juvekar)
このあたりの秘密計算のAIへの有名な応用論文
について理解している必要があります。
使用しているプロトコルの詳細
使用したプロトコルは
DELPHI などで利用されている2パーティ型の加法シークレットシェアを使用したMPCで、
MPCを構成する際にはMicrosoft SEALなどの準同型暗号ライブラリを用いている。
これにより、ユーザがデータを入力する前に乱数を共有しておく(この乱数は平文で良い)ことができ、
ユーザがデータを入力した後は、行列演算に対して、MPC由来の重い通信をする必要もないし、
LHE由来の重い乗算も行う必要がないため、いいとこ取りの手法になっている。
DELPHIでは、基本方針としてReLU関数(非線形関数)の近似を二次関数で行っていたため、
その非線形演算をTEEに移したのが今回のこの論文の手法である。
まとめ
今回は
医療画像のセグメンテーションを行う機械学習タスク
についておそらく一番実用性があり進んでいると考えられる応用論文について紹介しました。
みなさんもぜひキャッチアップしてみてください。
今回はこの辺で。