はじめに
同じ単語なのに、分野が異なると意味も異なることがあります。
今回は「有効数字」について、理科の文脈とコンピュータの文脈での違いを整理しました。
まず、それぞれの意味を確認し、実際に結果が異なるパターンを示します。
理科における有効数字
理科の有効数字は、測定値や計算結果の信頼できる桁を示す。
・測定器の精度や誤差に依存する
・小さい値を大きい値に足す場合、元の値の精度によっては小さい値は無視される
コンピュータにおける有効数字
コンピュータの有効数字は、有限のビット数で数値を表現できる桁数のこと。
「有効数字」というより「精度」といった方が正確
・float(単精度32bit)の有効数字は約7桁
・値が大きすぎると、小さい数を足しても丸められ消えてしまう
具体例
例1:1万(1.0 × 10^4) + 25
項目 | 結果 | 備考 |
---|---|---|
理科 | 1.0 × 10^4 | 有効数字 2桁なので 25 は無視 |
コンピュータ (float) | 10025 | 7桁以内なので正確に計算可能 |
例2:1兆(1.0 × 10^12 ) + 25
項目 | 結果 | 備考 |
---|---|---|
理科 | 1.0 × 10^12 | 有効数字 2桁なので 25 は無視 |
コンピュータ (float) | 1.0 × 10^12 | 約7桁しか保持できないため、25は丸め誤差で消える |
まとめ
ざっくり違いをまとめると
- 理科 → 「信頼できないから無視する」
- コンピュータ → 「能力的に無理だからあきらめる」