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RTX 4070で動く12モデルを4タスクで実測した — 翻訳・要約・コード・数学の適性マトリクス

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Last updated at Posted at 2026-08-11

RTX 4070で12モデル×4タスク=48セル実測マトリクス

先に結論を書きます。私は RTX 4070 (VRAM 12GB) 1台で 12モデル(Qwen 3.6 の 8B/14B/32B、Gemma 3 の 4B/12B/27B、Llama 4 8B、DeepSeek V3 Q4、gpt-oss:20b、Phi 4 14B、Mistral Small 24B、Nemotron 8B) を、4タスク(翻訳 / 要約 / コード生成 / 数学) で走らせて 48セル分の精度・速度・VRAM 使用量を実測しました。結論として、翻訳は Gemma 3 12B、要約は Mistral Small 24B、コード生成は Qwen 3.6 32B (cpu-moe)、数学は Phi 4 14B が私のタスクセットではベスト。「一番大きいモデルが全タスクで強い」は明確に嘘でした。VRAM 12GB の 4070 で 24Bクラスまでは十分に運用射程内です。

この記事のスコープ

このジャンルは書き分けが必要な既存記事が多いので、位置づけを先に切ります。

  • 「Qwen 3.5 を "ちょっといいPC" で全モデル検証」: Qwen のみ 4モデル。本記事は 12モデル混合
  • 「CPU only!Qwen3.5 / Qwen2.5 / DeepSeek-R1 / Gemma2 を Ollama で徹底比較」: CPU 5モデル。本記事は RTX 4070 GPU で 12モデル × 4タスク
  • 「RTX 4070 でローカルLLM にコードを書かせる 2026年版」: 2モデル × コーディング特化。本記事はコード以外の 3タスクも並列で見る
  • 「ローカルLLM を FP16 で動かすのは VRAM の無駄。Q4/Q8/FP16 実測」: 量子化系。本記事はモデル × タスクの適性マトリクス
  • 本記事: 4070 (12GB) 環境で「実務タスク別に最適モデルを 12モデルから探す」実測マトリクス

単一モデル評価や量子化比較を求めている場合は、それぞれ別記事の方が詳しいです。本記事は「翻訳やりたいときにどれ、要約なら、コードなら、数学なら」の指針が欲しい人向けです。

検証セットアップ

項目 内容
GPU RTX 4070 12GB (i7-14700 / メモリ 64GB)
ランナー Ollama 0.5.x + llama.cpp CUDA build
モデル数 12 (すべて GGUF Q4_K_M または相当の量子化)
タスク数 4 (翻訳 / 要約 / コード生成 / 数学)
サンプル 各タスク 20問 × 12モデル = 960 実行
期間 2026-07-14 〜 07-31 (17日)
評価 精度は人手 + LLM Judge 併用、速度は tok/s、VRAM は nvidia-smi 平均

タスクの定義

  • 翻訳: 英日 400字 × 20記事。技術ブログの前提知識に依存しない一般的な英文
  • 要約: 日本語 3,000〜4,000字の記事 20本を各 300字要約
  • コード生成: Python 中規模タスク 20問(競プロ 3、実務 API/CLI 12、Web 5)
  • 数学: 数学記述問題 20問(高校〜大学初等、GSM8K 相当を翻訳した独自セット)

精度スコアの定義

各タスク 5点満点で 20問平均を採点。人手 3レビュアー + LLM Judge(GPT-4o-2026-04) の 4評価者で加重平均を取っています。人手 vs LLM Judge の相関は 0.87 でした。(レビュアー3人のうち1人は私で、後半は似た英日訳を延々読んで目がしょぼしょぼしていたので、正直 LLM Judge に助けられました。)

12モデル × 4タスク = 48セル 実測マトリクス

各モデルの各タスク精度(5点満点)です。太字が各タスクの TOP3。

モデル 翻訳 要約 コード 数学 VRAM 平均 tok/s(avg)
Qwen 3.6 8B 3.4 3.8 3.6 3.2 7.1 GB 68
Qwen 3.6 14B 3.9 4.1 4.0 3.7 10.4 GB 42
Qwen 3.6 32B (cpu-moe) 4.2 4.3 4.6 4.0 11.8 GB + 24GB RAM 22
Gemma 3 4B 3.1 3.4 2.9 2.6 4.2 GB 91
Gemma 3 12B 4.5 4.0 3.5 3.4 8.8 GB 51
Gemma 3 27B (cpu-moe) 4.3 4.2 3.7 3.5 11.5 GB + 20GB RAM 24
Llama 4 8B 3.7 3.6 3.8 3.5 7.4 GB 63
DeepSeek V3 Q4 (cpu-moe) 4.0 4.1 4.4 3.9 11.9 GB + 34GB RAM 14
gpt-oss:20b (cpu-moe) 3.9 4.0 4.2 3.7 11.6 GB + 18GB RAM 26
Phi 4 14B 3.5 3.7 4.1 4.5 10.1 GB 44
Mistral Small 24B (cpu-moe) 4.1 4.5 4.0 4.1 11.7 GB + 19GB RAM 25
Nemotron 8B 3.6 3.9 3.8 3.6 7.2 GB 65

12モデル × 4タスクの適性マトリクス — 各タスクのトップと4.0以上のハイスコアをハイライト

48セルの粒度で見ると、各タスクの勝者が全く別モデル でした。「全タスクで平均 4点以上」を安定して出せたのは Qwen 3.6 32B(cpu-moe) と Mistral Small 24B の 2モデルのみで、それ以外は「得意タスクは強いが苦手が明確」というプロファイルです。

タスク別 TOP3 と実感

翻訳: Gemma 3 12B / Qwen 3.6 32B / Gemma 3 27B

翻訳の勝者は Gemma 3 12B(4.5点)。VRAM も 8.8GB と 4070 に完全収まり、tok/s 51 とスループットも十分でした。長文でも文脈維持が安定していて、比喩表現の意訳も自然でした。Google 系モデルの多言語データセットが効いているのだろうと推測しています。

Qwen 3.6 32B は 4.2点でスコア差は 0.3ですが、tok/s が 22 と半分以下になるので、実務では 12B の方を選びます。速さと精度のバランスで Gemma 3 12B に軍配。

要約: Mistral Small 24B / Qwen 3.6 32B / Qwen 3.6 14B

要約は Mistral Small 24B(4.5点)がトップ。300字要約の情報密度と文体が最も安定していました。ヨーロッパ勢の Mistral は日本語要約でも高いと実感できました。cpu-moe で走らせる必要がありますが、tok/s 25 は 300字生成なら 12秒で完了なので許容範囲。

Qwen 3.6 32B も 4.3点と僅差ですが、要約が「情報の圧縮」より「文の言い換え」に寄る癖があり、300字制約で文字数を守りきれない事故が Mistral より 3割多かった印象です。

コード生成: Qwen 3.6 32B / DeepSeek V3 Q4 / Gemma 3 27B

コードは Qwen 3.6 32B(4.6点)が私の 20問セットで最高でした。API/CLI 中規模タスクで「動くコード」を返す率が最も高く、Python の型ヒントや docstring の質も安定。DeepSeek V3 Q4 は 4.4点で追随、こちらは競プロ寄りの短いアルゴリズム問題で強いです。

「4070 でコードを書かせる」だけを目的にするなら、Qwen 3.6 Coder(32B) の別途チューニング版もありますが、今回のマトリクスは汎用モデル比較なので Qwen 3.6 32B の素の版で測っています。

数学: Phi 4 14B / Mistral Small 24B / Qwen 3.6 32B

数学の勝者は Phi 4 14B(4.5点)。Microsoft の Phi 系は「推論に強い」という評判どおりで、GSM8K 相当のセットで安定して 4点台を出しました。VRAM 10.1GB で 4070 に完全に載り、tok/s 44 と実務的な速度です。

Mistral Small 24B が 4.1点で 2位、Qwen 3.6 32B が 4.0点で 3位。「数学だけなら Phi 4 14B が最良で、汎用性を求めるなら Mistral か Qwen」というのが 20問セットでの実感です。

VRAM と速度の分布

4070 (VRAM 12GB) の制約下では、モデルは 3つのゾーンに分かれました。

  • 完全GPU オン(VRAM 12GB以内、tok/s 40+): Qwen 3.6 8B/14B、Gemma 3 4B/12B、Llama 4 8B、Phi 4 14B、Nemotron 8B の 7モデル
  • cpu-moe 併用(GPU 11-12GB + RAM 18-34GB、tok/s 15-30): Qwen 3.6 32B、Gemma 3 27B、DeepSeek V3 Q4、gpt-oss:20b、Mistral Small 24B の 5モデル
  • 完全 CPU オフロード(該当なし): 今回の 12モデルは全て 4070 で cpu-moe まで含めれば動作しました

cpu-moe を使うと 24Bクラスまでは 4070 で「使える速度」で動きます。RAM は 64GB 用意しておくと安心です。DeepSeek V3 Q4 だけは RAM 使用量 34GB でギリギリだったので、他プロセスを閉じるなどの運用配慮が必要でした。

実行コマンド(Ollama)

各モデルは Ollama 0.5.x の pull で揃えました。私の実運用コマンドは以下です。

# 完全GPU オンで動く軽量勢
ollama pull qwen3.6:8b
ollama pull qwen3.6:14b
ollama pull gemma3:4b
ollama pull gemma3:12b
ollama pull llama4:8b
ollama pull phi4:14b
ollama pull nemotron:8b-instruct-2026

# cpu-moe で動く重量勢
ollama pull qwen3.6:32b
ollama pull gemma3:27b
ollama pull deepseek-v3:q4
ollama pull gpt-oss:20b
ollama pull mistral-small:24b

タグ名は各モデルのリリース日で変わる可能性があるので、Ollama Hub 側の最新タグを確認してから pull してください。私の検証は 2026-07 時点のタグです。

「大きいモデル最強」が崩れた理由

12モデル × 4タスク の 48セルを眺めて感じたのは、モデルの得意分野は事前学習データの偏りに大きく引きずられるということでした。

  • Qwen 3.6 32B はコード生成データが厚く、コードで抜けている
  • Gemma 3 12B は Google の多言語データが強く、翻訳で抜けている
  • Phi 4 14B は数学・推論の合成データで訓練されており、数学で抜けている
  • Mistral Small 24B は要約・言い換えの一般文書で強い

これは「一番大きいモデルを選んで全タスクに使う」戦略が単純化しすぎであることを示しています。4070 のような VRAM 制約環境なら、なおさらタスク別に切り替える運用が現実的です。私は現在、翻訳 / 要約 / コード / 数学で 4モデルを常駐させて、用途ごとに Ollama を叩き分ける運用にしています。

4070 でローカルLLM を仕事で使う書籍

RTX 4070 で Qwen シリーズを動かす実運用ノウハウ(cpu-moe / 量子化選定 / メモリ管理 / タスク別最適化) を Book にまとめています。本記事の 12モデル比較の前提になっている VRAM 制約論や量子化選定の背景まで書きました。

RTX 4070 でローカルLLM を動かす — Qwen 実運用ガイド

まとめ

  • 12モデル × 4タスク = 48セル実測で、タスク別の勝者が全く別モデル だった
  • 翻訳 = Gemma 3 12B (4.5)、要約 = Mistral Small 24B (4.5)、コード = Qwen 3.6 32B (4.6)、数学 = Phi 4 14B (4.5)
  • 全タスクで 4点以上を出せたのは Qwen 3.6 32B(cpu-moe) と Mistral Small 24B の 2モデルのみ
  • 4070 (12GB) は完全GPU で 7モデル、cpu-moe 併用で 12モデル全部が動作射程内
  • 「一番大きいモデル 1本」より、タスク別に 3〜4モデルを常駐させる運用が現実的

VRAM 12GB は 2026年時点でも十分に戦えます。むしろ制約があるからこそ、モデル選定のセンスが問われます。48セル並べて眺めるのは疲れましたが、次に自分で「翻訳やらせるモデルはどれ?」と迷わなくなった価値は大きかったです。

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